見出し画像

乗越たかおダンスマガジン評論集 【お試し版】 9

本書は2013年11月号から、2023年3月号までダンスマガジン誌(株式会社新書館発行 https://www.shinshokan.co.jp)に掲載された乗越たかおの舞踊評論をまとめた「集成版」のお試し版です。

1パックに評論が4本入って各300円とお値打ち価格で、気になる演目だけ読むのも可。第一弾は全21+1パックのラインナップで約10年間の流れがわかります。

※無断複写・転載を禁じます。この資料は、許可なく公開、書き換え、または再配布することはできません。

他の「お試し版」一覧はこちらから。

86本全てと特典評論4本収録のお得な「集成版」はこちら。

モーリス・ベジャール・バレエ団2017年日本公演


 (初出 ダンスマガジン 2018年2月号 約1200字)

/『魔笛』『ベジャール・セレブレーション』『ピアフ』『ボレロ』
ジル・ロマン『テム・エ・ヴァリアシオン』『兄弟』

 モーリス・ベジャール初来日公演から50周年の記念公演が行われた。これほどの時を超えて、なお作品が新鮮に人々の胸を打つのは、驚異という他はない。今回は衣鉢を継ぐジル・ロマンの作品を含む三つのプログラムが組まれた。ベジャールと特別な信頼関係を築いてきた東京バレエ団とともに、その巨大な足跡を多面的に照らし出す試みである。
Aプロは『魔笛』。バレエでオペラを描き切る、革新的な作品である。神話的なストーリーとは裏腹に、舞台は幾何学的でシンメトリーな造りになっている。それは「混沌と真理の共存」、つまり身体をコントロールしながらも超えていく、ダンスという芸術の本質を示すが如くである。

ここから先は

4,397字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?