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【50代の大学生日記 第26話】2才は3才より大きい? 常識が通じない紙袋の世界

 ゴールデンウィークですね。ご近所のお店にこんな貼り紙がありました。

いや、ムリに5月2日だけ営業せんでも・・・ 中途半端やなぁ~
このお店はもともと「日曜定休」でしたが、コロナ禍以降「土曜・日曜・祝日定休」に変わっており、カレンダー通りだと5月2日と6日が営業になります。でも平日にそれほど賑わっているわけでもなく、わざわざ5月2日に営業する店主の意気込みと、結局この日何人のお客が来たのか聞いてみたいものです

おまけ 車折神社のつつじ

 さて、57歳にして学生アルバイト小売業に従事するようになった私。前職は機械系エンジニアと畑違いだったこともあり、仕事中に「へぇ~、知らんかった~」と知的好奇心をくすぐられることが多い毎日です。
 先日、倉庫に、お客さんに商品を入れて渡す紙袋(チャームバッグ)が届いたのですが、トップの写真のように「2才」「3才」という謎のワードがわかってあたり前と言わんばかりにあっさりと書いてあります。えっ? 紙袋って歳をとるの? この表示は何を意味するのかさっぱりわからん。しかも側面に書いてあるサイズをよく見ると、下写真のように「2才」のほうが「3才」よりも大きい。う~ん衝撃的。


ボク2才ですけど~ 3才になったらきっと今より大きくなるよ~

 このチャームバッグを買った「商売繁盛をがっつり支援! パッケージプラザ シモジマ」さんのHPに出ている「紙袋サイズ規格表」によると、紙袋のサイズは一般的に、例えば幅18センチメートルの紙袋にはマチや高さ違いで4つの規格があり、それぞれ「18-1」「18-2」「18-3」「18-4」と名付けられたような規格が使われています。ただ後ろの1~4は大きさの順番になっているわけでもなく、規則性があるわけでもなさそうです。出現した順番なのか何かなのでしょうか?
さらに、この数字で示された規格で統一されているわけでもなく、ほかに「スタンダード」とか「カスタム」という固有名詞で呼ばれるサイズも同居しており、これまたさらに、同じ規格表の中に「2才」「3才」というサイズも同居していて、いくつもの家庭が同居している憧れの一夫多妻家庭のようです。(どういう例えやねん!)
これを見て、「2才」「3才」って何なのか、ますますわからなくなってしまいました。

 うちに帰ってネット検索してみましたが、なんで「2才」「3才」なのかといった情報はほとんどなく、静岡福祉大学子ども学部子ども学科に当時在籍されていた国語学がご専門の久島茂先生が2015年11月30日に同大学HPの「教員ブログ」で書いておられる記事が唯一の情報源でした。このブログによると、紙袋を作るときの原紙は「ハトロン版(1200mm×900mm ≒ 4尺×3尺)」であり、この紙から効率的に2つの紙袋を作ったときにできる紙袋のサイズが「2才」、3つ作ったときにできる紙袋のサイズが「3才」なのだそうです。つまり「2才」は原紙を2つに裁断してできるサイズすなわち「2裁」の意味で、「裁」の字が簡略化されて「才」になったもの、同様に「3才」「3裁」が転じたものだと先生は結論付けられています。なるほどだから「2才」のほうが「3才」よりも大きいんだ。字についても、確かに年齢を表す「歳」の字も、簡略化されて「才」と書かれているわけで、「裁」が簡略化されて「才」になっても別に不思議ではありませんよね。
 それよりむしろ、私は原紙が「ハトロン判」であることにツッコミを入れたくなりました。なんで、ISO国際規格の「A版」でもなく、日本古来の規格である「B版」でもなく、イギリス規格ベースの「四六判」でもなく、アメリカ規格ベースの「菊版」でもなく「ハトロン判」やねん。
 「ハトロン判」「ハトロン」はドイツ語の「パトローネンパピヤー」(弾薬の薬莢を包み紙)の日本語訛り(?)で、日本では薬莢を包む紙のことを「ハトロン紙」と呼んでいたのですが、その紙の原紙のサイズが日本では4尺×3尺だったので今もこれを原紙とする「ハトロン判」というサイズが残っているのだそうです。ややこしいので整理しておきますが、ドイツ由来なのは「ハトロン」という言葉だけで、ドイツに4尺×3尺などという日本の古典的規格サイズがあるわけではありません。そしてこの「ハトロン紙」はもっぱら包装紙として使われたことから、今でも包装紙や紙袋の世界の原紙は「ハトロン判」が幅をきかせているのだそうです。
 う~ん、書道用品の世界に負けないぐらい奥が深い。ほんまに毎日新しいことを勉強していることを実感しますなぁ。ではまた。

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