少なくとも「打ち切り」だけは編集のせいじゃない

漫画家のかっぴーです。漫画家って仕事は基本的に一つの連載を一つづつやるものなので、掛け持ちで複数同時連載してると「同時連載…!」ってなるくらい、あんまり無い事です。ぼくは商業誌で連載する場合は作画が別になるので掛け持ちできるっちゃできるんですけど、ジャンプ+の「左ききのエレン」と同時にジャンプスクエアの「アントレース」連載してる時は、それなりに忙しかったです。

ただ、ぼくは出生がサラリーマンなので、複数案件を同時に抱えるって状況に慣れてるので、どうも一つきりの連載に専念するのは性格的に合ってない気がしています。ですので、今も新連載の企画は何個か考えてるし、漫画から派生したアパレルやったり色々してます。この辺の事業計画的な話は過去のnoteに書きました。漫画が中心にあって、その周りに半歩だけ漫画からはみ出た活動をする事で循環させる的な話。

そんで、今日は思いつきで「おしゃ家ソムリエおしゃ子!」の新作を描くべきかどうかって話を検証するために実験してます。まだ残り時間ありますが多分ほぼ結果が出たので日付が変わる前に書こうと思います。

これです。Amazonランキングをハックする的なチャレンジです。ハックっていう言い回しは広告業界でよく使うんですが、だいぶ噛み砕いた言い方をするならば「本来コントロールできないものを、コントロールしようとする」って感じです。ランキングのハックは広告代理店がよくやろうとする戦略です。これはステマとかズルの話ではありません。ルールの中で「こうしたら人は動くのでは?」という広告の根源的な活動です。

つまり、ぼくは「おしゃ子の新作」をインセンティブにして、人は動くのか試してみたかったんです。なんだか、こう書くとやっぱりズルい話に聞こえそうで怖くなってきたんですけど、要は「単行本が売れたら、打ち切られずに、続きが出ます」と全く同じ構造なんですよね。おしゃ子の場合は4年前の本なので、正直一度は「この売上では、続きは描かない方がいい」と判断した作品です。でも、あれから4年間ずっと定期的に「おしゃ子の続きを描いて欲しい」と言われたんです。

ぼく自身もおしゃ子は大好きなキャラクターだし、描きたいネタもあるんですけど、時間が無限にあるなら描いてもいいんだけど、そうでは無いので。他にやりたい事が山ほどある中で「やりたい」で優先順位はつけられないんです。もはや、見渡す限りの全ての案件の「やりたい」は最高点に達してる。となると、どこで「やる/やらない」を判断するかって、もう数字しか無いですよね。

それで話は戻りますが、ある種のジョークとして始めた「社会学1位になったら新作」ってのは、ジョークである事は確かなんだけど、どさくさに紛れて「おしゃ子蘇生テスト」みたいな、ここで息を吹き返す可能性が見えれば、みたいな。そんな気持ちでの実験でした。

「ドラマ放送終了までに」って条件なので、まだ現時点で2時間くらいあるんですけど、いま52位なので正直キビシーかと思います。「日付変わるまでに10位以内になれば、深夜は他が動かないからもしかすると…」とか考えてました。ちょっと読みが甘かったです。ただ、じゃあおしゃ子の続編を望んでる声は嘘だったのかと聞かれると、ハッキリ言って「反響が無かった訳では無い」という、なんでしょうか「期待してたほどでは無かったけど、落ち込むほど悪くも無かった」というのが正直な感想です。

「左ききのエレン」は、明確に数字で結果が出てます。ジャンプ版もいい調子だとツイートしたばかりですが、原作第二部も良い。以前noteでも書きましたが、売上なんて最初のピークである第一部最終回付近の数倍になってるので。続編って数字落ちると思ったんですけど、第二部を描いた事で数字が数倍になった。だから、これはもう仕方の無い事なんだけど、何をやって、何を辞めるかは、数字で決めざるを得ないんです。

この仕事って何かと言うと、つまり編集部の仕事を自分でやってるんですよね。よくネットとかで、好きな漫画が打ち切りになって「編集は無能」って騒いでる人いますけど、その仕事を自分でやってみて思うのは「どの作品も、時間と資金が無限にあるなら、満足するまで続けたいに決まってる」という事です。当然、編集部の人たちが「やりたい/やりたくない」で判断してるとは、さすがに誰も思いませんよね。だから「編集が無能」というヤジは、連載してる最中は成立するかもしれませんが、こと連載終了時(打ち切り)においては、というか、少なくとも打ち切りの瞬間だけは、絶対に編集の能力で運命は左右されません。全ては数字です。そんで、その数字は「読者が動いた数字」です。それに関しては、切ないけど最もフェアな判断基準だと思います。

何の話か分かんなくなったのですが、最後に一つだけ「例外」の話をします。「売上」とか「期待値」「反響数」「読者数」などなど、そういった全ての「数字」が参考にならない、あるいは参考にできない判断に迫られる事があります。それは「新しい案件を始める時」です。漫画で言うと「新連載」です。まぁ、それを少しでも確かめるために「読み切り」で反響を試す雑誌もありますが、いきなり始める雑誌も多いので。さっき「打ち切りは編集のせいじゃない」と言いましたが「新連載は編集の能力」とは言えます。編集の腕の見せ所です。ぼくがインディーズ漫画とか、雑誌に持っていく企画を考える・選ぶ時は、同じ様に「編集能力」が問われます。この数字で判断できないジャッジを、これから何度もやらなくちゃいけないので、数字で分かるぶんには、簡単だよなって思います。

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