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短歌

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2021年2月の記事一覧

仮縫いで春まで傷のかくれんぼメジャーコードの御伽草子さ

気を抜くと手から離れた感情が唯鮮やかに見えますものね

焼けついた過去が瞳を躱し行く君を自由と引き換えにして

階段が何段目かと目盛り見て「立場」と称す単位を下す

「ラブリー」の詩にひっつく涙とは愛かのような何かでしょうか

東京とマイクの間囚われて出来る指切り一本だった

手渡しの卵にひとつ朱混じる息つく前にそっぽを向いた

残された側のわたしの真ん中に残るあなたの嘘が聞きたい

頬の陽に分かつ涙が搦まって纏う星屑静寂の虹

起き醒めの汗に粘度がこびりつく頂き物の地球儀ぐるり

理不尽の川を震えて遡上するぶれた分だけ海になってよ