見出し画像

北方から南方へ

 neeさんへ
久しぶりにお手紙いたします。
カナダから帰国してひと月が経ちました。
長い長い北方の暮らしにもやっと慣れた頃に帰国だったのでそれはそれは言葉でいい表すに言葉ほど脆く鋭いものはないと言葉を失う喪失感でした。それはフラッシュバックという現象で私の前に現れる始末で、もうこれはどうしたものかと、ならば思い切って南方へ行ってカナダで感じた類似点や相違点などもふむふむしてみるのも良いかなと、でも時世は険しく、カナダではあんなに平和的だったのに、移動するのも一苦労。やっとこさここまで来れても自由に飲食する気にもなんとなくなれず、そんな時、あなたがふっと島ねこのようにやってきて、採れたてのローズマリーや黄色い時計草の実、完熟のマンゴーなんかを星を眺めながらどうでしょうか?と、そんな嬉しい誘いに何せ1人の時間がとても長いカナダの習慣が身についてしまったので他人の時間を割いて甘えてはいけないのではないだろうかという戸惑いもややありましたが、一緒に多良間の料理人がこさえた美味しい弁当をむしゃむしゃと頬張り、カナダ土産話などを笑い涙しながら、そんな中でも伊波普猷のあの本の話があなたの口からまた出るものだから、しかも、ネフスキーの書いたものからそれを気づいたというのだから、私とあなたと伊波普猷のあの本というのはなんだか不思議な縁がありますわね。そして私は大好きなれんぶなんかを齧りながら、ネフスキーのいた時代にこの南洋の島に想いを馳せた折口や柳田、そして惣之助のことも考えるのでした。

そうそう、満天の星の煌めく海岸の暗闇をどうもありがとう。
あの暗闇にいた時間がカナダから帰国して一番安堵し受容されたひとときでした。そして、他所者私を歓待してくれたあなたと暗闇に煌めく星たちの世界に、宇宙に、地球に生まれた霊長類ヒト科としてこうして生き続けられ無事にあの北の国から戻れたこと、たくさんの気づきがあったこと、体はポンコツですが、ゆっくりまた始めたいと思います。どうもありがとう。

宇宙で星もずっと生きてる


そして、別れ際にそっと手渡してくれたあの写真集。
なんと石嶺豆腐の洋子さんの姿もあちこちに。ナナムイ。これは本当に感謝します。ゆっくり眺めていて思ったのは、カナダbc の先住民博物館のリルワットとスコミッシュの人々が使っていた薬草を思い出したんです。そして4つの神聖なる薬も。
ナナムイの儀式でもタバコは使われて、「通す」のだ。
カナダ先住民もそうだった。洋子さんにそれを興奮して話した秋が懐かしい。そして今ここに辿り着いている私にこの写真集をそっと手渡してくれたあなたに感謝し尽くしても足りないとても大きなきっかけをいただいた。伊波普猷のあの本に関して、当時の移民がどのようにあの本を片手に勇気づけられたか、大山さんに取材をしたという話も含め、月に立つ男の話も、なんというか、聴く薬を注入されたような。

4つの聖なる薬を4方から通す
スコミッシュとリルワットが飲んでいた薬草
人間と自然と健康





モスが美しい





彼らが暮らした森にはいろんなシグナルというかサインが


山の水


リルワットとスコミッシュの博物館はなぜかウィスラーにあるその謎はいけばわかる





リルワット族の暮らした山の苔

アイディンティティの喪失、世の移り変わりを止めることは誰もできないのだろうか。カナダbcの先住民に対する関係性。沖縄のアイデンティティ。島の伝統文化。継承。双方における類似点と大違いのこの謎に、私は2007年に初めてきた宮古、さらには1991年に初入島した沖縄にもうそろそろ別れを告げてもいいのかもという思いと、この島にしかない愛くるしさの間に海藻のように揺れているのでした。ああ、惣之助だったら、なんというかなこんな時。なんてね。

















そうそう、豆腐の話のアレを島豆腐に関しての御大であられる宮里千里さんに伺いたくそれもちょっと洋子さんの話を伺ってから脳内に渦を巻くのでした。

あの車でかけて下さった民謡歌手のアルバムがほしいので教えてください。

それではね。

のら猫が万華鏡を覗くような果てしない冒険をしたい依子より


追記
カナダの先住民がタバコに関することを記述した文の翻訳を抜粋します。


四聖薬

タバコ
タバコは、創造主が先住民族に与えた最初の植物です。それはすべての植物精霊の主な活性剤です。セージ、シダー、スウィートグラスの 3 つの植物はタバコに続き、合わせて 4 つの聖なる薬と呼ばれます。四神薬は、日常生活や儀式で使用されます。セージ、シダー、スイートグラスには他にも多くの用途がありますが、それらはすべて汚れに使用できます。東の扉にはタバコ、南の扉にはスイートグラス、西の扉にはセージ、北の扉にはスギが置かれていると言われています。長老たちは、たばこやその他の神聖な薬を燃やすときに発生する香りのような精霊だと言います。伝統的な人々は、たばこが常に最初であると言います。あらゆる儀式の供物として使用されます。ことわざにあるように、「常にタバコを吸う」。

伝統的なたばこは、私たちが霊界と交信できるように私たちに与えられました。それはそのコミュニケーションが起こることを可能にする扉を開きます。たばこをお供えするとき、私たちはたばこを通して自分の思いや気持ちを伝え、自分自身や家族、親戚などのために祈ります。タバコは他の植物と特別な関係にあり、すべての植物精霊の主な活性化剤であると言われています。車のイグニッションキーのようなものです。あなたがそれを使うとき、すべてのことが起こり始めます。タバコは、薬を選ぶ前に常に提供されます。植物にたばこを差し出し、そこにいる理由を説明すると、その植物はその地域のすべての植物に、あなたがタバコを取りに来る理由を知らせます。長老、ヒーラー、または医療関係者の助けとアドバイスを求め、たばこを提供するときは、彼らは、たばこがとても神聖なので、要求がなされるかもしれないことを知っています。たばこをお供えすることで、霊が私たちを助けてくださったことに感謝します。断食の後、自然界であるファーストファミリーに感謝の気持ちを込めて捧げられます。伝統的な人々は、毎日太陽が昇るとたばこを捧げます。一部のコミュニティでは、伝統的なたばこがまだ栽培されています。たとえば、モホーク族の人々は伝統的なたばこを自分たちで育てており、それは彼らにとって非常に神聖なものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?