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【50代の大学生日記 第6話】文庫本の「へぇ~知らんかった!」を語る

エンジニアから「文芸コース」の学生へ転職(?)した私。でも文学作品をほとんど読まなくなってから何年になるのだろう・・・
大学のガイダンスのアンケートで「最近読んで印象に残った作品は?」と聞かれて「読んでない」としか書けずショックを受け、リハビリのつもりで、時間があればひねもす本を読んでいる今日この頃です。

新潮文庫を読んでいると、「おぉ~ ブックマークの紐がついてる!!」

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文庫本に「紙の栞」が付いてない本が多く、あれ? 昔は「こんなにいらんわ!」って言うぐらい何枚も広告入栞がはさんであったのに・・・ どこまで読んだかわからんようになるやんけ。と思いつつ別の本の「紙の栞」を使いまわしてました。でも紙は落ちたり飛んでいったりして使い勝手が悪いなぁ・・・と毎日のように思っていた私は「新潮文庫スゴイ!!」と正直感動。この紐について調べてみました。
この紐は「スピン」とか「栞紐」と呼ばれるそうですが、スピンは語源不明の和製英語で英語では「ブックマーカー」と言います。文庫本業界では老舗の岩波文庫が「スピン付」の造本をし、後発の各社もこれを踏襲しましたが、コストダウンのため1970年に岩波文庫がスピンを廃止、他社も後を追い廃止したのだそうです。
しかし、岩波文庫と並ぶ老舗の新潮文庫「安価で軽装な文庫本といえども立派な書籍なのだから、これを蔵書として扱う読者に応えたい!」という信念のもと(一説には創業者の遺言だとも)現在までスピンを付けているのだそうです。
うわっ、新潮文庫大好き!! こういう人に私もなりたい!!
ということで、現在は新潮文庫星海社文庫の2社のみスピンがついています。

でも文庫本の構造上、スピンを付けてしまうと本の上側の面を切断して揃えることができない(切断するとスピンも切れる)ため、上の面だけギザギザになっている「天アンカット」という製本になってしまいます。
(下の写真:上2冊は新潮文庫 上の面がギザギザ 下2冊は集英社文庫、河出文庫 上の面が切り揃えられている)

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(下の写真:横から 右2冊が新潮文庫、その左は集英社文庫、河出文庫)

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ただ、「天アンカット」「このほうがフランスの本の装丁みたいでかっこいいじゃん!」という理由で、スピンと関係なく採用している会社もあるらしく、岩波文庫ハヤカワ文庫も上の面はギザギザになっています。

これだけでも、元書店員バイト(文庫本担当)だった私でさえ目からウロコなのですが、まだまだ奥の深い話があります。
新潮文庫の紙は「新潮文庫用紙」と呼ばれる専用の紙なのだ!
下の写真でおわかりいただけるでしょうか? (蛍光灯の下ではわからん)新潮文庫は目が疲れないようにとの配慮で若干赤茶色がかっています。私は心なしか日焼けしているのかな?ぐらいに感じてました・・・
(下の写真:右側が新潮文庫、左側が集英社文庫)

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さらに、驚いたことに!
文庫本の紙の厚さも出版社によって違うのだ!
湿度によっても変わるので参考値ですが、ある人の調査によると、1枚の厚さは、新潮文庫:66μm、集英社文庫:70μm、幻冬舎文庫:91μm
(μm=1mmの1000分の1 いわゆる「ミクロン」)

さらにさらに、驚いたことに!!
文庫本のサイズも出版社によって違うのだ!!
一般的に文庫本サイズとは「A6サイズ(105mm×148mm)」なのですが、高さは各社違っていて、講談社文庫や河出文庫は148mm、新潮文庫は151mm、集英社文庫は152mm、ハヤカワ文庫は156mmなのです!
書店員バイトでヒマがあれば紙を折ってブックカバーを作っていましたが、出版社によってサイズが違うとは知らんかった!! 言われてみれば確かに、ブックカバーを付けるときになんとなく違和感を感じるときもあったような・・・ (気づけよ!)
(下の写真:左から河出文庫、新潮文庫、集英社文庫、ハヤカワ文庫)

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いやぁ、今日は勉強になったなぁ! 別に知らんかっても何も困らへんけど。でも知識欲が満たされると気持ちいいなぁ。これって私だけ?
まだまだ人生勉強はつづく。ではまた。

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