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短歌

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2021年1月の記事一覧

瞬いて銀河の二時は帰り時目線を違え漣が止む

困らせる言葉を今も待っている我儘の色唇の露

祝福へ小さき輪の虹が立つ目は桃色の未知に仆れる

色違い薔薇を摘むのに無防備で返った我は涙の海に

デジタルの時計が何時を指してても黙るあなたが見えなくなって

ウインクは僅かに開く唇の問いかけ廻る「かく示された」

投げかける言葉なくした駅前で地図を揺蕩う矢印だった

貴方の眼私が映る秘め事はふるい落としか遠い祈りか

インクでは薄紫が実らない縋った袖を浮かべて僕は

手を引いた友禅はもうあの日から夕陽でしょうか夕陽でしょうか

寒椿其の唯一輪火が開く靴打ち立てて二秒残響

鏡からぽたり引き潮滑り出る忘れてくれるまで立っている

指筆で曇り硝子に探し人息は飛沫になるもどかしや

凪ぐ波紋小石放ったあの池は私の池ですさよならですね