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【Day 55】本屋と電車 2020.5.21

家族全員、まさかの9時起き。大寝坊。

気のゆるみというか、緊張感の欠如というか。「こんなことではいかんぞ」と自己嫌悪に陥りそうな気持ちと「たまにはこんな日があってもいいよね」と自分を甘やかす気持ちが同居する。

とにかく冬のように寒いのは何とかならないものか。てっきりこのまま夏に突入すると思ったのに、今週いっぱいは気温の低い日々が続くらしい。考えてもみれば、まだ梅雨にもなっていないじゃないか。

朝ごはんは、ずいぶん久しぶりにカステラを食べた。妻と子が昨日、買い出しに行った際に買ってきてくれたらしい。実は無類のカステラ好き。食べろと言われたらずっと食べていられる。それでは太ってしまいそうなので、ケーキと同じで「好きだから普段食べないようにしている」のだけれど、目の前に現れたカステラにむしゃぶりつかない理由はない。

午前は仕事をしながら、とうとうエアコンのリモコンを手に取って「暖房」のボタンを押してしまった。なぜか冷暖房には「我慢比べ」の要素が自分にあって、暑くなり始めたときに冷房を、寒くなり始めたときに暖房を入れると、なんだか負けた気になる。

たぶんこの感覚を持っている人は他にもいっぱいいるはずで、ある友達も「冬にこたつを出したら負けたなと思う」と言っていた。我々はいったい、何と戦っているのだろう。

お昼ご飯を食べ、いつもの『ロスト・イン・スペース』を見て、息子がいっしょうけんめいコーヒーを淹れてくれた。コンロでお湯を沸かすところと、ドリップポットいっぱいに入れたお湯を最初に注ぐところだけは遠慮してもらって、それ以外のところはすべて息子がやってくれた。

美味しいコーヒーで一息ついて、午後も仕事に取りかかったけれど、寒くて身体がすぐれないし、大寝坊したせいで眠い。矛盾するようだけれど、たくさん寝ると、なぜか身体はさらなる眠りを欲するらしい。

全然調子が出ないので、夕方から家族で散歩がてら、歩いてスタバに行くことにした。スタバは緊急事態宣言下にある首都圏と北海道はテイクアウトのみ、それ以外の府県ではイートインも含め、再開することになった。お店を閉める判断も、開ける判断も、コーヒーチェーンの中で一番早い。さすがは業界の雄である。

というよりスタバは、コーヒーチェーン業界の雄であるというイメージのすり込みが上手いのかもしれない。マスコミを通じて顧客と上手くコミュニケーションを取れている節があるし、そのためにPR部隊がマスコミと良好な関係を築けているように思う。自分たちは何をすべきで、何を通じてそれを伝えるべきかをきちんと分かっている会社だなあと思う。

けっこう混んでいるのではと思われた最寄りのスタバ、意外にもお客さんはほとんどいなかった。テイクアウトのみだから客が滞在しないこともあるだろうけど、正直意外だった。小雨が降ったり止んだりのお天気だったことも理由のひとつかもしれない。

スタバもいいけど、ドトールはどうかな、他のチェーンはどうかなと気になりはじめ、すこし足を伸ばして吉祥寺の街中まで行ってみることにした。スタバがこの調子なら、街全体もそこまで密ではないかもしれないと期待した。

サンロード商店街に着くと、驚いたことにほとんどのお店が営業を再開していた。いや、ずっと来ていなかったから、そもそも閉めていたかどうかも分からないのだけれど、メガネ屋さんや靴屋さん、ガジェット屋さんに本屋さん、どこもかしこも通常営業だ。

せっかくの来たので「いいかなあ、大丈夫かなあ」と思いつつ、それほど混んでなかった本屋さんにすべりこんだ。本屋さんなんて何日ぶりだろう。読みたい本がたくさん並んでいたし、タイトルを眺めるだけでわくわくしてきた。何か一冊買っていこうと思い、あれこれ悩んで、最近発売されたばかりの新書「香港デモ戦記」を買った。


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去年、初めて仕事で香港に行って以来、デモの記憶がまだ新しい。デモの現場には行かなかったけれど、時期的に過熱していたころだったし、ホテルでもずっとデモの生中継を見ていたし、自分の中で関心度がまだまだ高い。コロナのニュースでかき消されがちだが、かの地ではまだまだ戦いが終わっていないことも知っている。改めてこの本を読んでおきたいと思った。

そろそろ戻ってスタバのコーヒーを飲もうとしたけれど、もう晩ご飯の時間になっていたので、コーヒーではなく夕食をテイクアウトすることにした。どこがいいかなあと探していたところ、今まで一度も利用したことのなかったしゃぶしゃぶ屋さんの看板が目に入った。しゃぶしゃぶ屋さんだけど、なぜかカレーがテイクアウトできるらしい。

さっそくお店の入口まで行き、店員さんに声をかけてオーダーすると、仕上がるまで15分ほどかかるのでお店の中でドリンクバーをご利用くださいと促された。「え、いいの?」と、戸惑いつつ中に入ると「テーブル何席あるの?」と数えたくなるほど広いお店だった。

カレーが用意されるのを待つあいだ、ドリンクバーを利用してジュースを一杯いただいた。まわりの席には若者のグループが一組いただけで、他には誰も座っておらず、がらんとしていた。密とは真逆の状態だから、何もテイクアウトじゃなくても、このまま店内で食べてもいいのではないかと思ったものの、やはり緊急事態宣言は守らなければという意識がよぎる。店内に入ってしまっている時点で今さらという気もするけれど。

親切な店員さんからカレーを受け取り、家に帰ろうと商店街のアーケードを抜けると、冷たい雨が降っていた。このままでは風邪を引きそうだったので、意を決して電車に乗って帰ることにした。乗客が多ければ諦めるつもりで様子を見たところ、大丈夫そうだったので「えいや」と改札をくぐった。車内も間隔をあけて座れるほど空いていた。

目の前に若い男性が座っていた。テイクアウトしたらしいスタバのカップを両手に抱えていた。いつも行きつけだった店に久しぶりに行ったのだろう、カップスリーブに店員さんのものと思われる手書きの文字で「○○さん、久しぶり!」と書かれていた。

そういえば電車に乗るのはいつ以来だろうと気になって、Suicaの履歴をiPhoneで調べてみたら、なんと最後に乗ったのは3月24日だった。実に2か月ぶり。肌寒く、雨が降っているのに電車の窓が一部開いていて、なるほどウィルス対策で換気のためにこのような対応を取っているのかと初めて知った。

報道によれば、東京を含む首都圏も来週には緊急事態宣言が解除されるかもしれない。NHKのニュースによると患者数に対して病床数が確保できているようで、この週末を乗り切れば2か月ぶりの日常(に近い姿)が戻ってくるのかもしれない。

それを「収束」と呼べるかどうかは疑わしい。有効的なワクチンが開発されたわけでもないし、第2波、第3波は確実に来るとも言われていて、状況のとらえ方としては「一時的に収束傾向にある」くらいに思っていて間違いないだろう。

55日連続で続けてきてきたこの日記。書き始めたとき「収束したら終わり」のルールを設けたけれど、緊急事態宣言が解除されたら、自分はその筆を置くのだろうか。

仕事に使える貴重な時間を執筆に費やしているのを他のことに有効活用したほうがいい気もするし、ここまで続けてきたのだから後でふり返れる貴重な自分史としてもう少し書き残しておきたい気もする。

今日はまだ、結論を出せそうにない。

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