のらきじ

小説・文芸をメインに。残しておきたいことは素直に書きます。積み本やっつけ中 自作小説に…

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小説・文芸をメインに。残しておきたいことは素直に書きます。積み本やっつけ中 自作小説について 第三帝国の竜陣(ハイドラ)→ハイファンタジー小説。皇帝からの手紙パートで設定説明済ませて、後半でキャラを動かそうという試み。

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重金属を貯める植物と水銀に関する覚書

2章を書くに当たって多少なり植物と水銀について調べたので、リンクとメモを残しておく。 毒を貯める植物”植物の中には汚染物質,特に金属類が多く含まれる場所に好んで生育し,さらに汚染物質を高いレベルで吸収・蓄積するものがいます。例えばウコギ科のコシアブラは土壌中のマンガンを特異的に吸収し,樹皮や葉に10,000ppm近く蓄積することが知られています。また,オシダ科のヘビノネゴザは古くから金草(近くに金鉱脈があることを示す植物)として知られており,カドミウムや鉛など非常に毒性の高

    • 掌編小説 現代美術品「殺意」

       紫色の絨毯の先、薄暗い展示場に分厚い「殺意」が展示されていた。  黒――いや、群青に塗りつぶされた背景にライトグリーンの分厚い絵の具が乗せられている。無機質さすら感じる四角さ。近づいていくうちに、「あれ、油絵ではないのか」と一瞬思った。それくらいの質量で塗りつぶされていた。執拗に、執拗に。  絵筆の跡を強調しているわけでもなく、丹念に、均質に塗りつぶそうとしている。しかし均質にはならず、こんもりと不格好な塊がほんの少しづつはみでている。この部分がにじみ出ているのだとした

      • 第三帝国の竜陣(ハイドラ) 2章 ―青ざめた沼―

        ―水銀の鎌―                         帝国歴4598年、樫月  夕陽輝くアマンジャールの帝都から、愛すべき帝国臣民へ向けて布告する。  ハサン沼の埋立事業に参加したい臣民は公務斡旋所まで名乗り出よ  ――以下はいつもの経緯説明を込めた雑記である。読みたい臣民は読むように。  まずはハサン沼がどこにあるのかおさらいをしておこう。  帝都からコ

        • 第三帝国の竜陣(ハイドラ) 1章 ―毒見―

          ー毒見のお役目ー                          帝国歴4598年  桂月  霧深きアマンジャールの帝都から、愛すべき帝国臣民へ向けて二点布告する。  各地の地方庁は過去十年内の毒死事件について宮廷に報告せよ。  臣民はヒランサの花とカルナルビの姿煮を食べ合わせてはいけない。  ――以下はいつもの経緯説明を込めた雑記である。読みたい臣民は読むように。  瑞々しい葡萄の房に露が滴る昨今、皆はいかに過ごしているだろうか。帝都の月日は穏やかに流れている。

        重金属を貯める植物と水銀に関する覚書

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        記事

          感想 司馬遼太郎の日本史探訪

           司馬遼太郎の対談集。  源義経、楠木正成、斎藤道三、織田信長、関ヶ原、朱印船、シーボルト、緒方洪庵、新選組、坂本竜馬、幕末遣欧使節、大村益次郎、新世界”蝦夷地開拓史”の章立て。  義経~戦国の辺りは特に新味がない。まあ今更新味を求めて司馬遼太郎を読んでるわけじゃないんだけど。  幕末・明治にかけての話はおもしろい。特にシーボルトと蝦夷地開拓史。 シーボルト  ちょうど蘭学が盛んになった頃に日本にやってきたオランダ人の医師。医術だけでなく自然科学全般に強かったそうな

          感想 司馬遼太郎の日本史探訪

          感想 緋色の囁き/綾辻行人

           厳しいことこの上ないお嬢様学校の「聖真女学園高等学校」に転入した和泉冴子は、とにかくすぐに気を失う面倒くさい語り手だった。こんなにメンタルが貧弱な主人公は少女漫画でもなかなかいまい。  だからつまらないのかというと、そうでもない。「なんでこの子はこんなにメンタルが不安定なのか」という違和感が伏線として思った以上に回収されるので、読後感はそう悪くないのだ。犯人の登場と犯行の動機の補強になっている。  そんな不安定な転校生がやってきて二日も経つと、学園の女子寮を舞台にした連

          感想 緋色の囁き/綾辻行人

          感想 巨人の磯/松本清張

          「常陸風土記」に貝塚の巨人伝説が残る大洗海岸に、ひどく腐乱した水死体が発見された。死体は体内の残留物から出るガスによって異常に膨らみ、さながら巨人のようであった。顔も膨れて目がつぶれ、舌を出したその様は、大きな貝をくわえているようにも見えた。  死体は台湾に旅行していたはずの県会議員のものだった。三週間ほど旅行に出ているはずだったが、死後二週間は経っている。まさか黒潮に乗って台湾から茨城県まで流れてきたのだろうか――?  というのが話の掴み。掴みはばっちり。  その後地

          感想 巨人の磯/松本清張

          感想 雪のひとひら/ポール・ギャリコ

           空から生まれ降りてきた「雪のひとひら」に女性の一生を仮託して描いた短編小説。  なのだが、中盤で「雨のしずく」くんが登場するまで雪のひとひらが女だという描写は特にないので、ろくに裏表紙も読まないままブックオフで立ち読みした段階では男だと思っていた。  つまりは「自分を雪のひとひらだと思い込んでいる小さいおっさん」の話だと冒頭を読んで思ったのである。きもすぎて即レジへ持っていった。  たまーにこういうおもしろ誤読に巡り合えるので、自分は古本屋で立ち読みするときにはあとが

          感想 雪のひとひら/ポール・ギャリコ