海のない街

春日さん、夜の海を見たことありますか。
海、「はい。」
私彼と出会うまで夜の海を見たことがなかったんです。暗闇でぼーっとしているうちに波に飲まれて、誰にも気づかれず、溺れるんじゃないかなって怖かったんです。彼はそんな私を連れ出してくれました。
"みゆきちゃん僕の手を握ってな。""波が君を攫っても、僕が強く引っ張るから”って
彼に手を握られながら、見る夜の海は静かに私たちを見守ってくれました。飲まれない理由もわかりました。波が押し迫っても、次の波がそれを消してくれるからなんだ。

でも、彼は海の綺麗な街に消えました。

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