じゆうちょう

今月初旬に発売されたニンテンドースイッチ用のゲームソフト、『ことばのパズル もじぴったんアンコール』を気が向いた時に遊んでいる。
『もじぴったん』とは、いわゆるクロスワードパズルに一捻り利かせた感じのゲームとなっており、場面場面で当てはまる文字を埋めていくパズルゲームである。

例えば、「 あい」と文字が並んでいたら、そこに何を埋めるだろうか。
いあい(居合)、きあい(気合)、しあい(試合)といった具合に場合場合によって文字を埋めていくことができる。
さらには「 いあい」の頭に"あ"を加えて、あいあい(アイアイ)等というようにゲーム内の辞書に収録されている単語(ざっと10万語以上を数えるらしい)であれば、モアイ、ウルグアイ、ワイファイ(Wi-Fi)等とどんな文字でも使用できる。

他に細かなルールを言えば、挑戦するステージによって使用できる文字が限られていたり、制限時間内にクリア条件を解かなければならなかったりと飽きさせないゲーム性を持たせている。
中でも言葉の連鎖システムは秀逸であり、「 まい」という例では、せまい(狭い)を使っても良いが、あまい(甘い)を選んだ時にあま(尼)も完成していてその分の点数が加点されるため、せまいの時よりも高得点が得られるようになっている。
そのため場面に応じて使用する文字、並べる順番を考える必要が出てくる。

さて、先述の通り、気が向いた時にこのゲームを遊んでいた今日であるが、進捗は866面ある内の50面とあまり進んでいない。
それでもこの50番目の『じゆうちょう』で愉快な時間を過ごしたので、こうして書き進めてみた。

ゲームを初めて触る人向けにデザインされている入門用のステージ、かんたんキッズは(1)から(3)まで、その最後の『じゆうちょう』は9×11のマス目を制限無く使える文字で全て埋めていく条件となっており、これまでの総仕上げでもあり次に待ち構える初級ステージへの入り口でもある。
特に何も注意することなく思いつくままで文字を埋めていってもクリアできるのだが、ふとゲーム画面の右下、当ゲームのマスコットキャラであるもじくんの発するメッセージに手が止まった。

しょうらい、きみがおとなになっても…
ぼくたちはずっと、きみのそばにいるよ。
ことばは、いつまでもきみのともだちだよ。

思えばステージ開始の際にもこのようなメッセージが流れている。

「すてきなことばをたくさんつくろう」

わたしはゲームクリアにちょっとだけ趣向を含ませた。
縦の"浄土真宗"と横の"運動場"をクロスさせてクリアできるように進めていたのだが、"浄土真宗"と"有終の美"で終えるようにと路線を変更した。
その意識は不思議な方向へ働き、「優勝旗、ビール掛け」といった賑やかな単語も次第に「古老、老兵は死なず、クランクアップ、新旧交代」と変容していく。
頭の中では、「実際に子供が遊んだとしたらどんな言葉になるのだろう」と考えているはずなのに、意識下にある単語はどれも時代を感じさせる。
再び、もじくんのメッセージに手を止める。

しょうらい、きみがおとなになっても…

"有終の美"、一呼吸おいて最後の文字を埋めた。

あ、でも、"クランクアップ"の中に"ランクアップ"が含まれて、にやけてしまった事もここに付け加えておこう。
かんたんキッズ(3)の『じゆうちょう』、ささやかな時を感じさせるステージだった。

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