ジャルジャル福徳に惚れたM-1グランプリ2017
いやぁ……今年も終わりましたね、M-1グランプリ。
ラストイヤーに初の決勝進出で優勝を飾ったとろサーモン。優勝決定後の今田さんの『火花』のセリフに関するフリと、村田さんの返答、リーダー(渡辺正行さん)の「芸人さんがこうやって売れていくって……いいね」という熱い涙。
おなじみの「偏屈キャラ」ネタでも優勝候補筆頭だったのに、それにもう一段階パワフルなツッコミを加えて進化を見せつけた和牛。
代名詞の強烈なツッコミを「それいる?」と上沼恵美子さんに突きつけられたカミナリ。来年どう変化するのか、それとも独自のスタイルを貫くのか。
などなど、見どころ満載でしたが、個人的にもっとも印象深かったのが「結果発表後の芸人さんの表情」。
最終決戦進出が決まったとき、ミキのふたりは若手らしく派手にガッツポーズして喜びを爆発させていました。
一方、和牛、特にツッコミの川西さんは「まあ当然です」と思っているんじゃないかと思えるほどおだやかな表情。きっと、「確実に勝てる」という自信をもてるレベルまで仕上げてきていたんでしょう。実際に去年よりさらにパワーアップしていた今回の2本のネタには本当に驚きましたし、個人的には優勝でした。
そして、惜しくも最終決戦には進めなかったジャルジャル。
敗退が決まったとき、福徳さんはうなだれて、髪をぐしゃぐしゃにして、ため息をついて、落胆を露わにしていました。
その横でいつも通りシュールなボケを続ける後藤さんに対して、「よくこの状況でボケれるな!」とひとこと。
あのときの顔が切なすぎてもう……。
今回かまいたちがキングオブコント(KOC)との二冠を取るんじゃないかと言われていましたが、ジャルジャルも漫才とコントの「両刀使い」。M-1もKOCも決勝の常連で、素人目にもどれだけの実力者かということが分かります。
そんなジャルジャルは、YouTube公式チャンネルで数年前から「即興漫才」「即興コント」という取り組みをつづけています。その場で出されたテーマをもとに文字どおり「即興」でネタをつくるというもの。
こうやって発想力を鍛え続けてきたからこそ生まれたのが、ダウンタウン松本さんが最高得点を与えたあの「ピンポンパン」ネタだったんですね。
私は準決勝でもあのネタを見ていましたが、決勝で見るのが2回目でも、やはり死ぬほど笑いました。
そんな無数のネタを創ってきたであろうジャルジャルが勝負ネタに選んだあの漫才ですら、届かなかった最終決戦。
あのときの福徳さんを見て思いました。
「自分がこの場にいたら、こんなに悔しがれるか?」と。
「努力してきたことに対して、結果が出なかったら悔しい」という感情は、お笑いに限らず普遍的なものだと思います。
でも、そこで「ちゃんと悔しがれる」人ってそんなにいないですよね。
ちゃんと悔しがれるのは、ちゃんと努力してきた人だけ。
もちろん、努力をしてきても、あえて表情には出さない人もいると思います。
でも、あのときの福徳さんの表情からは、M-1に懸ける「真剣さ」が痛いほど伝わってきました。
もし自分の目指すべき道が絶たれたときーー
人目をはばかることなく悔しがれるほどに、努力できているか?
落胆で立ち上げれなくなるほどに、全力を尽くせているか?
そんな「問い」を投げかけられるほど、福徳さんの姿には胸を打たれました。もちろんうなだれる相方の横で、芸人としてボケ続けた後藤さんにも。
きっと今日は日本中で「ピンポンパン♪」「一個少ないやん!」という声が鳴り響いていることでしょう。
がんばれジャルジャル。ありがとうジャルジャル。
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