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中国国内で、オリンピックよりも関心を集めた、”人身売買の問題”           (追記:どういうわけか、引用部分が全て消えていましたので、再度、貼り付けました)

鎖で繋がれた、8児の母親事件

オリンピック開催中、前回、米国での開会式の視聴率が史上最低記録を達したことを紹介しました。

視聴ボイコット?アメリカ人の関心が低下しつつあるオリンピック

開催地、中国でも、オリンピックよりも人々の関心を集めている事件がありました。

鎖で繋がれた、8児の母親事件です。

オリンピック直前の1月、8人の子どもを持つイクメンパパで名の知られていた父親を訪ねたと思われる、中国人のレポーター(ブロガー)が偶然、粗末な古屋の中で、首を鎖に繋がれた女性を発見します。極寒にも関わらず、女性は薄着。話しかける男性の声は、あまりの状況に動揺が隠しきれない様子で、女性に自分のコートをかけてあげました。女性に話しかけるものの、きちんとした答えは返ってきません。

後に、この女性が遠くの町で暮らしていたものの、誘拐され、”嫁”として売られた形で、この村にたどり着いたことが明らかになります。当局は、火消しに躍起になっていましたが、「さらわれた娘ではない」「彼女は精神疾患を病んでいたため、治療のため・・・」と、色々な言い訳をする当地の政府に、中国全土から怒りの声が寄せられていたようです。世論を受けて、この”父親”は逮捕されたとのことでした。

拉致の悲劇:上海の教授が徐州の”拉致村”の村人を毒殺

30年前の事件のドキュメンタリー文書

”この文書は完全なドキュメンタリーであり、著者の劳夫(ラウ・フ)氏は西安局社会保障センターの元所長で、以前は鉄道セクションの課長だった人物である”とする記事が、さまざまな中国語のメディアで取り上げられています。

30年前に起こった事件です。今回の事件が起こったことで、思うところがあったのか、著者が発表したようです。

第1章:誘拐された娘を救い出そうとする両親らと、村人との騒動

著者、劳夫は、”8人の子どもの母親事件”が起こった場所と同じ、徐州の駅で、30年前に自分が目撃したことを語ります。

楽しげに話していると、突然、ドアの外で騒ぎが起きた。 侯主任(旅客輸送
担当)は顔をしかめ、立ち上がって「またか」と呟いた。 彼は私に向かって、「ごめん、先に処理しとくよ」と言った。 私は彼の後を追って出て行った。
ドアの外のプラットフォームには、黒い塊の農民のグループがいた。ある者は小剣を持ち、ある者はシャベルを持ち、ある者は血のついたエプロンを着たまま豚殺し用のナイフを持ち・・・おそらく屠殺場から直行してきたのであろう。

https://ipkmedia.com/?p=125886

想像するだけで、ゾッとします。

侯主任は、人ごみをかき分けて真ん中へ。 眼鏡をかけた中年女性に抱きかかえられ、地面に座り込んでいる若い女性がいた。事情を聞こうとした時、太った男が平手打ちをして言った。「何を見てるんだ? 三(*おそらく侯主任のこと)、お前は駅の役人だろう?毛蛋の嫁がさらわれたんだ」。
侯主任は困惑した顔で、「季兄さん、誰が拐われだんだ?」。それはまさに彼らだった。 季兄さんが指差したのは、目の前にいる2人の警官と、アヒル口帽子を被った男だった。
侯主任は、2人の警官に「あなた方は?」と、尋ねた。警官らは一歩前に出て言った。
「私たちは上海市公安局の者です。この2人は化学研究所の莫教授と呉教授です。 彼らの娘で大学院生の莫華は、5年前に研修旅行でここに来たが、誘拐され、売られてしまった。 私たちは彼らを救うためにここにいるのです」。
男はそう言って、書類を取り出し、逆に「あなたは駅長ですか?」と尋ねた。
侯主任は「私は駅長ではないのですが、今日は、駅長秘書が会議に行っているから、私の担当になります」と言った。
「それならば、拉致された女性たちを救出するために、私たちに協力してください」。

ああ、そうだったのかと、私は理解した。侯主任は、大きく息を吸った。後で、聞いた話では、彼は「入ってきた瞬間に何が起こっているのかわかった」と言っていた。 そんなことが、ここではしょっちゅう起こっているという。毛蛋が小姑と呼んでいた娘婿の妻が人身売買でこの村にきた、家に帰るとそのことが家族で話題になったことはあった。 でも、大学院生とは知らなかったと言う。

侯主任は王さんに、公安部長を連れてくるように言った。 「あと数人くらい連れてきて欲しい」。 駅のホームでの喧嘩を恐れたのだろう。 もし誰かが怪我をしたら、事態は大きくなり、彼の責任になる。
侯主任は、地べたに座っている母娘を旅客当直室まで連れて行くよう、局の人間を手配した。 頭でっかちの首の太い中年男があわてて侯主任を引っ張り、「三(*おそらく侯主任のこと)、私も入って嫁を見たい、金を使かったんだ」と言った。
侯主任はまだためらっている。群衆は叫んだ。
「突入だ、誰も逃がすな」。
侯主任はため息をつきながら、「中で騒ぐな、騒げば、銃を持った警察に殺されるぞ」と言った。 毛蛋は一瞬固まって、「騒がない、騒がない」と言った。 毛蛋も毛蛋の母親も一緒に部屋に入った。 また、数人の屈強な男たちがドアをふさいでいた。彼はさらに2人の警官と李兄さんを連れて行った。村長は二人を柔らかい座面の待合室に招いた。 解決策を検討するという。 他の1、2百人はホームに立たせれておけばいい。

https://ipkmedia.com/?p=125886

理解を超えた会話ですが、これが中国での人身売買の現状なのか(事件は30年前のものですが)と思えるのが次の会話です。

最初は誰も何も言わなかったが、沈黙を破って「そいつを連れて行くことはできない」と叫んだのは李兄さんだった。
なぜ?
なぜかというと、国が2人の結婚を認めた結婚証明書が発行されているという。
警察は「結婚は自発的なものです。 結婚は彼女の自由意志によるものだったのでしょうか?」と、尋ねる。
「そんなことはどうでもいいんだよ。そいつは800元も出して買ったんだよ。 連れて行ったら、誰がお金を要求するんだ」。
警察官は李兄さんを見ながら「800元も払えというなら、女性を売ることになり、法律違反になりますよ」と言った。
李兄さん「私たちがいるここでは、こんなことは、珍しいことじゃない。法律違反だと言う人はいないね」。
警察「あなたたちの場所でよく起きることだからと言って、この件が違法でないとは限りませんよ」。
李兄さん「花嫁の代だよ。今どき、この国の花嫁はみんな花嫁代を要求してくるものだよ、それが法律違反? 法律違反なら、この嫁の方が悪い」。
警察「彼女がどんな法律を破ったというのですか?」

https://ipkmedia.com/?p=125886

ここで誘拐され、人身売買により、無理やり嫁にされた莫華さん(莫教授と呉教授の娘)の”過去の事件”が出されます。

「彼女は自分で産んだ2人の子どもを自分の手で殺めたんだよ」。

最初の子が変な死に方をしたので、みんな混乱したんだ。 2人目の子は家族が見守る中で生まれた。その日、彼女がこっそり生まれた子どもの口を覆っていたから、家族が駆けつけてきて、彼女の手から子供を奪い取った。 その時、赤ん坊はまだ息をしていた。 村の保健センターで蘇生されず、死亡した。 その後、彼女は死のうとしたので、死なせないように縛り上げられたんだ。

この話を聞き、警察官は、唖然としたものの、自分たちの任務は人身売買された女性を救出することであり、その任務を果たす必要があること。今聞いたことは、捜査本部が追跡調査を行う際に、確認するだろうということ。そして、妨害すれば公務執行妨害で逮捕することを村人に告げます。

交渉に失敗したとわかった村長は、ホームにいた村人に合図を送り、部屋の入り口に集合させます。しばらく言い合いになった後、村長が立ち上げり、警察に向かって言います。

あなたたちも、公務中ですから、なかなか難しいと思います。 一流の組織として、村の私たちは合理的に協力すべきですが、あなた方も私たちのことを考えるべきでしょう。 ここは昔から貧しい村でね。都会の人はお嫁さんが見つからないから、田舎に探しに来るんです。
うちの村には、30代、40代の独身者がまだ20人以上いるんですよ。 みんなお嫁さんを買っています。買わなければ子孫を失うことになるんですよ。

今回、私たちの村はあなたに協力し、彼女を連れて行くことを許可しました。
しかし、毛蛋(*人身売買で嫁を買った人)の家族が使ったお金は、必ず残してもらわないと困りますよ。 毛蛋は、この後、嫁を買うために金を使わなければならないですからね。 彼はすでに42歳ですよ。

もし、あなた方が「ノー」といえば、私は(暴動を起こそうとする村人らを)押さえつけることはできませんよ。

ここで慌てたのが、両方の事情が理解できる侯主任でした。警官に、ここはお金で解決した方がいいと勧めます。警官は、莫教授と相談します。怒りで震える、莫教授は「私の娘はこんなにひどい状態で、死にそうなのに、彼らはどれだけ強欲なのか」。この言葉に警察も「正義はないのか!」と。結局、侯主任の説得もあり、娘をいち早く自宅に連れ帰りたかった莫教授は、お金を支払うことにします。

村長と侯主任は、毛蛋とその母親を呼び出し、値段交渉が始まります。「花嫁代は、いくらだったんだ?」という警察の問いかけに、毛蛋は「800元」と言い、彼の母は、「だめだ、3,000元だ」と。この金額にさすがにみんなは驚き、「なぜ?」と尋ねます。

「だって、今どきは、お嫁さんを買うのに2,000 元もかかるんですよ。 それに、彼女はうちでずっと食事をしていたお金もかかってるのに。仕事もしないで食事代だけかかる。それがどうして1000元? 3,000元でしょう。1分でも安ければ、彼女を列車に突っ込ませて、あなたたちの目の前で死なせてやる」

絵に描いたような悪役のセリフです。
莫教授は怒りで震え、涙を流しながら、「何年もかけて、娘を探すために全国を駆け回り、そのために家財を全部売り払ってきたのに、どうして今、ここにそんなに大金があると?」。
筆者によると、当時の彼の月給は百数十元、3千元は大金だったと言います。その時、莫教授が持っていたのは1,500元。それで交渉しようと、侯主任に話しますが、村長は首を横にふり「無理だ」。そこから大揉めに揉めます。途中、村長は、「仕方ない。これ以上、私にできることはない。2,000元で、食事は無料だ。お前ら早く金集めろよ、俺は帰るから」と出ていきます。おそらくこれは茶番劇です。劇場はさらに続きます。

村人たちは無言で顔を見合わせた。そこで叫んだのが毛蛋。
「金が足りない。みんな闘うぞ!」
ホームにいた人々は、近隣の家に押し入り強奪を始めそうに。著者は慌てて、いち早くこの場から誘拐された娘さんらを連れ帰られるよう、侯主任や警官、莫教授と相談し、500元を搔き集め、毛蛋らに2,000元を渡した。

毛蛋の母親は渋々お金を数え始めたが、途中、罵倒し、悪態をついていた。
去り際に、毛蛋は、呉教授のロシア製ショールを奪い取った。
侯主任「ショールを奪ってどうするんだ? あんたは使わんだろ」。
毛蛋「食事代だよ。意味がないわけないだろ、まきゃあいいんだよ」。
村長は、黒煙を吐き出すトラクターで、民衆を引き連れて帰っていった。

去り際に、李兄さんは、莫教授に吐き捨てた言葉は・・・。
「もし、あんたら家族が、娘の人身売買でこちら側を訴えたくなったら、まず、自分の娘がやった殺人を訴えるんだな。俺たち、みんな、その場で見たんだからな」。

侯主任は、莫教授の家族と警察官2人を待合室に招いた。 呉教授は、娘の莫華を抱きしめ、泣き続けていた。 髪は乱れ、服は破れ、目はうつろになっていた娘は、すっかり農村の女性になっていた。そこに大学院生だった娘の姿は何も残っていない。 莫教授はしゃがんで莫華の手を取り、ただ黙って泣いていた。

村人を狂気に駆り立てたものは?

ここまでが30年前に、著者、劳夫が遭遇した、徐州の駅での人身売買された娘を取り戻すまでの事件です。
この話だけでも、十分、辛く悲しく、そして、行き場のない怒りをどうして良いのかわからないような話です。しかし、莫華が受けた虐待はもっとひどいものでした。それは”鎖で繋がれた8児の母親”事件と、似ているような部分もあります。

一人っ子政策が行われていた中国で、”女性が足りない”という状況は昔からあったことで、このような事件も実際に起こっていたという話は度々出ています。

李兄さんや毛蛋、村長が悪態づいたように、”他の人もみんながやっている話”なのでしょう。政府にいろいろな制約を押し付けられていた貧しい地方の村の人々にとっては、都市部の人に持つ嫌悪感もあったかもしれません。

文化大革命時代には、都市部の知識階級らがこういった地方に下放されたといいますが、その時に知識階級らが受けた対応は、莫華が受けたような人間扱いとは思えないようなものだったといいます。時代がどんどん変わって行く都市部と違い、ひとところに同じ人々が集まって住む”村”では、文革当時からの価値観(=モラルや人権意識等のかけらもない価値観)が続いていたのかもしれません。

ただし、全てを共産主義の責任とするのも、適切ではないと思います。

昨年、中国河南省を襲った”1000年に1度の豪雨・大洪水”の時に、ショックを受けた言葉が「中国では良い人は長生きできない」というものでした。洪水で建物の2階や3階に閉じ込められた人々を救助にきた、ボランティアの人々は水に浸かった状態でした。そのような状況を確認することも、事前通告をすることもなく、地方政府は、停まっていた電気を流し始めたと言います。洪水は建物や電柱を倒すほどの勢いでしたから・・・水に浸かっていれば感電します。なぜ放電を急いだのかといえば、停電している時間が長いと、地方政府の責任になるからです。

共産主義は、中国人から社会秩序やモラル、人間関係、道徳心・・・等々、たくさんのものを奪い、破壊してきました。だからと言って、全ての中国人がこの物語に出てくる、村人のような人々かといえば全く違います。
著者や侯主任のような人もいれば、救助活動で亡くなった人、コロナの”ヒトヒト感染”を最初に暴露し捕まり亡くなった医師、鎖で繋がれた8児の母親を救おうとして逮捕された人等、人の心を持って闘う中国人はたくさんいます。

村人を狂気に駆り立てたのは何なのか?

このドキュメンタリーには続きがあります。そこにこの問題を考える上での手がかりがあるようでした。

劳夫のドキュメンタリーは、実際には1つの文書としてまとめられていますが、長いので、5つに分けてまとめています。文章の構成はそのままです。

第2章:村長の本音

後日、著者が侯主任から聞いた話では、毛蛋一家が”買った嫁”を諦めたのには、警察が介入したこと以外にも理由がありました。

”嫁”があまりにも凶暴で、毎日死のうとしていたと。”買ってきた嫁”には子どもを産ませなければならないので、死なれては困る。鎖に繋ぎ、監視しなければならないことが、家族にとって負担になっていた。特に、出産後、体調がどんどん悪くなってきていた”嫁”は、年末まで命が持つか微妙なところ。もし、死なれてしまえば、お金が残らないことになるが、”嫁”の家族が金を出すというのだから、金をもらってしまいさえすれば、終わりってことで問題ない・・・。

さらに、あの事件から半年が経ち、筆者は、村長に会いました。

村長は、「やあ、また会えたね」と再会を喜んでくれた。夕食後、食堂車でおしゃべりをした。
私「なぜ、ここでは多くの女性が売買されているのですか? 」
村長(長いため息をつきながら)「はあ。あんたは、ここが昔から貧しかったのを知らないんですな。
乾隆帝は長江の南に行く際に、ここを通り、”穷山恶水(山が貧しく、水が悪い)”という4字で表現した。創立皇帝になった後も、彼はまだ地元のならずものであり、根がは曲がっていた(*この一文は意味がよくわかりませんでした”出了个开国皇帝,还是个乡里的地痞流氓,根子就歪。”)。
娘より息子が好まれ、みんな男の子を産みたがるが、女の子は産まず、見捨てて溺死させる。 優秀な娘はみんな村を離れたがるので、田舎には花嫁が少なくなってしまったんだ。 毛蛋の母親も、その昔に、買われてここにやってきたんだ」。

私「毛蛋の母親は逃げなかったのですか?」
村長「逃げる?どうやって? 追いかけてきては殴り殺されかけ、怖くなっていた。そんな時に、子どもができた。それで逃げなくなったそうなんじゃ。莫華はなかなか凶暴でな。 前回連れ戻したときには、足を骨折し、鎖をつけられた」。
私「逃亡は成功しないのですか?」
村長「しない」
私「なぜ?」
村長「村の人たちは、ほとんどが親戚だ。嫁を買った家を、村のみんなが目を光らせて見張っているのだから、逃げられるわけがない」。

「ああ。 そういうことだったのか」と、私は悟った。そして、あの日、莫華が2人の子どもを殺したと言っていた話が本当なのか、村長に尋ねた。

村長「もちろん、それは事実だ。 子どもたちを助けようとした時、莫華の手は子どもたちの口元を覆っていた。それを数人がかりで引き離したんだ。村の保健センターに着くと、その子の顔は青紫がかっていて、小さな顔には手形がついたままだった。 私はその子が死ぬのを見たよ」。
私「通報しなかったんですか?」
村長「通報?なんて報告するんだ? 警察に通報すれば、莫華は必ず逮捕される。 毛蛋の家には嫁がいなくなる。それに嫁を買ったということがばれてしまうじゃないか。だから、 家族が通報させなかった。 誰が通報するのか?
(莫華は)自分の子どもに手をかけた母親だ。心の中にある憎しみの大きさは計り知れない。私は言いようのない恐怖を感じたよ。

この村長の話だけ聞くと、「莫華はどうして子どもに手をかけたのだろう?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。莫華に何があったのか?彼女の口から出てきた話は、第3章にあります。

ここでは一旦、村長の話に戻ります。

村長「町に数軒の洗髪屋があった時は、 村の独身者はみんな、そこに通っていた。閉鎖された今、独身者たちは行き場を失ってしまってな。いつも村で鶏や犬を盗んだり、喧嘩をしたり、トラブルを起こしたりしているんだよ。 娘婿の人身売買のことは村中が知っているが、誰も気にしないし、あえて気にしない」。
私「なぜ?」
村長「考えてもみろ、自分の村に嫁がいない人がいて、村ではどうにもならないから、自分で嫁を買ってくるんだ。それを許さないというのか? 家を断絶させたいのか?誰がこんなことするんだ?」
私「では、どうしようもないのでしょうか?」
村長「何ができるっていうのだ。 この村の家族計画担当者が言うには、田舎では男が女より何千万人も多いから、独身は仕方ないそうだ。
孔子は「性は食に如かず」と言った。 数千万人の独身男性に、上の欲求は満たしても、下の欲求は満たせないままか? この問題を解決しない限り、女性の人身売買を終わらせることはできないだろう。こういう話は、タブーなんでね。真実を話すのは、難しいもんだね」。

私たちはしばらく二人で黙っていた。

第3章:娘に何が起こったのか?

それから1年後、筆者は侯主任と再会します。筆者は 村長の話をし、最近の村長の様子を尋ねます。侯主任の口から出た言葉は、驚くものでした。村長は亡くなってしまったと言うのです。病死でも事故死でもなく、「毒を盛られた」ことが原因でした。

私「毒を盛られた? 誰かが村長を毒殺したのか?」
侯主任「莫教授だよ」
私「莫教授?」
侯主任「あの時の大学院生、莫華の父親である莫教授だよ」

筆者は、あまりのショックに、口を閉じることができなかったと言います。侯主任は、莫教授が莫華を連れ帰った後の話を始めました。

莫華はすでに重度の精神疾患を患っていて、目を覚ましたかと思えば気絶することもあったそうだ。長い間鎖につながれ、飢えと寒さで、彼女は内臓の病気も抱えていた。ところが、 彼女は治療に協力的じゃなくてね。2カ月足らずで亡くなってしまった。

彼女が生前、何度も叫び続けていたことがあって。村人から何度も追い回され、両足が折れてしまった。ボロボロになった彼女を、家族は人前で彼女のズボンを下ろし、彼女を押さえつけて、毛蛋に犯させた。
村の人たちは、彼女が盗賊でもあるように扱い、家族の監視を手伝った。

彼女は村の人たちに懇願したが、誰も彼女のために手紙を送ってはくれることはなかった。彼女は村長にも相談したが、村長は彼女に気にかけないばかりか、「”殴られる嫁”は、”練られる麺”だ」と、陰で毛蛋に言っていたほどだった。

「子どもさえ産めば、いい女になれる」。

莫華は、莫教授、呉教授にとっての、たった1人の愛娘でした。 その愛娘から聞いたおぞましい話に、彼らの髪の毛はひと月の間に真っ白になってしまったほどだったと言います。

第4章:妻の旅立ち

莫一家にさらなる悲劇が襲います。

ある日、莫教授が仕事から帰ってくると、 家の中がやけに静かだった。 書斎に入ると、机の上に大きな毒瓶を重石にした、手紙が置いてあった。 妻からのものだった。

「私は旅立ちます。華華(莫華)の復讐をします」。

驚いた莫教授は、あわてて寝室に駆け込んだ。 妻は服を着たままベッドに横たわり、体をねじり、瞳は怒りに満ちていた。息はとうに絶え絶えになっていた。
ショックを受けた莫教授は、血の気が引くのを感じ、気を失った。

目を覚ました彼は、震える手で妻を優しくさすり、ゆっくりと妻の目を閉じさせた。そして、遺書を破り、猛毒の薬の瓶を隠すと、警察に通報した。
警察の調べで、彼女は毒を飲んで自殺したことがわかった。

妻の死後の処理は、すべて化学研究所がやってくれたと言います。 莫教授は一日中椅子に座って、 目も開けず、声も出さない廃人のようになっていたそうです。 このような悲しい状況を考慮した研究所は、莫教授は自宅療養扱いにしてくれたと言います。

第5章:家族を奪われた父親の復讐

しばらくすると、莫教授から「気分転換に出かけたい」と申し出があったため、研究所は快諾します。 あとからわかったことですが、この時、莫教授は、研究所から割り当てられた住宅を、遠縁の親戚にすでに転売した後でした。

毛蛋の村の村に戻り、家を借りた。 偵察を重ね、村の飲料水の井戸の位置と1日の水の消費量を割り出した。 井戸に毒を盛る量を計算するためだ。

その後、毛蛋の村では次々と人が死んでいった。最初は年寄りで体の弱い人が・・・そのうち、若くて丈夫な人も死に始めた。 村人たちはパニックになり、逃げ出した。

当局はこの件を重く見て、村に対策本部を設置した。たまたま、村の風上に重汚染化学工場が建っていたからだ。 空気、土、水を大量に採取し、分析した結果、化学工場は汚染がひどく、死亡との関係を否定できないと結論づけられた。

化学工場は是正のため閉鎖され、人々は次々と村に戻ってきた。すると、新たな”連続死”が始まった。 莫教授の使った毒は、中国では珍しいものだったし、対策本部が村に来た際には、一旦、毒殺を中止していた。だから、検出されることはなかった。
村人は再び村から逃げ出した。 村長は、事件解決のため、捜査本部に協力すると、村に残った。それで死んでしまった。

莫教授は、村長の死亡を確認すると、公安局に自主的に出頭した。 彼は、この村で何が起こったか、前後の話も含め、関連するすべての情報を残していた。

侯主任の話が終わると、その場にいた全員が黙り込んだ。

劳夫の文章はここで終わります。

人身売買の無限地獄

劳夫の文章を読んだ時、”無間道”という言葉を思い出しました。この言葉を知ったのは、香港映画『無間道/(英語タイトル)インファナル・アフェア』(主演:トニー・レオン、アンディ・ラウ)で、”無間道”とは、仏教でいうところの無限地獄。一度入ると抜け出せない、絶え間なく続く苦しみのことを指します。『無間道』はマフィアに入り込んだ警察訓練生と、警察学校に入ったマフィアの世話になったストリートチャイルドの話ですので、女性の人身売買の今回の事件とは全く違います。ただ、観終わった後の衝撃は、このストーリーを読んだ時と同じでした。一緒に鑑賞した友達がいたのですが、”言葉にできない”以前に、感情の処理をどのようにしていいのかわからず、お互いにしばらく黙り込んでしまうくらい・・・。劳夫のドキュメンタリーでも、彼自身が何度か”黙り込んだ”という文章がありました。

怖いなと思ったのが、毛蛋の母親の村への順応ぶりです。もちろん、”買われた嫁”であった彼女にとって、受け入れることは相当の覚悟が必要だったはずです。とはいえ、駅での出来事のあの、ラスボス感と言ったら。地獄を経験したはずの女性が、自分が地獄の執行役になっている辺りに、”無間道”を感じます。自分が虐められるターゲットにならないように、もしくはターゲットから抜け出すために、新たな犠牲者を出すような、”いじめ”によくあるようなことが起こったのでしょうか。

莫華が自ら自分の子どもに手をかけたというのは、やはりそれほど追い詰められていたのだと思います。村人や村長の話の中で、”莫華は凶暴だった”というものがあります。徐州市の”鎖で繋がれた、8児の母親”事件でも、”彼女が凶暴で噛み付くことがあったので歯を抜いた”という話が出ていました。彼女たちが凶暴なのではなく、無気力になってしまう前の、地獄から逃げ出すための最後の抵抗ではないかと思います。

そして、この地獄を無限にしている張本人が、誰にでも忖度する村長だと思います。一見リベラルっぽいことを言っていますが、こういう矛盾を抱えたリベラル・エリートはアメリカでもよく見かけます。

あるリベラル州では、祖先や本人が人種差別を受けていた(る)のだから、街を破壊しても、店の商品を強奪しても仕方がないという市長がいましたし、別のリベラル州の市長は、「万引きが横行しているのは、(10万円以下の万引きを軽犯罪とした法律や、盗んだ人ではなく)警備にしっかり投資しない店側の責任」と謎理論を展開したり・・・。

”嫁を買ってくることは仕方がない”・・・それを仕方がないこととは思いませんが、仮にこれが仕方がないとして、莫華に行った拷問、レイプ、虐待を止めなかった理由にはなりません。
それに”村長が語った話”からは、”村長が語らなかった、村で起こったこと”が想像できてしまいます。村人にとって、莫華は、”子孫を残すためのマシーン”というモノであり、”村の男性の共有物”に過ぎなかったのでしょう。だから、村人みんなで監視する必要があったのだと思います。

犯罪に理解を示すというのは、リベラルでも何でもなく、法治国家という世の中のルールを理解していない、単に謎理論の展開が上手な人というだけです。
こういった態度が、犯罪を助長するのであり、村人たちを”クリミナル・ハイ”な状態にしていったのだと思います。これはアメリカでも起こっていることです。そのようなリベラル州知事、または市長の都市では、犯罪率が上がっています。

”あなたはかわいそうな人だから””社会があなたを助けないのだから”、多少の犯罪は仕方がない・・・そのような考え方は、本来、犯罪に手を染めなくてよかった人までも、犯罪者になるきっかけを与えてしまいます。犯罪者がいれば必ず被害者がいて、犯罪によっては、被害者が加害者に復讐を果たそうとすることで、ここでもまた、犯罪者と被害者を出してしまう・・・。つまり、社会が”無間道”化してしまいます。

どういう理由があっても、人をあやめることはあってはいけない・・・その前提でも、莫教授がなぜ村長の死をもって、”村人への復讐を終わらせよう”と思ったのかは、理解ができるような気がします。莫教授が行ったことを肯定することはできませんが、隠し通すこともできた彼が自首したのは、この事件をきっかけに、このような犯罪に注目を集め、2度と娘のような悲劇が起こらないようにしたいという気持ちもあったのではないかという気がします。

しかし、残念なことに、”鎖に繋がれた、8児の母親”事件のようなことは現在でも起こっているのです。

”8児の母親事件”に立ち上がる人々

”鎖で繋がれた、8児の母親”事件が明るみになったのが1月28日、もうすぐ1ヶ月が経とうとしていますが、中共の婦女連盟等、声を上げるべき団体からの声が上がっていないこと、説明が2、3転した徐州市の調査報告等に、中国市民が怒りの声を上げています。SNSでは、関連動画が投稿できないようになったり、何とか沈静させようとする当局の動きがあり、それがより市民の反発を招き、”きちんとした事件捜査”の要求がますます過熱化しているようです。

中国エリートによる、エリートへの呼びかけ

中国で”エリート”と呼ばれる人の多くはこの1ヶ月間、沈黙を守ってきたようです。しかし、そのエリートたちに呼びかけるエリートの声というものも大きくなってきました。

現代詩人・作家の曹天(2月13日):
中国の現代詩人で独立作家の曹天氏はSNSで、徐州鳳県で起きた鎖につながれた女性の事件について、全国の女性組織から心配する言葉をまだ見ていないし、体制内の作家、画家、音楽家が発言しているのも見ていない。
国庫のお金は、1分残らず国民の血税であり、このような無能で、沈黙した冷血動物集団を養うべきでない。

https://www.ntdtv.com/gb/2022/02/15/a103348556.html

中国(大陸)で大学を退職した劉・元大学教師:
「中国共産党政権は、これほどの悪事と、これほどの世論の高まりに目をつぶり、婦女連合会や文芸連合会すら声をあげないとは、身も凍りそうだ」
「何のための婦人連合会なのか。 女性や子どもの利益を守るためだが、これだけ深刻な虐待事件にもかかわらず、中国のすべての婦人連合会は見て見ぬふりをし、耳を貸さない。本当に恐ろしいことだ。
この事件に関する私の見解は、人身売買業者が公安部門のサポートを得ているか、直接関与しており、中共のシステムになっていることで、人身売買がこれほど横行し、それが産業チェーン化、卸売り業化、一般ビジネス化したのだと思う」。

劉さんは、人身売買は懲役3年であるはずなのに、多くの人身売買犯は処罰されていない。中共が人身売買の犯人を法律から守っていると批判した。 彼女は、まず最初に解体すべきは中共の体制だと考えている。

https://www.ntdtv.com/gb/2022/02/15/a103348556.html

”8児の母親”は、専門家が行った顔の生体認証により、12歳で行方不明になった四川省の少女、李英と特定され、インターネット上で注目を集めていました。しかし、徐州当局が発表した”8児の母親”は、雲南省の小花梅。矛盾した発表が続いたため、さらに懐疑的な目が向けられるようになっています。 多くのネットユーザーが現地に調査に行ったところ、支援しようとした人が脅迫や威圧を受け、11日には2人が拘束されました。 本土の別の元ジャーナリストが雲南に調査に行ったものの、誰も”8児の母親”が小花梅であることを突き止められなかったと言います。

官製メディアChina.comの番組「有名人インタビュー」のプロデューサー兼ディレクターの王聖強氏(2月14日、微博の投稿):
「故郷の奉賢では、鎖につながれた女性が李莹であることを誰もが知っている。 彼女の歯は、噛まれたことを恨んだ男がペンチで折ってしまった。 村人の話では、彼の父親が生きていた頃は、3人で彼女を”使った”そうだ。

また、政府が李莹を認めなかった理由については、李莹の父親が軍人であったため、自分の娘を保護することができなかったことが軍に与える影響を考慮したためだ。

さらに、”拉致されて遠方に売られ、誰が改名を許可したのか?”” 誰が戸籍を与えたのか?”” 結婚証明書は誰が発行したのか?”” 婚姻届は誰がやったのか? ”これらの問題は、役人が関与せずにはできないことなので、政府は李莹であることを認めたがらない」。

https://www.ntdtv.com/gb/2022/02/15/a103348556.html

同記事によると、この投稿は現在削除されています。政府が地元にいる多数の親戚を使って説得したということです。

また、中国本土のジャーナリストの共同調査による書籍『女性人身売買実録』では、1980年代以降、中国における人身売買が産業チェーン化し、”女性の卸売市場”が活況を呈していて、最年少は11歳だということも、明らかになっています。 徐州だけでも、3年間で5万人近くの女性が誘拐されたと言います。

北京大学、呉碧湖教授:
徐州市豊県の”8児母親”事件における中国婦女連合会の無神経さを非難し、「中国全婦連の謝罪と徐州婦女連合会の解散」を要求した。 その後、彼の微博のアカウントはバンされた。

https://www.ntdtv.com/gb/2022/02/17/a103349990.html

記事によると、徐州市婦女連合会は、微博上で、徐州市の2つの公式見解をリツイートしたこと以外、何もしていないそうです。 そのコメント欄には、ネットユーザーから怒りのメッセージが殺到し、これを受けた、中華全国婦女連合会の微博アカウントは、あっさりコメント欄を閉鎖してしまったと言います。どこも・・・一緒ですね。

中華全国婦女連合会に対しては、中国の人権派弁護士である劉暁原も、作業部会を派遣して調査し、結果を公表することにより、その義務を果たすこと要請する書簡を送ったそうです。

女性の権利をめぐる問題なのに、女性支援団体が立ち上がらないのは、アメリカも同じです。女性スポーツの分野にトランスジェンダー(生物学的男性)の人が入ると、女性選手が全く敵わなくなってしまうことに、沈黙を貫いています。先日、この問題に対して、切り込んだ発言をしてくれたのが生物学的男性の方でした。彼女も女性支援団体に怒りの声を上げていました。

女性スポーツを破壊する過激派と権利放棄した女性団体に、生物学的男性が切り込む
アメリカの二極化を止めよ!:トライバル・メンタリティから脱却

中国国内外の大学生が立ち上がる

北京大学の卒業生100人(2月15日):
微博で中共の最高権力に共同公開状を送り、徐州政府が作った4つの報告書は抜け穴だらけで、矛盾した説得力のない記述であることを非難した。 彼らは中央政府に対し、”鎖につながれた女(8児の母親)”事件を直ちに調査し、今も虐待を受けている拉致被害者を救出し、国民に真実を伝え、社会に正義を取り戻すよう要求した。

https://www.ntdtv.com/gb/2022/02/17/a103349990.html

その投稿はすぐに削除されたようですが、その後、清華大学、中国人民大学、浙江大学、四川大学も共同署名を行い、多くの大学生が”8児の母親”のために声を上げたと言います。この共同署名は、スクリーンショットが残されていますが、投稿できなかったり、投稿した場合に制限が付けられたりしているそうです。

中国人留学生のグループ(2月12日):
ニューヨークのタイムズスクエアに集合した、中国人留学生のグループが、”鎖につながれた女性”への懸念と、中国政府が女性の人身売買を温存・容認していることへの憤りを表明した。

https://www.ntdtv.com/gb/2022/02/17/a103349990.html

これは小さくない動きです。ニューヨークでは2月15日、フラッシング地区で法輪功学習者が運営する”中国共産党及びその関連組織からの脱退支援”の路上展示ブースで破壊行為がありました。逮捕されたのは、中国系米国人の鄭步秋。

海外での活動であっても、中共は、海外在住の中華系の人や留学生を使って妨害を行います。オーストラリアだったと思うのですが、大学生が香港支援の横断幕を掲げたところ、中共に配慮した大学側が学生らに横断幕を外すように指導したケースもありました。外国語メディアが反共学生に取材しようとした際に、横から妨害する親共産学生の動画も見たことがあります。

リンク先の記事によると、中国人民大学OBで米国在住の時事評論家、郭宝生はラジオ・フリー・アジアに対し、「北京大学や人民大学など中国の名門大学の学生たちの社会的イベントに対する態度は、しばしば上級管理職の注目を集める」としています。また、北京の独立系学者である查建国は、「女性と子どもの誘拐と人身売買は、人間の”最も基本的な道徳の底辺”を超越しているので、世論の共通の怒りを呼び起こした」と話しています。

当局の対応

江蘇省の調査チームが設置された後、中国大陸のメディアは沈黙を破り、公式の証言や李莹の母親の証言を引用して、”8児の母親”が李莹であることを否定し始めた。 北京からの指令という噂がある。

さらに、全国で”ネット黙秘”キャンペーンを展開。 インターネット上のさまざまな情報源によると、SNSのプラットフォームは、大規模に投稿の削除やアカウント•バンを開始している。 これまで連帯キャンペーンに参加していた大学の卒業生らには、キャンペーンからの撤退を通告し、連帯の横断幕を掲げたネットユーザーには、写真の削除を求めた。

中国での人身売買に関する新旧の書籍も、ネット通販のプラットフォームから突然削除された。

ネット上の動画には、機動隊員が盾を持ち、掲示物の撤去を求めにきた様子が映し出されている。事件のあった環口鎮東地村周辺はトタンの壁で囲まれ、公安が警備する道路の隙間だけが残っており、海外のボランティアが真相調査を続けられないようにしているようだ。

東地村周辺の村々では、いわゆる”防疫壁”を設置し、コロナを盾に部外者の侵入を防いでいる。

https://www.ntdtv.com/gb/2022/02/21/a103353617.html

鍵を握るのは、ファーストレディ?

中国共産党の彭麗媛ファーストレディが徐州市の”8児の母親”事件を最後まで調査し、邪魔する者がいれば調査すると強気の発言をしたことが明らかになった。 中国当局が統治を維持するために捜査を続ける可能性を指摘する論者もいるが、安定を維持するためのいつものやり方では、事態を悪化させる可能性が高い。

中国共産党の口演で「ユネスコが------」と報道

2月15日、北京大学法学部の李逸平は、中国共産党のファーストレディである彭麗媛が徐州市の”8児の母親”事件を調査し、国際的な面子を保っているという情報を得たとツイートしている。

https://www.ntdtv.com/b5/2022/02/19/a103351647.html

中共現政権トップの妻のことです。(*名前を出すのは控えています)
彼女は国連教育科学文化機関(UNESCO)女子と女性の教育促進特使を務めている立場上、世界中がこの問題に関心を寄せる中、コメントせざるを得ない状況にいたとされています。

昨年10月のユネスコでの彼女の発言が下記のとおりです。

彭氏はまた、国際社会が女子と女性の教育に一層の関心を寄せ、これを支援し、「国連2030年持続可能な開発目標」の実現に向けた新たな貢献を行うよう期待を表明した。

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミックは、教育の面で女子と女性にマイナスの影響を与えており、彭氏は、彼らに平等かつ質の高い教育を提供するための一層の取り組みを求めた。彭氏は、デジタル技術を十二分に活用し、高品質のオンライン教育リソースを共有し、貧困家庭および貧困地域の女子と女性への教育支援を強化することを提唱した。同氏は、女子と女性の心身の健康を総合的に向上させるため、彼らへの保健教育を強化する重要性も強調した。

一方、ユネスコ事務局長のAudrey Azoulay氏は、この賞の設置と、特にパンデミックによってもたらされた課題に直面した際に女子と女性が夢を実現するための支援における中国の役割を称えた

https://kyodonewsprwire.jp/release/202110181833

今問題になっている女児の誘拐、そして人身売買は、女子と女性が夢を実現すると言うレベルではなく、生きるか死ぬか、人間としての尊厳を保てるか?のレベルです。彼女としてはこの問題に触れないという選択肢はなかったのだと思います。

では、ファーストレディーが一声かけたら、問題解決するか?と言ったら、そうもいかないようです。中共のトップも、この問題には触れたくない層が多数いて、意見が分かれている・・・というのが中国ウォッチャーの見解です。

”海外からの注目”というのは、多少なりとも、この問題を動かす力になっているようです。1人でも多くの女性、少女が、元の暮らしを取り戻せますように。

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