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【ポケモン最新作】ネモアオ概論

 2022年11月18日にポケットモンスターシリーズ最新作『スカーレット・バイオレット』が発売されました。この記事を読んでくれている人の中にも既に購入してプレイされている方がいるのではないでしょうか。オープンワールドを銘打った今作ではストーリーも今までより遥かに自由度が高いものとなり、新たに追加されたポケモンたちだけでなく、個性豊かな登場人物たちがゲーム全体を盛り上げてくれています。
 個人的な感想としては、今回はグラフィックの進化も相まって非常に魅力的な登場人物で溢れており、プレイヤー個々人にとっての「推しキャラ」も現れたのではないかと感じました。その中でも私自身が特に感銘を受けたカップリングを今回は紹介させていただきたいです。それは女主人公アオイ(プレイ時には好きな名前を設定可能)・そのクラスメートであるネモ(画像下)からなる「ネモアオ」です。
※主人公と作中人物の関係性を扱う記事となりますので苦手な方はご注意ください。

https://www.pokemon.co.jp/ex/sv/ja/character/220601_02/

 今作では主人公が学校に編入するところから物語が始まり、主人公は学生として冒険の旅に出ることとなります。このネモというキャラクターは主人公のクラスメートであり、旅の道中何度もポケモンバトルをすることになるいわゆる「ライバルキャラ」の立ち位置な訳ですが、今までのポケットモンスターシリーズと比較すると明らかに異質な存在となっています。これまでに登場したライバルキャラといえば、ほとんどが主人公と共にポケモントレーナーとしての第一歩を歩み出し、主人公とのバトルなどを通して共に成長していく存在でした。しかし、ネモは実家が主人公の隣家でかつクラスメートという境遇の近さこそあるものの、主人公が入学しポケモントレーナーとなった時には既に学校の生徒会長とチャンピオンクラスのトレーナーを兼任する作中最強クラスの実力を持っていました。道中のネモとのバトルは全てネモ側が力量を調整しており、先輩トレーナーのネモが主人公の成長を見守るあまりにも一方的な関係になっています。

https://www.pokemon.co.jp/ex/sv/ja/character/220601_02/

 なぜネモアオがここまで刺さるのか。ライバルと呼ぶにはあまりにも歪な関係のこの二人が。私自身普段からライバル関係を特に好んでいるのですが、歴代のライバルトレーナーでここまで刺さった関係はありませんでした。ここまで刺さったわけはネモのあまりに強い執着、渇望にあります。そもそもネモという人物、生徒会長を立派に務める、他の生徒や教師からの信頼も厚い優等生なのですが、かなり変わった一面があります。彼女はもはやバトルが大好きを通り越したいわゆるバトルジャンキー、戦闘狂なのです。彼女のバトルに対する行き過ぎた情熱はセリフの節々に反映されており、他のメインキャラからも度々呆れられるほど。しかもバトルの実力は間違いなく本物で、作中最強クラスかつバトルに飢えたネモについていけるトレーナーはいませんでした。そんなネモがストーリー序盤から執着しているのが主人公アオイで、主人公の才能溢れるバトルを目の当たりにしたネモは主人公の中に自身が熱くなれるライバルの姿を見出し、以降主人公の旅路に現れては主人公をチャンピオンランクのトレーナーへと導いてゆきます。

https://www.pokemon.co.jp/ex/sv/ja/character/220601_02/

 ストーリーを通した主人公の成長の軌跡は、そのままネモが理想のライバルと巡り合う過程となっているのです。血のたぎるバトルに飢えたネモはライバルの存在を渇望し、依存とも言えるほどの大きな期待を主人公アオイに向けることとなります。
 共に成長するライバル関係ではなく、ライバルという関係性を成長させていく、ある種の狂気を孕んだ依存のような関係、ネモアオの真髄はここにあると私は考えています。
 それでは、最後にネモのセリフをいくつか紹介してこの記事を締めようと思います。
※ここからは『ポケットモンスタースカーレット・バイオレット』のエンディングまでのストーリーネタバレを含みます。未プレイの方はご注意ください

https://www.pokemon.co.jp/ex/sv/ja/character/220601_02/






ポケモン勝負 するなら
わ た し と!
……でしょ!?

テーブルシティでのスター団したっぱとの戦闘後に駆けつけてきたネモに言われてしまいます。初見でこのセリフを見て面食らわないトレーナーはいないでしょう。生徒会長としてスター団を咎めに来たのかと思いきや強烈な独占欲を発揮してきます。私はこの発言でネモの内に潜む狂気に気付かざるを得なくなり、ネモアオの沼にハマっていきました。

これ あげとく!
わたしだと 思って 使ってね

一つ目のジムに訪れた際にネモからこのセリフと共にいいキズぐすり3個をもらえます。このセリフも先程に引き続きネモの狂気を加速させているように思えます。すぐにはバトルしてあげられない分代わりに渡しているのでしょうか…よりにもよって消費アイテムを…

…アオイ

アオイが
もっと
もっと
もーっと 強くなってさ

いっぱい いーっぱい
勝負できたら…… うれしいな

3つ目のジム戦前にネモと勝負することになるのですが、その後に言われるセリフです。ネモのライバルへの渇望とそれ故に強くなる主人公への想いがひしひしと伝わってきますね。主人公の秘めた可能性を認めているからこそ、そして自分の強さを自負しているからこそ出てくるこのセリフ。こういった関係性が大好きです。

わたしの
ライバルに なってください!

出ました…。主人公がチャンピオンランクに到達した後についに満を辞してネモから発せられたこのセリフ。自分の見込んだ才能の持ち主が最高の成長を遂げて自分と対等な立場にまで上り詰めて目の前にいる…ネモからすればこれほど嬉しいことはないでしょう。情景の壮大さといいもはや告白なんですよね。選択肢をでいいえを選んだ後の執拗な粘りも見ものでした。ずっと自分と対等に渡り合ってくれるライバルを探していたネモがやっとのことで遂に巡り会えた主人公。彼女を超えたい。超えられたくない。この2人にはいつまでも楽しくバトルをしていて欲しいというのが1プレーヤーとしての勝手な願いです。

※画像掲載元
『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』公式サイト


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