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短歌

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2021年9月の記事一覧

夢合せテープ反転夢違えかもめはかもめ口に朱書き

血と星と涙を智者の石で割る二度と言葉は生まれなかった

秋の陽はORIGINAL LOVEの詞に暮れた枯れゆく街に水車の謠

時の子は時代と呼ばれ負け知らず三色菫は何色の何?

突然の雨に振り向く君を見た僕も彼方も留守のままだね

顔色を売った女の霞草「だって」そこから先は知らない

エスターを捉えるレンズ偏光子荒れた粒子を脱ぎ去れる人

鳴くことの一途に下手な鈴虫が思い出に住む楽園ありき

ホモサピは最後のファニー失って書の音飛びに臥してゆきます

見たこともない植物の注釈に「ものの涙」と添えられている

ドアノブに手だけ伸ばした恋はない恋なんてない秋は入り口

「あの人に届けてほしい」鳩を手に腕を振るった砂が生まれる

水彩のページにふたり雨ざらしラナンキュラスと歩道のリボン

なにげなくアプリを起動するように詩をツールにしてはいけない