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短歌

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2020年6月の記事一覧

せきりょうのわかつふたりをみたすとききずぐちどうしふれてたがえる

詩の読めぬ亡骸ひとりスラッシュで母音の名残切り刻みつつ

ぐずぐずと愛と足跡滴らせ溜息染みの顔に陽炎

黒ずんだ僕があなたに触れるとき神を揺さぶる大地と眠り

斑香のコンクリートに水霞ひ弱な足の求める地熱

長針が60秒だけとどまって12の先を数えずにいる

月日とは職場に顔を出さずして寝床に侮蔑くれてやるもの

街灯は僅かに呻きまた果てる夜を縁取る山の稜線

耳裏に死人の息が付着する午前三時のテクノクラート

想い出のリボン山架け虹色の穂先さざめく解かれた涙

賽の目は休耕田の皹にピンを刻んで命で笑う

衛星のすました顔の計算は牢獄軌道近似値木乃伊

どれほどの激しい川が歪んでも拒める海の前に優しい