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アプリ作家は今こそハイブランドを研究すべき

年末からファッションについて勉強している。ちょっと考えを書き留めておきたい。

Stable DiffusionやChatGPTの衝撃は説明不要だが、そういったAIが我々のいくつかの仕事を代替する事も誰もが予想できるそう遠くない未来だろう。これまでのAIは膨大な情報から必要そうなものを上手いことピックアップするフィルタ処理がメインだった。それが、今度はコンテンツの生成処理も出来るようになったという事だ。その影響は個人のアプリ開発者達にも間違いなく及ぶだろう。実際自分は英語のライティングでChatGPTを活用していて、すでに欠かせないツールになりつつある。では、賢くなったAIが様々な問題を解決できるようになったら、わざわざ手仕事で書かれたアプリを使う意味はどこにあるのだろうか?どうすれば生き残れるだろうか?そういった疑問への答えとなりそうな可能性を探るべく、ファッションのハイブランドの勉強を始めた。

感情に訴えかける力がいっそう必要になる

例えば「今晩のレシピを考えて」と言えば、好みに合わせた献立と作り方を写真付きで提示してくれるようになる。「こんな家が建てたい」と言えば、普段のライフスタイルや理想像に合わせたマイホームを、予算に合わせて提案してくれるようになる。今後そういうサービスが雨後の筍のように出てくるであろう中で、インディーズの零細アプリ開発者は今まで以上に、「いいものを作れば売れる」などという淡い期待は持てなくなる。AIに頼めばすぐに出来そうな事を、わざわざ手仕事で作られたアプリを使ってやる意味はあるか?合理的に考えればあまり無い。「それ◯◯AIで出来るよ」が常套文句になるかもしれない。

一方、ファッションは不思議なビジネスだ。「寒さから守る」とか「歩く」のような基本的な機能はすべて同じなのに、ものすごい数のブランドが存在していて、市場規模も大きい。例えばLVMH(Moët Hennessy Louis Vuitton)は、トヨタの時価総額を上回る。この需要を作り出しているのは、そこに感情の要素が含まれているからだ。外的な機能面に対して、人間社会の社交性や自尊心といった感情面の取り扱いに長けているのが、ハイブランドだ。

着るものに対して単に「快適に過ごしたい」といった機能面だけが求められていれば、こんな市場規模にはならない。考えられる理由は、われわれ人間が自己の個性と種族の保存に向かう欲望に加えて、いかに生きるかという己れの生き方に対する、反省的であると同時に生産的な欲望を持つようになったからだ。さらにこの欲望の方向性は人によって異なり無数にある。それがファッションの多様化につながっている。前頭葉の発達が「幸せ」や「豊かさ」の定義を複雑にしたとも言える。

機能面ではAIがどんどん得意になって行くが、感情面の取り扱いはまだまだ先だろう。人間自身が取り扱いに困るほどに複雑なのだから。機能面だけでなく感情面も上手く取り扱っているハイブランドのアプローチは、今後アプリ作家を続けていく上で非常に参考になる。

新しい価値観を作る

ちょっと長くなってきたのでこの辺で一旦終わりにしたい。
本稿では、AIがコンテンツ生成まで出来るようになった今、アプリ作家がハイブランドを学ぶ必要性を論じた。アプリ作家は、機能面だけでなく感情面にも訴えかける力が必要になる。AIと殺り合えと言っているのではない。それらが持っていない新しい魅力を手に入れる必要があるのだ。それは「いかに生きるか」という部分に積極的に働きかけるような方向性だ。次回はこの方向性の可能性をさらに探って行きたい。また気が向いたら書く。

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