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アフリカのコロナ政策:ワクチン接種率と新規感染者数の関係

アフリカの感染拡大国と、ワクチン接種を含むコロナ政策

リサーチのきっかけ:ワクチン接種率が高い国の方が感染者が多い?

イスラエルとアフリカ諸国のデータを見ていて、気になったことがありました。アフリカの国としては、感染者が拡大している国、カーボベルデ共和国、チュニジアのコロナワクチン接種完了率がアフリカ内では高い水準にあるのです。そこでオミクロンが拡大した各国(上記2カ国と、サントメ・プリンシペ、ガボン、南アフリカ、モーリシャス、モロッコ)の政策について、アメリカの大使館情報を見てみました。政策の違いにかかわらず、接種率の高いチュニジア、モーリシャス、モロッコ以外の国では、オミクロン株のピークは見えているようです。

コロナ政策から想像する、アフリカの国の日常生活

実は単純にワクチン接種と感染者数の関連について調べようと始めたリサーチだったのですが、アフリカのコロナ政策を見ていると、その国の日常が垣間見れるようで、おもしろい!屋内の人数制限を1000人(!)までとしたり、ビーチでのピクニックを禁止したり・・・。先進国が”左”に倣え的な政策になっているのに比べて、同じ”ソーシャルディスタンシング”に関連した政策でも、各国の事情を反映させたと思われる政策を行っていて、とても興味深いものでした。

アフリカは、多くの日本人にとって遠い国ですので、”アフリカ”とひとまとめにしがちですが、それぞれ共通点もありつつも、全く違うという点もたくさんあります。コロナ政策から、各国の普段の生活を妄想してみるというのがなかなか楽しくて、コロナ後に行ってみたい国のリストを作ったほどです。ぜひ皆さんも妄想を楽しんでみてください。

中国のワクチン外交、一帯一路戦略

そして、最後に、アフリカのワクチン政策を見ていると、中国の動きがとても気になりました。「あれって効果がないって、セイシェルが言ってなかったっけ(モゴモゴモゴ)」とも思うのですが、アフリカの国によっては、最近に至るまで、中国からのワクチン供給を受け取っていて、かつ、その後、一帯一路の協定を結んでいます。詳細は該当国のところで、紹介しています。ぜひこの点も注視していただければと思います。

オミクロン株拡大のピークが見えた国

カーボベルデ共和国:ワクチン完了者48.2%

カーボベルデ共和国:
政府は、検査結果が陰性であること、COVID-19からの回復を証明するもの、またはワクチン接種証明書からなる「COVID証明書」を導入しています。国内を飛行機または船で旅行する乗客および乗員は、有効なCOVID証明書の提示が必要です。 COVID証明書は、社会的、文化的、娯楽的、スポーツ的、およびその他の大規模な集まりに参加する場合にも必要です。
バー、ラウンジ、レストランは、深夜0時まで、また一部の店舗では特別な認可や場所により、深夜2時まで営業することができます。 18歳以上のお客様は、これらの施設に入場する際に有効なCOVID証明書を提示する必要があります。ホテルやその他の宿泊施設にチェックインする前に、COVID証明書、ワクチン接種または回復の証明、またはCOVID-19検査で陰性であることが必要です。 18歳未満の未成年者は、親が同伴している場合は免除されます。大規模なスポーツ、文化、創作、社会的な集まりに参加する人は、COVID証明書、ワクチン接種または回復の証明、またはCOVID-19テスト陰性を提示する必要があります。 18歳未満の未成年者は、保護者同伴の場合、免除されます。午前4時まで営業しているクラブやディスコに入るには、有効なCOVID証明書、ワクチン接種または回復の証明書、またはCOVID-19検査で陰性であることが必要です。 すべての人は、密閉された空間で顔を覆うものを着用する必要があります(罰金あり)。

在カーボベルデ共和国アメリカ大使館

カーボベルデは、北西アフリカの西沖合いに位置するバルラヴェント諸島とソタヴェント諸島からなる共和国。オミクロン株によると思われる感染拡大が一時急増していたカーボベルデのワクチン完了者は、48.2%(Google情報、1月14日)と、アフリカでは高めです。コロナ感染による獲得免疫や、検査での陰性結果の代替が許可されているものの、ワクチンパスポート的なものが導入されていることがその要因でしょう。営業時間の制限がありますが、バーやレストランは深夜0時、クラブやディスコは午前4時までと、日本人視点では緩やかな印象を受けます。夜型の方が多いのでしょうか? 同国の出身者による紹介記事によると、大勢で集うことが好きな人たちが多く、カーニバルが文化としてあらゆる世代に根づいているということでした。
未成年に対する規制が、親同伴とそうでない場合で、異なる点も興味深いです。

さて、本題です。

100万人あたりの新規感染者数 Our World in Data
ワクチン接種回数と新規感染者数 Our World in Data

新規感染者と、ワクチン接種回数の推移を比べてみると、イスラエルと同じように、接種回数が増えて、デルタ株の拡大を抑制できたものの(昨年6月6日頃)、その後、接種回数は増えていても、オミクロン株での感染はあまり防げていないようです。ワクチン接種率が高まると、抑制はできるものの、リバウンド率が上がるのでは?と思えてしまいます。

ワクチン接種のタイムラインをみると、2021年3月・4月までにターゲット層に必要なワクチンが届きそれを計画計画的に接種していったことが伺えます。昨年末までには、ターゲット層に向けた接種は完了しているようです。

https://en.wikipedia.org/wiki/COVID-19_vaccination_in_Cape_Verde


サントメ・プリンシペ:ワクチン完了者28%

サントメ:
一般市民は可能な限り自宅にとどまり、大きな集まりを避けるよう奨励されています。公共スペースでの集会は8人以下に制限されています。運転手が一人で車に乗っている場合を除き、すべての閉鎖された公共の場と道路では、個人はマスクを着用しなければなりません。教会は定員の2分の1の人数で運営することができ、礼拝は別の日に行われます。市場は5:00から17:00まで営業することができます。公立・私立の学校と大学では、すべての夜間学校と授業が停止されます。行政機関の勤務時間は、必要不可欠なサービスを除き、07:30から13:00までとなります。クラブは引き続き閉鎖されています。一般市民は、少なくとも1.5メートルの距離を保ち、すべての公共・民間施設の入口で石鹸と水で手を洗うか、消毒しなければなりません。COVID-19以外の原因で亡くなられた方の葬儀・通夜は25名までに制限されます。また、COVID-19で亡くなられた方の葬儀・通夜はより厳しい制限があります。音楽祭や大衆的な祝賀会は禁止されています。団体スポーツの練習も禁止されています。
プリンシペ:
17:00-05:00は自宅にいなければなりません。未就学児から中等教育までのすべての学校の授業、専門教育の授業は停止集会は6人までに制限されています。地域市場は5:00から16:00の間、75%のキャパシティで運営されています。すべての宗教活動が禁止される。罰金あり。

在サントメ・プリンシペ・アメリカ大使館

サントメ・プリンシペは、サントメ州(島)とプリンシペ州(島)といくつかの島々で構成された国で、ワクチン完了率は28%(Google情報1月17日)。

100万人あたりの新規感染者数 Our World in Data

オミクロン株の拡大までは、そこまで大きな”波”はなかったようです。ただし、オミクロンはいったんピークが見えたようで、現在は急下降しています。

コロナ対策政策としては、サントメ州に比べ、プリンシペ州の方が制限が厳しいようです。ある程度の日常生活を保った上で、対策を入れ込んでいくような前者に比べ、後者は教育がストップされた上で、戒厳令まで出ています。
興味深いのは、同じ国でありながら、宗教活動に関する制限が異なることです。サントメは人数制限があるものの、活動自体の制限はありませんが、プリンシペでは宗教活動自体が禁止されています。

ワクチン政策に関しては、サントメ・プリンシペは実は、9月まではワクチン接種が順調に進んでいたようです。COVAXの他に、ポルトガル、そして中国がワクチン提供を行ったようです。

サントメ・プリンシペはCOVID-19に対して人口の10%を完全に接種し、世界保健機関(WHO)がワクチン接種の拡大と加速を目指し、大流行に対する流れを変えるための9月の世界目標に到達しました。(中略)
サントメ・プリンシペはこれまでに、合計197,500回分のCOVID-19ワクチンを受け取りました。内訳は、COVAX ファシリティから48,500回分、49,000回分はポルトガル共和国から、そしてつい最近、中国から100,000回の提供が行われたものです。このうち91,457回分の接種を行い、人口22万人のうち22,120人にワクチンを接種し、さらに66,202人にワクチンの初回接種を行いました。

パンデミック発生当初から、政府はこの致命的な病気から人々を守るために懸命な努力を続けてきました。ワクチンが安全かつ効果的に利用できるようになったとき、サントメ・プリンシペはアフリカ諸国の中で最初にワクチン接種キャンペーンを開始する準備が整ったとみなされ、COVAXからワクチンの提供を受けることができました。2021年3月15日以降、保健省の専門家はパートナーの支援を受けながら、最もリスクの高い人々、つまり対応の最前線にいる専門家や、この病気の重症化する可能性が最も高い人々から、利用できるワクチンを投与するために絶え間ない努力を続けています。次のステップは、2021年12月までに人口の40%にワクチンを接種するという次の目標を達成するために、ワクチン接種のスピードアップと拡大を図ることです。実際、厚労省は2022年3月までに人口の70%にワクチンを接種することを目標としています。(抄訳)

https://reliefweb.int/report/sao-tome-and-principe/s-o-tom-and-pr-ncipe-reaches-first-global-target-vaccination-against

ポルトガルは、アフリカを含め、ポルトガル語を話す諸国のコロナ支援を決めており、その一環として、サントメ・プリンシペにも支援を行ったようです。中国は・・・というと、昨年12月12日の新華社の記事によると、”中国とサントメ・プリンシペ、「一帯一路」共同建設了解覚書に調印”と、着々と、コロナ支援を通じたアフリカへの”浸透”戦略を進めています。一帯一路の過去の事例では、発展途上国の港湾を担保に、その国が返せないほどのお金を貸し付け、支払いが滞ると、港湾を抑える・・・ということも。国内の各種問題が過去最悪な状態になっている中国ですが、一帯一路は静かに、かつ、ゴリゴリ進められているということは、日本・アメリカは注視すべきことかと思います。

話をワクチンに戻し、9月までにはWHOが設定した10%をクリアできたようですが、”12月までに40%”の目標は達成できていないようです。下記のグラフから、おそらくワクチンの供給がいつ届くか?ということによるのだと思いますが、9月末の達成は、かなりラストスパートを聞かせたようです。

ワクチン接種完了者数の割合 Our World in Data

なお、アメリカの大使館は、サントメ・プリンシペにはなく、ガボン共和国にある大使館が兼任しているようです。サントメ・プリンシペは大西洋に浮かぶ島々、ガボン共和国はアフリカ大陸の西海岸に位置します。

位置関係

経済的な繋がりがあるのか、新規感染者数の推移を見ると、同じような時期に感染が広がったようです。

100万人あたりの感染者数 Our World in Data

ガボン:ワクチン完了者:7.8%

ガボンのアメリカ大使館のサイト上にあるガボンのコロナ対策です。同じページ内に今年1月19日にアップデートした情報が掲載されているのですが、ガボン独自の情報のところは、昨年の6月時点のまま、変更されていないようです。

1月30日、陸路の国境は、政府が許可した交差点を除いて閉鎖された。 6月14日、予防接種を受けていない人の外出禁止時間を21:00〜05:00に変更した。
予防接種を受けている人は、接種証明書の提出が必要ですが、門限は適用されません。
教会と屋内ダイニングは、現在最大30名で営業しています。30人制限の集会を超えた場合の罰金は、10万〜500万FCFAとなります。フェイスマスクの着用は、2人以上が乗車する車両の乗車・運転を含め、すべての公共スペースで義務付けられています。単独で運転する場合、運転手は車から降りたらすぐに使用できるようフェイスマスクの所持が義務付けられています。 フェイスマスク未着用の場合、25,000〜200,000FCFAの罰金が科せられます。
社会的距離の取り方など、衛生面の配慮も継続してください。

在ガボン・アメリカ大使館

罰金付きのかなり厳しい政策になっています。”車から降りたらすぐにマスク着用”ということですので、屋外でもマスク着用が義務になっているようです。

ワクチン接種未接種者は、昨年6月の時点で午後9時から朝5時まで外出禁止となっていますが、ワクチン接種率はびっくりするくらい伸びていません。12月15日時点での完了者が7.8%、1回目接種者が12月13日の9.9%から、15日には17.7%になっています(同期間の完了者の割合は変更なし)。本日までにはもう少し伸びているかもしれませんが、データの更新がありません。

Our World in Data

接種率が伸びなかった理由は、下記かもしれません。

ワクチン接種回数と新規感染者数

ガボン政府がワクチン未接種者に対する戒厳令を出した昨年の6月14日頃は、感染者が最も抑えられていた時期でした。その後、9月に波がきて最多となる感染者数を記録します。この2つのグラフだけを見ると、ワクチン接種が増えたら感染者数が増えたようにも見えますが、ガボンのワクチン完了者数は11月24日時点でも4.9%と、とても低いので、新規感染者数の増減にはあまり影響を与えていないものと思われます。

ただ、不思議なのは、先ほど1回目接種者が急に増えた昨年12月13日−15日というのが、9月の波が落ち着いた、感染者最少の時期にあるということです。

新規感染者数 12月13日:5.01

その後12月31日に、感染者数は過去最多を記録し、現在は急激に減っている最中であるようです。ファウチ博士的には、「1回目接種者が増えた日付の2週間後に、感染を抑制できたということは、ワクチンの効果だ」というかと思いますが、増えたとはいえ、1回接種者が17.7%、完了者7.8%。これくらいで抑え込めるなら、イスラエルやアメリカは一体どうなってるんだ?という疑問が生じます。

もう1つワクチン接種が進まなかった理由として考えられることーーガボン政府自身がそのように発言していることーーは、昨年9月23日にアメリカから寄贈されたファイザー社製ワクチンが届くまでは、中国製であるシノファームのワクチンが軸であったということです。

ガボンは2021年9月23日、米国から寄贈されたファイザー社製ワクチン10万620回分を受領しました。COVAXイニシアチブを通じた初のワクチン提供は、ガボンにとって重要なステップとなります。ガボンは今後、このイニシアチブの恩恵を受ける47のアフリカ諸国のひとつとなり、2021年末までにCOVID-19のワクチン接種対象者の50%を接種することを目標としています。(中略)「アフリカで最初にファイザー社製ワクチンの寄贈を受けた国の1つになれて、私たちはより満足しています。ファイザー社製ワクチンの到着により、今日、ワクチン接種率を向上させ、国民に多くの選択肢を提供することが可能になりました」と、ガボン保健省パトリック・オビアン・ンドング博士は発表しました。
ガボンでのワクチン接種キャンペーンは2021年3月23日に開始され、シノファームのワクチンを軸に行われました。2021年9月18日、接種対象者113万8000人のうち10万884人がワクチンの初回接種を受けていましたが、9.93%に止まっており、女性(21%)に比べて男性(79%)が多く接種していることがわかりました。ガボンはCOVID-19感染の第3波に直面しており、アメリカ政府がCOVAXイニシアチブを通じてガボンに無償提供したファイザー社製ワクチンの到着は、ガボン政府のワクチン接種戦略を強化するものです。(後略)

https://www.unicef.org/gabon/en/press-releases/gabon-receives-100620-doses-pfizer-vaccines-shipped-through-covax-mechanism

グリーク・レポーター(2021年11月26日付け)によると、ガボンは昨年11月に、ギリシャからも20万人分のコロナワクチンを受け取っています。同記事は、ギリシャのサイトですが、少し気になる点が2つあります。1つは、どのワクチンなのか?社名が書いていないことです。ギリシャの人はあまり拘らないのかといえば、そういうわけでもないようで、同じ記事内のガーナに対する支援では”アストラゼネカ製のコロナワクチン”を贈ったことを明らかにしています。ガボンに贈ったワクチンの社名を出さないことはかなり奇妙です。

もう1つは、ワクチンをアフリカに寄贈しているギリシャの狙いです。私はヨーロッパ情勢はあまりフォローできていないのですが、ギリシャは財政的にかなり問題があった・・・という記憶しかありません。どちらかといえば、支援を必要とするサイドではないのかと思い込んでいましたので、最初にこの記事をみたときにはかなりびっくりしました。

ただ、記事内にはギリシャがアフリカ支援を行う理由としては、コロナとは関係ない安全保障の問題が出てきます。もちろん、コロナは生物兵器だとすれば、安全保障の問題ですから、違和感のないことなのかもしれません。気になったのは、ワクチンを寄贈するセレモニーの記者会見で、”ガボンがギリシャの支援により、2022年から国連安全保障理事会の非常任理事国に選出された””ガーナは2022年1月1日から国連安全保障理事会のメンバーとなる国”とそれぞれの国で述べていることです。

アフリカの国を支援して、国際機関での忖度を期待という風にも読めてしまうのですが・・・。

ギリシャのニコス・デンディアス外相は金曜日、ギリシャ政府高官として初めてガボンを訪問し、コロナウイルスのワクチン20万人分を持参しました
(中略)
「ギリシャとガボンの関係は新興の関係ですが、この関係を発展させるための肥沃な相互基盤に大きな関心を持っています」と、デンディアスは述べ、ガボンがギリシャの支援により、2022年から国連安全保障理事会の非常任理事国に選出されたことに触れました。
外務省のツイートによると、デンディアスはガボンのリー・ホワイト森林・海洋・環境・気候変動大臣との二者会談で、気候変動が移民の流れや基礎物資へのアクセスなどアフリカの安全保障問題に与える影響について説明を受けた。
デンディアス氏は、ギリシャが気候変動の問題に特別な注意を払い、その対策に努力していることを強調したという。両大臣は、特に海洋環境の保護に関する問題で、ギリシャとガボンの協力の見通しについて議論しました。アフリカ諸国との協力は、気候変動による安全保障上の課題をよりよく理解するための欧州諸国の戦略の一部であると、同省は付け加えました。
(中略)
ギリシャは先週、ニコス・デンディアス外相がアフリカのガーナを訪問した際に、アストラゼネカのCovid-19ワクチン15万回分以上を寄贈した。
(中略)
その会談後の発言でデンディアスは、「ガーナはUNCLOSの友好国グループのメンバーであり、2022年1月1日から国連安全保障理事会のメンバーとなる国であり、西アフリカで最も急速に経済成長しており、すでに1億以上のギリシャからの投資がある」と述べました。
(中略)
「これは非常に良いスタートだと思う」と締めくくった。「私たちの国、ギリシャはサブサハラ・アフリカにも存在する必要があると思います。そしてまた、この偉大な発展途上の大陸により近い国として、欧州連合の中でアフリカの問題を説明できるような存在になります」

https://greekreporter.com/2021/11/26/greece-donates-covid-vaccine-gabon/

話をワクチンに戻し、先ほどのユニセフのサイト記事によると、9月に寄贈されたワクチンをもとに、2021年末までにワクチン接種率を50%までに引き上げるというのがガボン政府の目標でした。11月にはギリシャから”何らかのコロナワクチン”を受け取っています。数は十分だったはずです。
しかし、12月15日時点での接種率データによると、この目標は全く達成できていないようです。・・・12月15日以降のデータ更新がないのは、期限である12月31日までに、この目標が達成できなさそうだということと、何か関係があるのでしょうか?

結局のところ、ワクチンの効果は、ガボンの感染者数には影響していないのではないかと思います。ここは少しモヤモヤ感が残りますが、同じような現象(ワクチン接種者が増えた後に、感染者が増える)がボツワナでも起こっていて、ボツワナはもっと謎が多いようですので、別記事で深堀したいと思います。

南アフリカ: ワクチン完了者:27.7%、治験開催国

《レベル1》ロックダウンは、公共の場でのマスク着用義務(違反者には罰則あり)など、COVID-19の予防的規制を維持しつつ、すべての集会を屋内1000人、屋外2000人までに制限するなどの規制を緩和します。なお、レストランや飲食店については、厳格な衛生基準を守りながら営業を継続します。
COVID-19の健康と安全に関するプロトコルは、2メートルの社会的距離のガイドラインの遵守、衛生管理、南アフリカ国家保健省の定める布製フェイスマスクなどの適切な個人保護具の使用など、常に遵守する必要があります。多くの小売店やサービス業、スーパーマーケット、薬局、企業では、安全プロトコルに沿って営業を続けていますが、マスクのルールは厳格に実施される予定です。

在南アフリカ・アメリカ大使館

南アフリカは、オミクロン株が発見された国ですが、その後も規制はレベル1のままだったようです。南アフリカの医師会は、「感染しやすいものの、軽症がほとんど」という見解でしたから、当然かもしれません。

ちょっと驚いたのが、規制緩和の後の、屋内、屋外に集まれる人の人数。屋内1000人、屋外2000人が上限です。屋内1000人は展示会等のことを指しているのかなと思いつつも、「コロナ前は一体何人集まってたの?」と、思わずひとり言。教会での礼拝等は今でも、全く問題ないということなのでしょう。

Googleのコロナ情報

オミクロン株の出現により、世界中からシャットダウンされてしまった南アですが、すでに抑制できたようです。欧米をはじめとする国々の反応が行きすぎたったことは明らか。

ワクチン接種完了は27.7%(Googleコロナ情報、1月17日時点)と低かったことから、WHOを中心に”アフリカでのワクチン支援を行う必要性”を叫んでいましたが、南アフリカからすると、自国の医師団の話を聞かずに、過剰反応であった上、自国よりも感染が急拡大している国に対しては、「自分たちで対応できますよ(ほっといて)」という気持ちになっているのではないかと。

100万人あたりの新規感染者数、上からUS、UK、南ア

ここで忘れてはならないポイントが南アはもともとアストラゼネカの治験を行っていた国であり、ワクチン接種に当初は積極的だったということです。

南アフリカはイギリスのアストラゼネカがオックスフォード大学と共同開発した新型コロナワクチンの使用を中止した。南アフリカで最初に確認された感染力の高い変異ウイルスに対して臨床試験(治験)を行ったところ、軽度〜中等度の症状を防ぐ効果のないことが判明したためだ。
(2021年2月11日東京経済)

https://toyokeizai.net/articles/-/411231

これがアストラゼネカ製だけの問題かと言えば、モデルナも変異株に対応できるワクチン開発を行っている話が紹介されています。

「パンデミックを引き起こしている新型コロナウイルスは、ワクチンの接種が進んだとしても感染を広げる方法を見つけ出す。以前から予想されてきたことが、今回の治験によって裏付けられた」と、オックスフォード大学のワクチン開発責任者アンドリュー・ポラード氏は声明に記した。
(中略)
モデルナも、追加接種(ブースター)によって南アフリカで広まる変異ウイルスに対抗するワクチンの開発を進めているところだ

https://toyokeizai.net/articles/-/411231

つまり、昨年の2月中旬の時点で、すでに変異株への効果が薄いこと(ブレークスルー感染が起きうること)は、想定できていたわけです。にもかかわらず、デルタ株が拡大するアメリカで、ファウチ博士、CDCは”ワクチンを打てば日常生活が戻ってくる”キャンペーンを行い、アメリカに感染爆発をもたらしました。

”オミクロンよりもオリジナルに近い変異株で効果が薄い”という研究結果を出した国に対して、変異株対策のために、ワクチンを勧めるというのも・・・。

イベルメクチンの研究に対しても感じたことですが、”医療先進国”を自負する国々のアフリカやアジアの医療に対する”フィルター”というのは・・・。”科学に基づいた判断”を強調していますが、データよりもイメージ(偏見)に基づいた判断としか思えません。結局、その偏見のツケがどこにいっているのか?といえば、彼らの自国の国民です。医療リソースが自分たちよりも不十分な国で、感染拡大を抑制できている・・・その事実をまずは受け止めることが重要なのではないかと思います。

オミクロンの感染拡大中の国

チュニジア:ワクチン完了者51.8%

チュニジア:
現在、チュニジアでは、以下のCOVID-19対策が実施されています。1月13日(木)より、22:00~05:00の間、全国的に夜間外出禁止令が発令されています。この夜間外出禁止令は2週間実施され、延長される可能性があります。1月13日(木)より、すべての集会やイベントが禁止されます。このポリシーは2週間実施されますが、延長される可能性があります
6歳以上の方は、公共スペースや公共交通機関ではフェイスマスクの着用が義務付けられています。
旅行や公共スペースへのアクセスにQRコード(*ワクチンパスのようなものと思われます。)を使用することが増えています。 米国でワクチン接種を受けた人は、CDC VAMSシステムを通じてQRコードを入手することができます。旅行者は、チュニジアのEVAXシステムに登録することで、ワクチンのQRコードを入手することもできます。

在チュニジア・アメリカ大使館

地中海に面した、チュニジアのワクチン接種完了率は51.8% と、アフリカの中では高めであり、ブースター接種も行われているようで、8.1%(Google情報、1月14日時点)。

デルタ株やオミクロン株による”波”があった国の1つで、アフリカの国の中では、感染が拡大した国の1つですので、ワクチン接種が進んだのかもしれません。アメリカ大使館の情報では、”徐々にワクチンパス的なものが必要な施設が増えている”ということでしたが、昨年12月22日に大統領令により、ワクチンパスの導入が開始されています。

チュニジア ワクチン・パスポートに反対するチュニジア人」が市立劇場で抗議行動:「ワクチン・パスポートに反対するチュニジア人」連合は2022年1月8日、チュニスの市立劇場前で抗議活動を行い、COVID-19ワクチン接種の義務化を糾弾しました。抗議者たちは、ワクチン接種の強制は、市民の権利と基本的自由に対する明白な侵害であると述べています。同団体は、予防接種の義務化に反対し、昨年12月22日に発効した公共機関や職場にアクセスする際にコロナウイルス予防接種証の提示を求める大統領令に反対する抗議行動を何度か組織しています。

https://allafrica.com/stories/202201100257.html

アムネスティの情報によると、制限されるのは、レストラン、公共施設、その他の公共・民間職場を含む多くの場所や活動となっています。これに対して反対運動が1月8日に起こっています。
一方、チュニジア政府は1月18日、初回接種4,242人、2回目接種3,128人、ブースター3,868人、トラベルショット27人を含む、合計11,265人に対して大規模接種を行ったことも明らかにしています。

オミクロン株の拡大を受けた、政策としては、大勢で集まるような機会を一時的に制限し、ワクチン接種を急速に勧めることで、感染拡大を防ごうとしているようですが、まだ、抑制効果はグラフに現れていないようです。

ちなみに、オミクロン感染が広がったアフリカの国で、いまだピークが見えていない数少ない国の1つです。

モーリシャス:ワクチン完了者72.3%

モーリシャスにおけるCOVID-19感染者数および死亡者数の最近の急増を受け、モーリシャス政府は同国における新たな衛生上の制限を発表しました。 イベント、社交場、スポーツジム、結婚式、葬儀の総人数の制限を100人から50人に変更しました。 不要不急のサービスやビジネスの大半は営業しています。 市民は引き続き公共のビーチにアクセスできますが、ピクニックはできなくなりましたスポーツジム、レストラン、ファーストフード店、コーヒーショップ、フードコートには、完全に予防接種を受けた市民だけが入ることができます。 バー、コミュニティセンター、レセプションホールなどは引き続き閉鎖されます。コンサートやスポーツ競技は禁止されています。
完全な予防接種を受けた外国人旅行者は、制限なく入島できるようになりました。出発前72時間以内に受けたPCR検査が陰性であることを提示した旅行者は、島に到着した瞬間から自由に島を散策することができます。 COVID-19保険の健康保険の手配が義務付けられています(モーリシャス国民、居住許可証保持者、職業許可証保持者は免除されます)。 到着後0日目と5日目にCOVID-19の検査が必要です。 詳しくはこちらをご覧ください。
ワクチンを接種していない旅行者は、最後の乗船地点から72時間後のPCR検査結果が陰性であること、およびCOVID-19保険の健康保険証を提示する必要があります。 また、14日間部屋から出ることができません。到着後0日目、7日目、14日目にPCR検査を受けます。 詳しくはこちらをご覧ください。

在モーリシャス・アメリカ大使館

”天国に一番近い島”で知られる、モーリシャスは、アフリカ各国比較のグラフでは、低い位置で推移するグループの1つ。
”市民は引き続き公共のビーチにアクセスできますが、ピクニックはできなくなりました”という規制は、普段はビーチでピクニックなのか、とモーリシャスの人の週末が想像できます。また、”イベント、社交場、スポーツジム、結婚式、葬儀の総人数の制限を100人から50人に変更”というのも、制限がなければ、例えば、結婚式や葬儀は一体何人くらい集まるのがモーリシャスでの標準なのだろう?と、なかなか気になります。

ワクチン接種完了者はイスラエルよりも多い72.3%です。外国人旅行者に対するルールからも、ワクチン重視であることがわかります。ワクチンパスのようなものも導入されており、パスがなければ屋内施設に入ることが難しいようです。
外国人が入国する際の、PCR検査の規定も独特です。入国前の感染だけでなく、移動中の感染の有無も確認したいということかと思います。

新規感染者数は、アフリカ全体のグラフでは見えない位置にありますので、前出のチュニジア、サントメ・プリンシペ、南アフリカとの比較で出しています。他の観光業をメインとする国と同様、モーリシャスにとって、観光客が安全に戻ってきてくれる国であることは、死活問題です。厳しいコロナ対策が奏功していたのか、昨年7月以前のモーリシャスは感染者をほとんど出していません。

Our World in Data

感染者が急激に増加した時期を、グラフを拡大して確認してみると、7月3日を最後に、モーリシャスのそれ以前の状況に比べれば、感染状況が悪くなったままの状態であるといえます。この時期に一体何が起きたのでしょうか。

Our World in Data

7月3日は時期的には、感染拡大したアフリカの国々がちょうど感染者数が増えていく時期でもあります。ただ、モーリシャスの場合、それ以前の感染拡大の”波”が起こっていないこともあり、デルタの時期だけなぜ?という疑問は生じます。

念のため、この時期のワクチン接種率を確認してみます。7月3日の2週間前(CD Cがワクチンの効果は2回接種の2週間後としているため)の6月20日ゴロは、下記のグラフの●のところになります。

Our World in Data

これだけみると、接種率が上がるのに合わせて、感染が拡大したようにも見えてしまいます。ただ、9月4日をピークに減少していますから、その2週間前くらいの8月19日に50%を超えたことで、ようやく効果が出てきたという見方もできます。

Our World in Data

モーリシャスがワクチン接種を開始したのは、5月12日。アフリカで最も早く開始したのが南アフリカと、モロッコで、2月19日ですが、アフリカ全体で見れば、モーリシャスも早く始めた国の1つといえます。その後、モーリシャスでワクチン接種が急速に推進できた理由は、厳しい義務化政策・・・というのは、アメリカ大使館の情報からもわかっていたことです。しかし、実際には、アメリカ大使館の情報よりもより厳しい政策が取られたようで、義務化に従わない場合の罰則には、5年の禁固刑が含まれていました。これに対し、アムネスティ・インターナショナルがモーリシャスのワクチン政策に注意を促す声明を出しています。

インド洋に浮かぶモーリシャスは先日、COVID-19のワクチン接種プログラムの成功を謳い、月曜日の時点で全成人の60%に達したと発表しました。観光局はこのニュースを歓迎し、群れ免疫の達成に向けた努力のマイルストーンであり、"国が国際的な旅行に再開し、観光を再開させることができる "と呼びかけました。
このワクチン接種の成功は、比較的裕福なモーリシャスを含むアフリカ諸国のワクチン接種率が全体的に低いことと対照的である。しかし、この島国は、COVIDの予防接種が将来どのように実施されるかを懸念する人権運動家からも厳しい目を向けられている。
アムネスティ・インターナショナルによれば、検疫法に基づく新しい規制が6月に導入された。そして、モーリシャスでのワクチン接種の義務化に従わない場合の5年の禁固刑を含む罰則を要求している。
アムネスティは、一般的には、世界保健機関が推奨するワクチンの任意接種の方が、パンデミック終結への道筋として優れていると考えていると述べた。また、強制的なワクチン接種が意味を持つ場合もあり、人権NGOは、そのような政策の作り方についてのガイドラインを発表しました。(中略)
「アムネスティ・インターナショナルは、ワクチン接種を拒否する人々に対して、脅迫やその他の懲罰的制裁を用いることに強く反対します」と同NGOは述べています。"アムネスティ・インターナショナルは、従わない人に刑事制裁を加えるべきでないと強く信じています。"(2021年9月2日)

https://africatimes.com/2021/09/02/rights-group-urges-caution-on-mauritius-covid-vaccine-policy/

アムネスティが行きすぎたワクチン義務化に反対する声明を出したり、WHOが”任意接種”を推奨していたということは知りませんでした。義務化反対の運動をされる際には、このような世界的な動きについても反対する材料として使えそうです。

ここまで厳しくワクチン接種を推進してきたモーリシャスですが、昨年12月26日移行、再び感染拡大の方向にあるようです。ただし、昨年11月16日以降、死亡者は0ですので、ワクチンは重症化を防ぐ効果はあるということは言えそうです。

モロッコ:接種完了者62.6%

モロッコ政府は "保健緊急事態 "を発令しています。1月31日までモロッコ国内外へのすべての定期旅客便の運航を停止しています。総領事館では、定期旅客便の再開がいつになるかは把握していません。旅客フェリーも停止され、セウタとメリリャとの国境は閉鎖されたままです。モロッコが旅客便の運航を再開させた場合、モロッコ政府は国をリストA、B、Cに分類しており、リストAの国から到着する乗客は、COVID-19の予防接種の証明書を提示する必要があります。リストBの国からの旅行者(リストBの国を通過するだけの旅行者も含む)は、完全なワクチン接種とモロッコ入国日から48時間以内に実施されたPCRテストが陰性であることを提示する必要があります。12歳未満の子供は、ワクチンとPCR検査が免除されます。 また、入国時に無作為に検査を行う場合があり、入国時に陽性反応が出た場合は、入国できません。リストCの国からの旅行者はモロッコへの入国を許可されません。
モロッコでは、ホテル、レストラン、カフェ、ジム、ハマム、食料品店、公共交通機関など、ほとんどの民間および公共施設に入る際にワクチン接種の証明が必要です。保健省の予防接種サイトで入手できるワクチンパス("pass vaccinal")を携帯する必要があります。
モロッコ政府は、2021年12月31日の夜の制限を発表しました。 レストランは午後11時30分までに閉店しなければならず、2022年1月1日の午前12時から午前6時までの間、夜間外出禁止令が出される予定です。

https://ma.usembassy.gov/covid-19-information/

北アフリカに位置し、西は大西洋、北は地中海に面しているモロッコのワクチン接種完了者は62.6%(Googleコロナ情報、1月18日)。アフリカでは政情・治安が安定しているとみられているため、多くの欧米企業が進出していることも関係しているのかもしれません。

モロッコのワクチン政策で、特筆すべきは中国製のワクチンの工場があるということ。モロッコの製薬会社Sothemaが2021年7月、シノファームのBIBPワクチンを月間500万回分現地生産し始めると発表しました。そのため、モロッコで承認されているワクチンは中国のSinopharm BIBPのほか、ロシアのSputnik V、そしてアストラゼネカ社製ということです(Wikipediaのモロッコワクチンページの”タイムライン”の情報による)。

https://en.wikipedia.org/wiki/COVID-19_vaccination_in_Morocco

1月に第1回目が届いて以降、毎月のように、アストラゼネカ製とシノファーム製が届いているようで、この定期便を確実に接種につながることで、接種率を上げてきたようです。ロシア製のワクチンは承認されたものの、導入はされなかったようです。

日本もアメリカも危機感を高めた方が良いと思ったのは、モロッコもまた、中国がじわじわと攻めています。モロッコ外務省は1月5日、中国の国家発展改革委員会(NDRC)と、中国が推進する「一帯一路」構想の合同実行計画協定書に署名したと発表しました。”ワクチンからの一帯一路”は何も陰謀論的な発想ではなく、”健康シルクロード構想”等、中国が公に発表した計画から、容易に想像がつくものです。

一党独裁政権の強みは、国民を重視しなくても構わないという点です。農業、不動産、金融・・・さまざまなことが崖っぷちにある中国ですが、勢力の拡大戦略は着々と進めています。これは何も「国民を無視して、浸透工作を重視しろ」といっているわけではありません。ただ、日本のコロナの状況を考えると、ブースターや子どもへの接種等、どう考えても不要な接種にワクチンを使うぐらい余っていて困るというなら、海外で必要としている国に戦略的に寄贈する方がよほど効果的です。

っと、再び、モロッコのワクチン接種状況に話を戻します。

ワクチン接種完了者、Our World in Data

タイムラインの情報では、昨年9月中旬には、対象者全員が完全接種を受けたとなっています。10月末以降、グラフの向きが緩やかになっているのは、対象者の接種が完了したからだと考えられます。

ところが、モロッコ政府は昨年10月21日、ワクチンパスポートを”突然”導入したようです。職場やレストラン等の建物に入る際、国内・国際線に搭乗する際等、”以上に多くの場所”で、ワクチンパスポートが必要になったと言います。これに対し、モロッコ各都市でデモが起きているとのことでした。

モロッコ、ラバト--屋内活動や旅行に必要なコロナウイルスワクチンパスポートに対して、日曜日、モロッコの各都市で抗議が起きた。
ワクチン接種の証明は、10月21日からすべてのモロッコ人が職場やレストランに入る際、また国内および国際線の航空便で移動する際に義務付けられている。
北アフリカの王国のワクチン接種率は大陸で最も高く、3600万人のうち58%以上が完全に接種されています。しかし、少数派はワクチン接種を義務付ける突然の決定に反対しており、数百人のデモ隊がこの1週間で2回目となる首都ラバトでのデモ行進で、この規則に対する反対の声を上げた。一部のデモ参加者は警察の包囲網を突破しようとし、警官は盾を使って群衆を分散させることで対応した。デモの映像は、警察が何人かのデモ参加者を逮捕する様子を映し出していた。他の人々は負傷しました。また、同国経済の中心地であるカサブランカでも、数百人が同様の抗議行動に参加した。北部のタンジェや南部のアガディールなど他の都市でも、同様の抗議活動が行われた。
モロッコのワクチンパスポートは異常に多くの場所で必要とされているが、同様のパスは多くの国で使用されており、ワクチン接種率を押し上げている。(10月30日付けabc)

https://abcnews.go.com/International/wireStory/moroccans-protest-vaccine-pass-required-work-travel-80893037

このデモの結果、政府は、ワクチン・パスの代わりに、陰性結果を用いることもできると方針転換しました。しかし、実際には、多くの商業施設が陰性結果さえも求めないという状況であるようです。アメリカではスターバックスが従業員のワクチン義務化を導入し、SNSで不買運動が起こっているようですが、モロッコではカフェ・レストラン経営者組合がワクチン義務化に反対しているようです。

先月、怒りの抗議デモを引き起こしたモロッコのワクチン義務化の試みは、ほとんどのカフェ、レストラン、駅などで、もはや通行証の提示を求めなくなり、緩みつつあるようである。COVID-19のオミクロン型が蔓延する中、モロッコは、厳しい国内規制と高いワクチン接種率に加え、ほとんどの空の旅を止めるという積極的な対策方針を続けてきた。一方、ラバトの商業施設を見て回ると、一部の大手チェーン店やショッピングモールだけが、まだワクチン接種の証明を求めていた。
先月の抗議デモの後、政府は、企業はワクチン接種の証明を示すパスの代わりに、COVID-19の陰性検査を用いることもできると述べたが、ほとんどの商業施設では、どちらも求めていないようであった。
カフェ・レストラン経営者組合、弁護士組合、権利団体、一部の野党は、このパスを違憲、恣意的、あるいは経済への危険と攻撃している。
政府は、予防接種率の向上を促すためにこの政策を導入した。この政策が発表された直後は、予防接種センターに通う人が急増したが、その後すぐに鈍化し始めた。(中略)
モロッコでは、夏のピーク時から減少し、毎日約100人の新規感染者と約3人の死者を記録しています。しかし、この渡航制限は観光の中心地であるマラケシュやアガディールを直撃している。(後略)(ロイター、2021年12月6日)

https://news.yahoo.com/morocco-vaccine-pass-stumbles-variant-181522211.html

新華社通信によると、ブースター接種も400万人近くが受けていたようです。
ところが12月中旬くらいから感染者数が増えます。1月19日には過去5カ月で最多(下記の記事)となったようで、感染の拡大傾向は現在も続いています。

モロッコは19日、COVID-19の感染者が過去5カ月で最も急増し、新たに9355人となり、COVID-19感染者の総数は106万8941人に達したことを記録した。モロッコ保健省によると、死亡者数は15,025人に上り、この24時間の間に新たに13人が死亡したと報告されている。北アフリカの同国では、デルタ型変種のピークであった2021年8月21日に、新たに8,216人のCOVID-19患者が登録されていた。データによると、モロッコのCOVID-19患者はその後急激に減少し、2022年1月の第1週に再び急増した。一方、モロッコでは合計24,626,900人がCOVID-19ワクチンの1回目の接種を受け、完全接種者数(1回目と2回目)は23,029,987人に達し、3回目のブースター注射を受けた人は398万4519人となっています。(1月19日付け新華社) 

https://www.bignewsnetwork.com/news/272209724/moroccos-new-covid-19-cases-surge-to-5-month-high-at-9355

この感染の急増を”ワクチン義務化が適切に行われなかったため”と、評価する人も'いるかもしれませんが、モロッコで広がるウイルスの95%をオミクロン株が占めている中、ブレイクスルー感染するオミクロン株の感染拡大を止める手段として、ワクチン接種が適しているとは思いません。

アフリカの状況から考える、ワクチンの効果、接種義務化の必要性

”オミクロンの感染拡大中の国”としてあげた、チュニジア、モーリシャス、モロッコは、アフリカの中で接種率の高さが1〜3位のところで、この3カ国のみが50%を越えています。

接種率がすでにピークを迎える中、接種率が高い国の方がなぜ感染拡大が止まらないのでしょうか。

今回のリサーチで、この答えはわかりませんでしたが、接種率が低い国で感染率が減少している中、接種率の高い国で感染拡大が止まらないならば、少なくとも、今さらワクチン接種を義務化する意味はないかと思います。

今回、長くなるためとりあげなかった”ボツワナ”。オミクロン株の謎について考えるヒントがありましたので、次回の記事で深掘りしたいと思います。


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