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短歌

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短歌
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2022年2月の記事一覧

埋み火に時と息とを溶かし混む千々の名残よ熱冷めがたし

また雪になり損ないの氷雨橋盗られた傘に冬の抜け道

淡雪の汚きことは然もあれど街の灯りに白の触れゆく

音のない苦しみのない回路へと色を求めど明日は見えまじ

夢幻たち辻褄合わせ夜を飲む鏡と同じ星を眺めて

あの人の香りが思い出せないのさんまさんまよさんましぐれて

星ひとつ無数の誤差を散りばめて物語から呼ばれ待ちわび

故郷に向日葵揺れる千代八千代あるかのようにないかのように

硝子牢摩天楼ども看板を浮わつかせてる亡骸の恋