見出し画像

反共のフリして、共産圏を太らせる、リベラルメディア:日本人が知るべき赤いアメリカ(3)

価格下げ基調にあってもなお”高い”を強調

アメリカのガソリン価格、実はかなり回復

最近、通りすがりにガソリンスタンドがあると、あるものを見ては、「あともうちょっとだ、ガンバレ!」と、心の中で応援しています。何かといえばガソリン価格。かなり回復しました。

GusBuddyによる3年間のガソリン小売価格の推移

  • 青:アメリカ平均

  • 赤:テキサス州平均

  • 緑:カリフォルニア州平均

GusBuddy

テキサス全体の平均ガソリン価格を示したものですが、体感的なヒューストン価格は、州平均よりやや安めで、そろそろ2ドル代が見えてきました。

ニュースでよく取り上げられる”アメリカのガソリン価格”は、カリフォルニアのもの(緑色)ですが、アメリカ平均(青色)と比べても、カリフォルニア価格が異常に高いことがわかります。

ご参考までに代表的なリベラル州、ハワイとニューヨークと、カリフォルニアとの比較です。

  • 赤:ハワイ

  • 緑:カリフォルニア

  • 青:ニューヨーク

GusBuddy

某夫妻の関連ニュースで、”悲惨な物価高”が強調されているニューヨークですが、ガソリン価格で見ると、アメリカ平均とほぼ同じような推移をしています。諸島からなるハワイ州は、輸送コストがかかりますから、ガソリン高というのは理解できます。カリフォルニア州のガソリン高が政治的な理由でしかないのは、カリフォルニア州は、石油産業が盛んな州だからです。

前提として:
アメリカは州政府が大きな権限を持っており、州によって法律も違えば、税金も違います。この辺を詳しくお知りになりたい方は下記のコラムもご覧ください。
■インフレを必要以上に煽る理由は?❶リベラル州の事象がアメリカの全てではない。
テキサン、物価高のカリフォルニアでインフレ問題を考える:インフレの裏に潜んだものは?(2022年6月)

価格下げ基調にあってもなお”高い”を強調したいメディア

昨日のLA TIMESの記事見出しは・・・。
Los Angeles gas prices set a Labor Day weekend record high
アメリカでは9月5日(月)がレイバー・デーのお休みですので、多くの人が3連休となります。
記事は、この見出しの後、「この夏、ガソリン価格はずっと下がり続けているが、カリフォルニア州周辺のレイバーデーの旅行者は、今度の連休に過去最高の価格を支払うことになると予想されている」という文章で始まります。さらに・・・。

オートクラブによると、全米約32%のアメリカ人がレイバー・デーの週末に旅行をする予定で、82%が自動車で、そのうち12%が50マイル以上移動するとのことです。ロサンゼルス国際空港によると、木曜日から月曜日までの間に、ロサンゼルス国際空港から約45万6千人の乗客が飛び立つと予想されており、これは昨年比約5万6千人増
オンライン旅行サイトのHopperによると、同連休期間の国内航空運賃は1往復平均278ドルで、2021年から23%、2019年から20%上昇する見込みだ。

Los Angeles gas prices set a Labor Day weekend record high

これはあくまで私の感覚的なものですが、「レイバー・デーって、友達や家族を呼んで、BBQじゃないの?」と。レイバー・デーに向け、スーパー等ではBBQに関する特設コーナーが設けられていますし、子どもがいる家庭では、新学年が始まったばかりで、旅行という気分にはあまりならないような気がします。私が独身世帯とのお付き合いがあまりないからか、夏休みや春休み、サンクスギビング、クリスマス休暇等に比べ、「レイバー・デーにどこに行く?」という会話にはなりません。
そのため、記事内の”この週末に旅行に出かける人は32%”が例年に比べて、多いか少ないのか、この記事だけではよくわかりませんし、この32%という数字に、”レイバー・デーの価格としては過去最高”というガソリン価格の影響があったのかなかったのかということも、記事からはわかりません。

ただ、LA国際空港から海外に出かける人が昨年よりも5万6千人も増えているのであれば、「燃料高ということよりも、”行ける時に旅行に行きたい”と考える人の方が多いのかな」というのが正直な感想です。記事では国内線の航空運賃にしか触れられていませんが、国際線はもっと高騰していた印象でした。

記事の狙いは?

途中、いろいろなことをモゴモゴ言っているのですが、結局のところは、この”レイバー・デーとしては過去最高のガソリン価格”がどうしたの?がハッキリせず、ガソリン高を煽れるネタを探して突っ込んできた記事としか思えないものでした。

社会不安を煽ると、視聴率が高くなったり、部数が伸びたり・・・という効果があるという研究もあるようです。ですから、煽り記事は、単純に自社の売り上げのためという可能性もあります。
しかし、見逃せないのは、アメリカの現政権が目指すのは、大きな政府。社会や経済の不安が高まれば、政府への期待が高まり、政府が大きな権力を持つことを嫌う人々を懐柔することが期待できます。そして、これは共産主義が権力を広げていく典型的なやり方。ですから、この手の記事によって、できるだけ不安を煽りたいという思惑はあるのではないかとも邪推できます。

また、この記事の話題は、”ガソリン”について。それを、カリフォルニアのメディアが報じています。カリフォルニア大気資源委員会(CARB)は最近、ニューサム知事の主要政策の1つ、”ガスエンジン車の新車販売を、2035年までに全面的に禁止する”について承認したばかり・・・。
EV車や自然エネルギーの利権は、共産主義グループが握っていて、だからこそ、米国共産党が必死になって導入を進めています。高いガソリン価格は、EV車への買い替え促進にもつながりますから、お仲間メディアが”ガソリン高を印象付けるネタ”を必死で報道し続ける背景には、EV車推し政策をサポートする狙いもあると思います。その中でメディアの利益は何かといえば、広告です。EV車への切替政策を受け、各自動車会社が現在、最も投資している商品はEV車でしょうから、”EV車広告”は、広告収入が得にくくなっているメディアにとっては、確実に抑えたいものでしょう。

もしも、私が広告セールスだったら?

ここで、”もしも私が死に体メディアの広告セールスだとしたら、どうやって販売するか?”について考えてみます。なんとかして売り上げを上げなければ、いよいよヤバイかもしれないという経営状況・・・という前提です。

まず、編集(編成)部に、今後の記事の方針や、特集の予定等に、EV車推し記事を入れてもらえないか交渉します。自動車会社の担当者には、社の方針と、特集記事の予定等を伝えつつ、特定の記事(番組)に入れこむ”記事広告”と、EV車の促進につながるようなニュースがあるときの”スポット”と、少なくとも2つの路線で推し、長期間にわたる契約に繋げます。より大きな売り上げを獲得できた後は、その成果をかざし、「もっとEV車推しの記事を書いて!」と、編集に圧をかけ、記事枠を増やしたことをクライアントにアピールし、クライアントが更なる予算を確保できそうな企画を提案していきます。

一方、クライアントである自動車会社からは、単なるプレスリリースだけではなく、情報提供という形で、記事作成依頼がくるものだと思います。メディアの経営状態が良ければ、営業よりも編集サイドの力が強く、”「記事にすることのほどでもない」と判断されれば、即却下”となるでしょう。しかし、会社が死に体だった場合、営業の方が力が強くなります。編集サイドでも、リストラにより少ない記者の数で同じボリュームの記事(ニュース)を発信しなければならないという状況にあれば、情報提供はむしろありがたいものになるかもしれません。

すごい!クライアントと営業と編集で、Win Win Winだ!

しかし、ここには置いてけぼりになっている人がいます。読者です。

ーー以上は、あくまで、”もしも私が死に体メディアの広告セールスだとしたら、どうやって販売するか?”という妄想です。

そういえば、昨年の6月、テキサス在住のFOXニュースのレポーターが「Fox社内で起きていることは、視聴者の利益よりも企業や広告主の利益を優先させ、その結果、欺瞞に満ちた運営が行われている」「真のジャーナリズムへの侮辱」として、プロジェクト・ヴェリタスの番組上で、内部告発を行うということがありました。

Fox26のレポーター、”汚職””検閲”のテープを公開。Fox社のボス「ヒドロキシクロロキンについての報道は禁止」「”貧しいアフリカ系アメリカ人”はビットコインに関心がない」発言。"視聴者が騙される"

先ほどの妄想も、荒唐無稽な話ではない・・・というところでしょうか。

共産圏を支援する世論づくり

”ない問題を創造”し、”本当の問題を隠す”のがリベラル・メディア

世界に誇るリベラルメディア、TIME誌も負けてません。

Europe's Energy Crisis Is Going to Get Worse. The World Will Bear the Cost
では、ヨーロッパのエネルギー危機の深刻さについて切々と語っています。

停電が始まったり、燃料の高騰により、車の運転ができなくなるまでは、ほとんどの人はエネルギーのことを空気と同じように考えているのではないだろうか。アメリカ人は、世界各国で緊急に、場合によっては致命的に進行しているエネルギー危機から、ほとんど目を背けてきた。しかし、ヨーロッパをはじめとする多くの国々では、深刻化する事態を無視することはできず、さらに悪化の一途をたどっている。

普段、当たり前のように使っている電気やガス等は、災害等で使えなくなり、生活に大きな支障が出るまでは、そのありがたさに気が付きにくいものです。これは事実です。しかし、ヨーロッパのエネルギー危機について、自分のことのように捉え、問題意識を持つことは、アメリカ人にとってはおかしなことだと思います。というのも、アメリカのエネルギー資源は、現政権が自ら出した大統領令を1つ破棄すれば、どんどん採掘できてしまうため、アメリカにはEUの抱えるエネルギー問題は存在しないからです。

トランプ大統領の”アメリカ・ファースト”政策の大きな成果の1つは、アメリカがエネルギーの輸出国になったことです。エネルギー問題というのは、常に戦争の火種になってきました。自国のエネルギーを自国で賄えることは、国防の強化にもつながる問題ですし、輸出ができるということは、同盟国のサポートにもつながります。ですから、トランプ大統領のエネルギー政策は、経済的な成果だけでなく、安全保障上、とても大きな意味があった政策だったと思います。

ところが・・・です。この政策は、現政権の1日目に乱発された大統領令により、中止されてしまいました。
そして、1年後に発生したのがウクライナ危機です。

万が一、ロシアがガスを断てば、欧州の影響は甚大であり、世界経済への影響も悲劇的なものになる可能性がある。IMFは7月中旬、ハンガリー、スロバキア、チェコ共和国について、ロシアからの天然ガスが完全に遮断された場合、GDPが最大で6%減少する可能性があると算出した。世界の経済成長率は2022年に2.6%、2023年にさらに2%低下するという。

お仲間であるヨーロッパが心底、困っている・・・ならば、アメリカは採掘量を増やし、ヨーロッパに輸出することも可能です。大統領令を1つ破棄するならば。
しかし、この点を追及することなく、「ロシアのせいでヨーロッパが大変」を繰り返しています。このような結果は、ウクライナ危機に介入する前にわかっていたことです。ロシアを批判するのは、簡単ですが、問題解決にはつながりにくいものです。それよりも、エネルギー生産を意図的に削減し、安全保障上の問題が発生させた状態で、露とウの問題にクビを突っ込んだのか?こちらを追及する方が解決につながるように思います。

そもそもウクライナの問題には介入したものの、ウイグル問題への介入はできるだけ避けてきているのは何故でしょうか?

ウクライナ問題では、アメリカ共産党のパートナーは、ウクライナであり、ウイグル問題では、中国共産党だからでしょう。実際、オリンピック前は、世界的な暗黙の了解のようになっていた”ウイグル問題には、できるだけ介入しない”にも限界が来たようで、どの国も渋々批判する立場を演じていました。ところが、タイミングの良いことに、ウクライナの問題が出てきて、現在の国際的な注目度はウクライナ問題1本に絞られているかと思います。では、ウイグルの問題が解決したのかといえば、単純に世界の関心が別のものに移っただけ。これは推測ですが、2度とこの問題が世界的な注目を浴びないよう、更なる締め付けが行われているのではないでしょうか。

EUエネルギー危機で、儲かるのは共産圏

アメリカが手を貸さない代わりに、ヨーロッパの”援軍”になっているのが中国です。

ガス不足欧州に思わぬ援軍 中国、増産・景気低迷で転売(8月15日付け日経新聞)

”援軍”とは随分中国に配慮した表現で、実際は、”世界最強の転売ヤー本領発揮”というところです。ちなみに、中国人の転売ヤーは18年くらい前にはすでに問題になっていたほど、本格的でした。例えば、中国国内で粉ミルクに毒物が混入している事件が起こると、香港の商品棚から外国産粉ミルク(特に日本製)が消えます。そして、本来問題なく購入できたはずの香港市民が購入できなくなってしまうということは多々起こっていました。日本でも、プロの転売ヤー集団を見かけることがあるのではないでしょうか。
これは中国批判ではなく、中国人の”スキマ産業”探しというビジネスセンスは、本当にすごいと思います。ただ、それが倫理的にどうだとか、法律的にどうだということになると、別の話。

本題に戻ると、ロシアから天然ガスを買えずに困っているヨーロッパですが、そこはすかさず中国がロシアから輸入したガスをヨーロッパに転売しているようです。もちろん高値で。
記事は8月15日付のものですが、こうなるだろうということは、今年初めにはわかっていたことです。3月には、Bloomberg等でも、広く報じられていました。

冒頭で引用したTIME誌の記事でも、天然ガス の生産・供給において世界最大の、ロシア企業・ガスプロムがヨーロッパから中国へのガス提供先を増やしている点に触れています。

ガスプロムもヨーロッパではなく、中国へのガスの供給を増やしている。シベリアから中国東部に至る天然ガスパイプライン”パワー・オブ・シベリア”による輸出は2021年比で61%増、7月以降はロシアが契約上供給しなければならない量を300%上回る記録的な量になっている。ガスプロムは欧州が原因だとしている。

Europe's Energy Crisis Is Going to Get Worse. The World Will Bear the Cost

ところが、この記事では、この件についてこれ以上の深掘りがありません。
ウ国危機について、ニュースを耳にしたことがある人であれば、

  • EUやアメリカがロシアに経済制裁を加えている

  • ロシアがエネルギー資源の輸出を減らすことで対抗している

この2つは必ず知っていることだと思います。また、この経済制裁が両サイドに与える影響として、

  • EUはエネルギーが買えず、エネルギー危機に陥る可能性

  • ロシアはエネルギーが売れず、経済危機に陥る可能性

くらいのことは、簡単に想像がつくことです。

実際、記事では、ヨーロッパのエネルギー危機が大変だという内容になっています。そこに”転売ヤー国家の中国がロシアから買った天然ガスをEUに転売している”ことに触れつつ、これがアメリカにもたらす影響について一切言及していないというのは、一体、どこの国の誰のためのメディアなのでしょうか

アメリカ視点でこの問題を見るのであれば、アメリカ主導で行ったロシアへの経済制裁は全く無意味であるどころか、ロシアサイドの中国経済を不要に太らせ、反対にアメリカサイドのEU経済を激痩せさせているという、逆効果になっているのです。
また、EUサイドも、自身が中国企業シノペックから購入している天然ガスがどこから来ているのか?知らないはずはありません。彼らも国民が困窮し、国が弱体することをわかった上で、この茶番劇に参加しているのでしょう。

このような茶番劇について、TIME誌のジャーナリストや編集者が気付いていないわけがありません。意図的な”報じない自由”を発動中なのでしょう。

余談ですが、TIME誌は、2019年にセールスフォースの創業者である、マーク・ベニオフとその妻により買収されています。マーク・ベニオフは、世界経済フォーラム評議員会のメンバーでもあり、セールスフォース・ドットコム財団も設立政治的には極左寄りのリベラルで、”資金力を活かした”政治活動も行っています。最近の日本でホットな話題と絡めると、楽天の三木谷浩史社長と一緒に、京都大学のiPS細胞研究所の基金に寄付をしたこともあるようです。

昔は、本を読む前に、目次だけではなく、後書き、そして、筆者の経歴を見てから内容について判断することが重要だと言われていました。しかし、資本主義社会の中で生活している以上、その本の出版社の資本がどのようになっているのか?ビジネスモデルがどうなのか(広告収入依存なのか、購読料のみで成立しているのか)?まで見てから、内容について検討する必要がありそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?