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インフレを必要以上に煽る理由は?:❶リベラル州の事象がアメリカの全てではない。

メディア報道は煽りすぎ!?

”アメリカはひどいインフレ””スーパーは品不足”と、連日、メディアが報じています。実際、物価は確かに上がっていますが、メディアが報じるデータには、いろいろ疑問が生じています。この辺はコロナ騒動と似ています。実際のパンデミック被害よりも大きく見えるように煽ってきたことで、被害がより大きくなったと思うからです。

このようなメディア報道を危惧しているのは、特に景気は”気”の影響を受けやすいといわれているからです。インフレとは、供給に対して、需要が強い時に起こります。”品不足””スーパーインフレ”を煽れば、買い占めによって、物価はさらに上がるでしょう。

インフレをそこまで懸念するのであれば、その原因を明らかに作った政策がいくつかありますが、それに対する批判は、メディアからあまり聞こえてきません。また、統計数字に関する説明の仕方に明らかな悪意を感じます。この辺の違和感もあり、”煽り”は社会のための注意喚起ではなく、煽りによってインフレを一層加速させたい狙いがあるのではないかと邪推すらしてしまいます。

そもそもメディアが景気関連で取り上げるのは、ニューヨークやカリフォルニア等、リベラル州であることが多いような気がするのですが、そこで起きている事象が全ての州であてはまるか?といえば、全くそうではありません。少なくともヒューストンで買えなくて困っている物はありませんし、商品棚ががら空きということもありません。

商品棚の空きスペースの意味

商品棚のスペースについて、一言付け足しておきたいのは、アメリカの小売業の商品管理方法は、おそらくコロナ以前から日本とは違うということです。

例えば、クリスマス直前の玩具店で、欠品はあったとしても、商品棚がガラ空きということは、日本ではあり得ないかと思いし、新学期直前だからといって、定規等の文具が売り切れているということもないかと思います。でも、これらはアメリカでは”よくある”と言える光景です。

また、季節の影響がない商品(常時販売されている商品)についても、たまたま売り切れていれば、棚に何もない状態になっていますが、「ああ、それね、今、売り切れちゃいましてね。明日には入荷されますよ」くらいの感じです。あるペットショップで、商品札があるのに商品がないものについて、店員に在庫を聞いてみたところ、「え?あ、本当だ。売り切れていますね。注文しときます」と言われたこともありました。

ですから、こういった”商品が並べられていない棚”は、ヒューストンのスーパーのでも見られる光景ですが、メディアで報道されているような状況は、少なくともヒューストンでは、起こっていないと思います。今回は、現在のインフレに対するメディア報道の違和感(下記の3つ)のうち、”リベラル州の事象がアメリカの全てではない”についてシェアさせていただきます。

現在のインフレ報道に対する違和感

❶リベラル州の事象がアメリカの全てではない
❷統計数字に対する適切だとは思えないコメント
❸インフレの元々の原因を追及していない

リベラル州は、元々物価高傾向?

テキサンから見た、ハワイアン価格

アメリカのインフレ問題を検討する上で、必ず押さえておいていただきたいのが、州によって物価が全く違うというアメリカの現状です。

昨年のサンクスギビング期間中、ハワイ州に行きましたが、物価の高さに驚きました。テキサス州で生活している中で感じるインフレよりも、ハワイ州での物価高の方がむしろインパクトがありました。コロナで他州に行く機会がほとんどなかったため、すっかり忘れていたのですが、ハワイ州だけでなく、カリフォルニア、ニューヨーク等に行った際にも、「本当に同じ国?」と思うことが多々ありました。

NUMBEOによる、Groceries Index(ニューヨークを100とした時のその都市の食料品価格)の2021年中期を見てみると、ハワイ州ホノルルは111.58

一方、テキサス 州内で最も高いフォート・ワースで64.75。オースティン:63.59、ダラス:62.13が続き、ヒューストンが59.02。そして、サンアントニオ:57.36、エルパソ:51.54。ちなみに、東京は89.51です。

私はヒューストン在住ですので、ホノルルは、1.89倍高いことになりますが、確かにそれくらいの価格差はあったように思います。よく買うメーカーの600円くらいのアサイジュースは容器サイズがひと回り小さくなって900円くらいになっていて、「ハワイで飲まなくても良いかな・・・」と、購入しませんでした。
一方で、テキサスでは”良いものが程よい価格で手に入らない”お刺身類は、新鮮でおいしいものがお安く頂けて、こちらは食べられるだけ食べておきました。こういった、”その地域がその商品の産地であるかどうか?”によっても価格は変わってくるかと思いますが、それにしても、全体的に物価高の印象はありました。

念のためですが、ヒューストンは人口ベースで全米第4の都市ですから、単純に田舎だから安いというわけでもありません。
(1位ニューヨーク、2位ロサンゼルス、3位シカゴ。数年前にシカゴを抜いたとか抜きそうとか聞いていたのですが、2020年データで4位になっていたので、4位としています)。

州ごとのガソリン価格比較

ハワイ州は青色(リベラル)州です。高いと感じたものに、ガソリンがありましたので、インフレの前に、元々の価格について調べてみました。昨年の夏時点のものです。

balancing everythingによるGas Price per Gallon by State

ガソリンが高い州は、カリフォルニアをトップに、ハワイ、ネバダ、ユタ、ワシントンの順でした。アメリカは州レベルでの決裁権限が大きく、中でも州知事の政策の影響は顕著ですので、知事の政党を見てみると、ユタ州以外の州は民主党でした。ただ、上位5件で区切ったことに特別な意味はなく、全州で比較しなければ、実際にはわからないことかと思います。

また、一般的に都市部では、民主党が強いと言われています。都市部の方が物価高になるのが当然だから、都市部に強い民主党州がガソリン高になるのでは?という議論もできそうです。そこで人口が多い州5件のガソリン価格も比べてみることにしました。(昨年12月中旬のデータです。)

 balancing everythingによるGas Price per Gallon by State

人口の多い順に5州を比べてみたところ、人口トップのカリフォルニアは、ガソリン価格でもトップでした。一方、人口2位のテキサスはガソリン価格が5州の中では最低でした(全州比較では、アラバマ、ミシシッピの方がテキサスよりも低い)。

もちろん、テキサスの石油産業はアメリカの中で、ダントツの1位ですから、石油産業が盛んな土地柄という強みがあるのですが、鉱物産業で働く従業員人口で見ると、カリフォルニアは3位(2位はノースダコタ)。にも関わらず、フロリダとカリフォルニアを比べても、石油価格は1.46倍高くなっています。

これも本来は全州を対象にするべきですが、あくまで上記の5州で比べるならば、保守党知事州の方が民主党知事州よりも、1ガロンあたり0.737ドル安く買えます。こういった比較がインフレ分析で、ある程度の意味をなすと思うのは、政策の違いが物価に与える影響が小さくないからです。
環境問題が何よりも重要だとするリベラル州は、ガソリン税を高くする傾向にありますが、輸送コストに影響するガソリン価格が高ければ、物価を全体的に押し上げます。また、リベラル州は最低賃金を高めに設定している傾向にありますから、高めの人件費もコスト上昇の要因になります。この点は、”現在のインフレ報道に対する違和感:❷統計数字に対する適切だとは思えないコメント ❸インフレの元々の原因を追及していない”で、深掘りしたいと考えています。

とはいえ、ガソリンだけ比べても・・・ですので、”メディアがいつも対決させるリベラル州(ニューヨーク、カリフォルニア)と保守州(テキサス、フロリダ)”にハワイ州をプラスして比較してみたいと思います。

リベラル州VS保守州:5州の物価指数比較

ニューヨークを100とした時の、各都市の物価比較です。

NUMBEO 2021 MidーYear

上記の指数の中で、私が唯一生活者目線で語れるのが旅先での”レストラン価格”ですが、記憶を辿るとだいたいこんな感じかなと思います。ただ、テキサスの場合、価格が安くなるというよりも、同じ価格で量が多くなる印象です。ちなみに、テキサスサイズは、他州のアメリカ人でもびっくりするくらいのサイズ。とはいえ、何年も住んでいると、私も感覚もテキサンになったのか、ハワイのレストランでオーダーすると、出てくるお料理の上品なサイズに涙したのでした。

数字を見て、最も驚いたのは、Rent Indexです。ヒューストンって、いまだにこんなに安いの!?っと。物価で最も上昇しているという実感があるのが家賃だからです。それも、去年今年に始まったことではありません。というのも、テキサス州は現在、人口が最も増えている州だからです。

JETROによると、過去10年間の人口増加数をみると、テキサス州の400万人が最多で、フロリダ州の274万人、カリフォルニア州228万人が続きます。ここにジョージア州(102万人)、ワシントン州(98万人)を足して5州にすると、その増加数の合計は、同期間の総人口増加のほぼ半分を占めると言います。

JETRO

家賃は、大手が経営するアパートの場合、3ヶ月、半年、または1年ごとに家賃の更新があります。この人口の増加に伴い、特にここ10年くらいの家賃の上昇は”家計に大きな影響を与える”と感じる人が多いように思います(現在進行形)。新しいアパート(プール、BBQ、ジム、ビジネスセンター等の共有スペースが標準装備された”アパート”)もどんどん建設されています。

住宅価格も、かなり上昇しています。ちなみに、アメリカの統計は、自宅であっても、”住宅購入は投資”と考えられるらしく、CPIに反映されるのは賃料だけということです。中古市場の需要も高く、数年住んだ自宅が、購入時よりも高く売れたということも、エリアによっては珍しいことではありません。

テキサス同様、人口が増えているフロリダも同じような状況だと思います。それでも、この指数によると、テキサスやフロリダの家賃価格は、ニューヨーク、カリフォルニアに比べたら、半分くらいの負担で済んでしまうことになります。

ここで少し引っ掛かったのが、ニューヨークやカリフォルニアの家賃相場がいまだに高いのか?という部分です。これらの州の指数がテキサス の2倍以上であるのは、普通に考えれば、ニューヨーク、カリフォルニアの家賃相場がテキサスと同等か、それ以上に上昇しているからということになります。ただ、ニューヨークも、カリフォルニアも、犯罪率の上昇等の政治的な理由で、人口が流出しているという話もあります。人口が減っているのに、家賃が上昇するというのも不思議な話で、ここは今後、もう少し掘り下げて調べてみようと思います。

インフレ耐久力のある層

この章でお伝えしたいこと

まず、この章で何をお伝えしたいのか?ですが、第一に、アメリカは、多様な層がそれぞれの考えのもとに生活しているため、一括りに「アメリカは現在・・・」ということがなかなか難しいということです。報道されているアメリカは、ニュース・バリューがあると考えられたあくまでアメリカの1部分に過ぎません。

第二に、インフレ対策は、日本での災害対策と同じくらい常に行う必要があるものです。今回のインフレは異常であることは本当ですが、アメリカでは常にインフレ傾向にあります。それに対する備えは必要とされています。ただし、災害対策同様、貧困層ほど、インフレに対する備えを行うことが難しいという現状があり、インフレによる被害は貧困層ほど大きくなる傾向にあります。この層は行政のサポートが不可欠だと思います。

ただ、全国民に対し、日本で”災害対策は不可欠”という啓発が行われているように、アメリカでは”インフレ対策が不可欠”という啓発は必要かと思います。

この章で紹介するアメリカは、あくまでも”アメリカの一部”です。この章をもって、アメリカはインフレの悪影響を受けていないとするものではありません。ただ、現在の報道は不要に煽っている気がするため、報道がアメリカの全てではないことを、ぜひシェアさせていただきたいと思いました。

ガソリン高騰でも、生活習慣は変更せず!?

実は、ご近所さんの間で「物価高で大変」という話題になったことはありません。「ガソリン上がってるね」と、こちらからふれば、「そうだね」という返事が返ってきますが、だからと言って、自慢のピックアップトラックを燃費の良い車に買い替えようという話にはなりません。もちろん、中古車市場を含め、自動車価格が高騰しているため、車乗り換えの話が出にくいということはあるかと思います。しかし、その一方で、高騰している中古車のディーラーが販売できる車がなくて困っている(需要が供給よりも強い)という話も聞きます。

また、この辺の学校は、親が車で迎えにくるご家庭が大多数ですが、お迎えの時間帯は、お迎えの車がかなりの長蛇の列を作ります。私は下校時間の40分くらい前に到着し、車の中で仕事をしていますが、そのくらいの時間には、すでに10台くらいの車が先に並んでいるのが常です。それもエンジンはつけたままで。確かに、4月に入った頃から、エンジンを消せば、車の中はすぐに蒸し風呂状態にな流ような暑さではありました。とは言え、数十分もアイドリングさせるのには、なんとなく罪悪感があります。

こういったことからも、「ガソリンが高騰しているな」と思っても、だからと言って省エネっという話にはならないのではないか?という気がしています。ちなみに、お迎えだけでなく、通勤・通学も、SV車が小さく見えるような車やトラックを多数見かけます。もともと大型車が好まれるテキサスでは、車の話題になった際に、燃費について語る人を見かけたことはありません。”ガソリン代と車”について熱く語るのは、テスラー車に乗っている人くらいでは?という気がします。これはオイル産業の街、テキサスならではの何かがあるのかもしれません。

散歩・ドライブから推測する地域の経済活動

コロナの”ステイ・ホーム”政策の頃から、より多く見かけるようになった光景ですが、どのご家庭も、バッグヤードをより充実したものに改装する傾向にあるというのが現在も続いています。アウトドア・リビングや、キッチン、プール等の設置工事をしているご家庭をよく見かけますし、コロナが落ち着いた現在では、内装工事を行っていると思われる粗大ゴミを出しているご家庭もよく見かけます。

もちろん、元々アメリカ人は日本人よりも、こういったことに投資をする傾向にはありました。数字で確認したわけではないのですが、増えたなという印象は受けますし、インフレが騒がれる今でも、その傾向は変わりません。

これは何も「現在のインフレ、超余裕!」と、ご近所さんや地域の人が思っているというわけではありません。これには、アメリカの中古住宅事情も関係しています。自動車と同様、アメリカでは、新築(新車)かどうかということを気にする人はあまり多くありません。住んでいた家を売る際に、買った時の値段よりも高い値段で売ろうとすることは、アメリカでは当然の行為です。2年ごとに家を替えるたびに、家が大きくなっていっている友人もいます。とは言え、これには”家の状態”が大きく影響してきます。そう考えると、自宅を改装したり、バッグヤードを充実させたりすることは、自分たちの現在の生活を豊かにすると同時に、将来の投資にもなるのです。インフレにあるからこそ、現金で持っておくよりも、自宅に投資した方が良いと考えているご家庭があっても不思議ではありません。

貯金ではなく、投資が必要な社会

よく「日本人は堅実だから貯金をするが、アメリカ人は・・・」ということをいう人がいますが、アメリカ人に対する分析は、ちょっと違うかもしれない思うことがあります。常にインフレ傾向にあるアメリカで、”貯金は、財産を減らす行為”と考える人がとても多くいるからです。

2020年の初夏くらいに出た給付金を原資に、”ロビンフッター”と呼ばれるにわかトレーダーが増えました。このような現象に対して、「泡銭を投資するアメリカ人が多い」のように説明していた解説者がいました。確かにそのような一面もあるかと思いますが、社会に”泡銭”が出回ると、インフレが加速する懸念があります。給付金がなければ生活が厳しいという状態でなければ、貯金ではなく、投資をするのは、理にかなった行為かと思います。

ロビンフッター:ロビンフットという取引手数料無料のアプリを使った、投資初心者。ロビンフットがどこでお金を設けているか?といえば、手数料無料の顧客の投資行動をファンド運営者等に提供する情報料と言われています。そうすると、AIを使った投資を行うファンドに、一般市民は絶対に勝てないという・・・個人的に闇を感じた投資アプリです(あくまで個人的な感想)。

ちなみに、バイデン政権の給付金ばらまき政策に批判が多かったのは、「給付金くれるって言っても原資は税金だろ?」というだけでなく、「インフレ加速している中で、さらにばら撒けば、どうなるかわかるだろ?」ということもあったようです。

転職によるインフレ対策!?

繰り返しになりますが、アメリカは常にインフレ傾向にあります。アメリカでは2〜3年くらいの周期で転職する層が一定数(少なくはないと思います)いますが、その理由の1つは、転職により、インフレ上昇分を考慮した所得を得るためだといいます。

実際、人材不足の業種では、給与もかなり高騰しています。その1つがトラックドライバー。先日、某大手企業の専任トラックドライバーが初任給1,500万〜1,800万円くらいで募集しているというニュースもありました。ワクチン問題で揉めたビッグテックも深刻な人不足という話もありますから、必然的に給料は高騰しているはずです。

もちろん、これはアメリカの”ある一部”であり、このような事例により、インフレによる悪影響の全てを否定するわけではありません。あくまで、メディア報道は、この点を考慮せずに現状分析するのは違うのではないか・・・と思う事項の1つです。

地産地消&オーガニック志向

実は、我が家はそこまで物価上昇の悪影響をメディア報道ほどには、受けていません。確かにガソリン価格の高騰にはびっくりしましたが、「それでもカリフォルニアの通常価格くらいだしな」という気持ちもあるため、そこまでの悲壮感はありません。これはあくまでも精神的なインパクトということになりますが。

しかし、実際の価格の方でも、例えば、インフレが始まったとされる昨年の夏以降、我が家で購入している鶏もも肉の価格は、一切上がっていません。1Lb あたり、オーガニック(自然飼育でオーガニック飼料を使用)5.99ドル、ナチュラル(自然飼育)2.99 ドルのままです。

もちろん、鶏もも肉のみで食品価格を語ることはできませんが、なぜ鶏肉で景気を見ているのか?と言えば、次のターゲットとされている”鳥インフルの蔓延”が起こらない限りは、鶏肉は最も価格安定した食品の1つだと思うからです。

さらに、ここでなぜわざわざオーガニックという言葉を出したかと言えば、鶏肉の中でも、この層が価格の変動が少ないと思うからです。この対極にあるのが激安輸入食品。日本でも中国産食品は安いと思いますが、アメリカの大手スーパーで見かける中国産は、怖くなるほど激安です。鶏もも肉でいうと、1Lbが1ドルを切っています。商品には必ず原価があり、それに見合わない破壊された価格には必ず理由があります。奴隷労働によるコスト削減かもしれませんし、成長剤使用による出荷までに必要な期間の短縮かもしれません。いずれにしても、合法・非合法を問わず、コストを限界まで絞っている商品は、価格上昇の影響を吸収できる部分がないため、価格上昇しやすいかと思います。

きちんと調べたわけではありませんが、特に中国産の激安輸入食品の価格は上昇しているのではないか?と考えるには、いくつかの理由があります。
1つ目は、中国自体が度重なる洪水・バッタ被害、ゼロコロナ政策や石炭(電気)不足による生産活動の停滞等により、食糧不足に陥っている点です。2つ目に、西海岸のコンテナが大混乱や、急増を止められない不法入国外国人の対策により検問が強化されたこと等、同じ輸送ルートでも時間と費用がよりかかってしまっていること。さらに、メディアが報じる通り、ガソリン価格の上昇による輸送費が上がっている影響も受けている点も3つ目としてあげられるかと思います。

そのように考えると、現在のインフレの打撃が最も大きいのは、激安輸入食品ではないでしょうか。

テキサス在住の私は、可能な限りテキサス産の食品を購入するようにしています。「テキサスが好きだー!」ということもありますが、地元の食材の方が収穫してから店に並ぶまでの時間が短く、新鮮だからです。輸入品に比べたらお値段は高くなりますが、医療費があり得ないほど高額なアメリカで、”健康を保つために何を食べるのか?”は、重要な投資だと思います。体調崩して病院に行けば、保険を使っても1回あたり7千円〜1万円、薬や検査とは別(医師と話すのみ)にかかります。
一方、物価安のテキサスでは、オーガニックや、ケージフリー(狭い所に閉じ込めない、自然な環境で飼育)、グラスフィード(化学飼料を一切使わず、牧草等を中心に飼育)等が、他州や日本に比べてそこまで高価ではありません。

いろいろな価値観があり、どれが正しいというのはないかと思いますが、インフレの影響という点では、激安輸入品を購入している層の方が影響を受けやすいと言えると思います。

ここから先は、次回のコラム(❷統計数字に対する適切だとは思えないコメント)となりますが、このような仮説(激安輸入食品の方が影響を受けている)が正しければ、インフレを検討するのに使われる、消費者物価指数(CPI)の数字は、本当にメディアが伝える通りなのか?という疑問が生じます。というわけで、次回に続きます。

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