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短歌

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2020年7月の記事一覧

また雨は六月に置いていかれゆく消しゴム書きの夜明けのままに

馴染みなき小学校を出て右折墓苑の門は人を選ぶね

刹那ごと暴れる硝子閉じ込めて淡い怠惰に首を傾げる

憐れみを行過ぎる蚊が吐き戻す人を目指した肉の戦慄き

隙っ歯に本音が覗く高利貸し数字はいつも上下で見てる

三日月の刀を順手で持つように右手を伸ばし帳は降りる

夕立に煤ぐづぐづの鼻頭深碧の青すすめやすすめ

幸せを疑い幸福を祈って若さの燃え殻さえも尽きてく

潔癖な荒地を模した居れ物をドライブさせる結びの話

亡者との別れ夜明けに予感して冷房の下報いなどない