甲田幹夫 『ルヴァンとパンとぼく』 平凡社 2019年 前回noteにアップした記事が想像していたよりずっと多くの方々に読んでいただけたようでとても嬉しい。どうもありがとうございます。これからも自分が読んで面白いと思った本から得たインスピレーションを言葉にして、みなさんと一緒に食について考えることができればなと思っています。 _ さて、今回取り上げる本は、甲田幹夫著『ルヴァンとパンとぼく』。甲田さんは国産小麦と自家製酵母でパンを焼く「ルヴァン」のオーナーだ。本書は題
高山なおみ著「自炊。何にしようか」朝日新聞出版社 2020年 高山なおみさんの「自炊。何にしようか」は一人の料理家の現在を本に閉じ込めたドキュメンタリー作品だ。本書は380頁近くあり、料理本としては異例のボリュームである。その1ページ1ページは高山さんの日々の積み重ねを現わしているようで、ページをめくればその暮らしを覗き見るような感覚に陥る。 久しぶりに高山さんの著作を読んだのだが、かつてと比べてその料理の変化に驚いた。料理がとても自由になっているのだ。自炊というと味