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お豆は苦手でも、金時豆は食べられる

突然ですが、僕はお豆が苦手です。

居酒屋で最初に出てくる枝豆には手をつけないですし、節分の豆も投げたら終わり。ひよこ豆やレンズ豆、黒大豆も食べないことはないけれど、積極的には口にしません。

でも「金時豆」だけは大好物です。子供のころから好んで食べてきました。

豆は総じて苦手だけれど「あんこみたいに甘くておいしいから食べる」という例外はあるわけです。

今日はそんな「例外」にまつわる話。



さて、ハイモジモジの製品に「WORKERS'BOX」という収納ボックスがあります。

弊社デザイナーが共有デスクを書類で散らかしまくった末に「お片づけが苦手な自分でも片づくようになるものを作ろう」とデザインされた紙製のボックスです。

そこで以前、リリースに先駆けて「なぜモノは片づかないのか」という討論コンテンツをアップしました。

お片づけが苦手なひとの思考を探りながら、その解として「WORKERS'BOX」が生まれたことを紹介する開発秘話でもありました。




このコンテンツに対して、Twitterを中心に大きな反響が寄せられたのですが、とくに目立ったのが「これは私のことだ」という意見でした。

この片づけられない女性の話を聞いていると、まるで自分のことのよう。私の散らかったデスクもまったく同じ状況だ。まるで私のために作ってくれたみたい。そんなコメントが数多く寄せられました。

それ以来、僕は「WORKERS'BOX」の情報を「お片づけが苦手なひと」に向けて届けようとしてきました。「片づけられない人でも片づくようになりますよ」と、オンラインでも販売イベントでも声高に謳ってきたわけです。

ところが、そこには大きな見落としがありました。



先日、とある省庁にお勤めの方が「WORKERS'BOX」を使ってるよと仰っていたんです。

ただ、省庁に勤めるような方々はもともとお片づけが得意そう。なにせ彼らは選りすぐられた日本屈指の「事務方」ですし、書類の整理なんてお手のもの、のはず。

ところが話を聞いてみたら「そんなことない」「書類がめちゃくちゃ散らかってる」と仰る。

なぜなら、忙しいから。日々、仕事に追われて「書類を片づけている暇がないんだ」と。

僕はそのお話を聞いて、ハッとしました。もしかしたら、大きな見誤りがあったのかもしれないと思ったんです。

この図を見てください。


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今まではこのように青い部分の「お片づけが苦手なひと」に向けて「WORKERS'BOX」の情報を発信していたんですね。

でも、たとえお片づけが苦手じゃなくても、むしろ得意であっても、状況によっては書類が散らかることはあるんですよね。「忙しくて手が回らない」という条件下では、実際問題として書類をきちんと片づけられていないケースがある。

ということは、お片づけの得意・不得意に関わらず、現に書類が散らかっているひとすべてのひとが「WORKERS'BOX」のユーザーになり得るはずなんです。

先の討論コンテンツで反響があったことに気をよくしたおかげで、僕は正確なターゲットを見誤っていました。対象になり得る方々を視界に入れず、自ら対象範囲を狭めてしまっていました。

お片づけが苦手なひと「だけ」が、かんたんに片づけられる製品を欲しているのではと、問いの立て方がズレていたのです。

正確なターゲットは、次の図であるべきでしょう。


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たとえばお豆が苦手な僕でも「あんこみたいに甘ければ」という条件下では、むしろ金時豆などは好物になります。人間そんなにすっぱり割り切れるものではなくて、例外というのがあるんです。

そう考えると、たとえば僕が豆製品の製造メーカーだとしたら「お豆を食べないひとはまったく食べない」と決めつけて、お客さんとしてカウントしないのはもったいない。

むしろ「ふだんお豆を食べない人でも食べたくなるお豆とは何か」という問だって立てられるはずなんです。

まだ誰も気づいていない、開拓されていない「市場」を、問いの立て方次第で生み出すことができる。



モノづくりをしているひとや、何かを販売しているひと、情報を発信しているひと。モノでもサービスでも何でもいいです。誰かに何かを提供し、その喜びの対価を得ようとするすべてのひとは「問いの立て方」が大事です。

その問いが不正確であれば、出てくる答えもズレたものになります。正しい問いを立てることが、正しく、強く支持される答えを導き出せます。

そして、すでに世の中にリリースしたものでも「その問いははたして正しいだろうか」「いまの時代に合っているだろうか」と、常に自己点検したいものです。

僕も今回、先の省庁にお勤めの方に出会わなかったら「WORKERS'BOX」を中心とした「お片づけが苦手なひとに向けたサイト」を新たにオープンさせるところでした。

あぶない、あぶない。

さあ、もう一度、販売戦略の練り直しです。

おっとその前に、金時豆をいただきます。甘くて、おいしくて、何粒でもいけるんですよこれが。


▼こちらが現に書類が片づいていない方々に便利な「WORKERS'BOX」です。いま目の前のデスクが散らかってるひと、このボックスでさくっと片づけちゃいましょう。デスクが片づいてると、仕事がぐんとはかどります。



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