見出し画像

さらばリストイット、9年の軌跡。

ハイモジモジの松岡です。

2010年に創業し、同時に発売をスタートさせた腕に巻くメモ「LIST-IT(リストイット)」が全数を完売しました。

私たちも愛着のあるデビュー作でしたが、ここらで一息ついてもらおうと判断し、これにて販売終了となります。

そこで、これまでの9年に及ぶ歴史と思い出をつづっていこうと思います。



もともとはリストイットは、ハイモジモジの創業以前に趣味で制作し、個人としてデザインフェスタに出展したことが始まりでした。

一橋大学国立キャンパス近くのモスバーガーでふと、

手の甲とかにメモしてる子いるけどさ、わざわざペンで書かなくても、書いたものを手首に巻いたらいいんじゃない?リストバンドみたいにさ。

と思いついて、実際に作って、試しに販売してみようと思ったんです。

そうしてハサミで切って自作したものが完売し、お客さんから「商品化したほうがいいよ」と声をかけていただいて、のちに、ほんとに会社を立ち上げたのでした。

画像1

(出展の様子とか、昔すぎてまともな写真が残ってない)


さて、2010年のハイモジモジ社設立にあわせて「カラフル」「ポップ」「ナチュラル」の3シリーズを一挙生産。

画像2


当初はコストを少しでも下げるため、自分たちで帯で束ねて、袋入れ作業を行っていたのですが、慣れない作業な上にやることが細かすぎて、頭痛で寝込んだりもしてましたっけ。

画像3

(もう二度とやりなくないよー)


その後、100均で売っているプラケースで「行商セット」をこしらえて、近所の文房具屋さんに飛び込み営業。

ところが「商品は問屋さんから仕入れてるから」と、まったく相手にされず。

えっ、問屋さんってなに? 下代って? 卸したら赤字じゃない。当初はそんなレベルで、ほんと小売に無知でした。とほほ。

画像4


文房具屋さんを一軒ずつ回るのは性格的に向いてない。効率もよろしくない。全国を回れるわけでもないし。

と、早々にあきらめ、今度は当時普及し始めたTwitterでツテを探ることに。

「文具」でプロフィールを検索すると文具好きや小売関係の人たちが引っかかり、さっそくひとりの問屋さんと出会います。

そしてすぐさま、新規オープンするロフト京都店への導入が決定。

その連絡を電話で受けたときは、夫婦でハイタッチで喜びましたね。場所は今はなき国立駅前のルノワールでした。

画像5


初めての「出荷」を行ったあと、自分たちが作った商品が初めてお店に並んでいる様子がどうしても見たくて、新幹線に飛び乗ってロフト京都店に行きましたね。

画像6


ありました!ほんとに並んでました!

画像7

(このときの感動といったらもう)


そして2010年10月。

そのとき、歴史は動いた。

昨今の「文房具ブーム」のきっかけを作った伝説的ムック「すごい文房具」が刊行されました。

我らがリストイットも誌面で紹介され、時代とシンクロする万能感に包まれましたね。

いや、狙ったわけじゃないんですけどね。ほんと、たまたまです。

画像8


その後、ハイモジモジ2作目の商品であるキーボードに立てる伝言メモ「Deng On」の発売に合わせてリニューアル。

100枚入りのアソートパックと20枚入りの単色パックをリリースしました。

画像9

画像10


すると文房具コーナーの中でもどのジャンルに属するのか分かりにくかったのか、かえって功を奏しまして。

レジ前の一等地などで「Deng On」とあわせた「ハイモジモジコーナー」を全国の小売店さんで展開していただくことにつながりました。

画像11


もう、イケイケのこの時代。

超有名ドリンクメーカーから「ペットボトルのベタ付け(フタについてるオマケ)として採用を検討している」との電話が入ります。

数量は180万個。利益を10円ずつ乗せたとして1,800万円の儲けか。うおおお、船で世界一周ができるぞ!

などと浮かれていたら、その話はなくなりました。皮算用はいけませんね。


そうそう、広島県立高陽高校の生徒さんからは「プレゼンテーションの授業で紹介させてほしい」との連絡をもらいました。

「これは面白そうだ」と、逆にこちらからお願いして、授業を見学させてもらいました。

「大学を卒業したら会社を経営してみたい」と言っていた生徒さん、今も元気にしてますか?

画像12

画像13


青森ピンクリボンプロジェクトさんからも連絡をいただいて、正式コラボすることに。

社会的に意義のある活動に携われて、とても誇らしい気持ちになりましたね。

画像14

画像15


コラボといえば、味の素さんのアジパンダとコラボして、お買いものの「うっかり」をなくせるのではと、内々で勝手にデザイン。

画像16


ここまでつくったのに、なぜか正式に提案することなく、自主的にお蔵入り。

いやあ、アタックしておけばよかったです。個人的にも欲しいもの。

画像17

画像18


さらには「般若心境を腕に巻いて持ち歩ければいいのでは」というアイデアを考えるも、こちらもお蔵入り。

というか、なんだ、なんなんだこの企画は。なんでこんなことを考えついたのか。

今の今まで存在を忘れてたよ。

画像19

画像20

画像21


うまくいった例もあります。

アメリカの文具メーカー「Knock Knock社」から「メモを腕に巻くアイデアを売ってほしい」との依頼を受け、正式にライセンス契約。

契約社会アメリカと英文で契約書を交わす気苦労はあったのですが、なんとか無事に締結に至りました。というか、めちゃくちゃ良心的な会社さんでした。

そんなわけで、アメリカ版リストイット「WRIST NOTE」が全世界で発売されたこともありました。

画像22

画像23


国内向けの商品もパワーアップ。

100枚入りアソートパックのラインナップに「Pastel」「chic」のシリーズを追加。

さらにはプラケース入りで持ち運びも便利に。

画像24


さらには、看護師さんなどから「水に濡れても破れないものを」と定期的にリクエストをいただいていたのですが、いい素材がなくて困っていたところ、クリーニングタグに使用されている「耐洗紙」と出会います。

こうして待望の耐水版、リストイット・タフをリリースしました。

画像25

画像26


これ、ほんとに丈夫で、1週間つけっぱなしでお風呂に入っても破れないほどでした。

画像27


この「耐洗紙」との出会いが、のちに「TAGGED」シリーズへとつながっていくのですが、ここでは割愛。

とにかくリストイットは「文房具を(会社支給ではなく)個人で買う時代」のはじまりに呼応したかのような絶妙なタイミングで世に登場し、各種メディアでたくさん取り上げていただきました。

一番反響があったのは、やっぱりテレビ番組「雑学王」かな。クイズの題材にしていただいて、番組の放送中から注文メールが鳴りやみませんでしたね。

いやはや、こんなヘンな商品を「文房具」として受け入れてくださった方々に、改めてありがとうを言いたいです。


画像28


文房具のヒットはせいぜいもって1年と言われていた中で、9年とたいへん息の長い商品になりました。

改めて計算してみたのですが、本数で言えば累計300万本を出荷してたみたいです。ほんまかいな。

これまでリストイットを愛用してくださったみなさんに心から感謝です。どうもありがとうございました!

そしてこれからも、ハイモジモジをよろしくお願いします!



ハイモジモジは「Kneepon from Nippon!」を合言葉に、思わず膝を打つようなアイデア商品をここ日本から放つべく、日々活用しています。

よかったらサイトにアクセスしてみてくださいね。


最近のイチオシはこれだよ、書類があっという間に片づくワーカーズボックス。


ありがとうございます。励みになります。