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ホリデーシーズンと多様性

アメリカでは11月の第四木曜日は、感謝祭という一大行事。友人や知人たちがSNSに投稿している感謝祭のご馳走は、ただただ「いいなぁ」としか思えない。この数年感謝祭がない日本で、感謝祭翌日のブラックフライデーだけを取り入れていることに「なんだかねえ」と感じてしまう。

もともとブラックフライデーは、感謝祭翌日のセール日。自分へのご褒美用としてブラックフライデーやサイバーマンデーで買い物をする人もいれば、ホリディシーズン用のプレゼントを購入する人もいる。

商魂たくましく「ブラックフライデーもしくはサイバーマンデー」を日本の小売店業界が取り入れて、なんとか日本に定着させようしている感があって好きになれない。ホリディシーズンの全体像を覗いてきたわたしにとっては、「ちょっと違うんじゃない」と考えてしまう。

以前働いていたインターナショナルスクールでは、感謝祭の連休があった。これが近づくと、ホリディシーズン感が倍増した。

ここまで読んでいただいて、「なんで、この人はクリスマスシーズンって言わないの?」と思った方はいますか?12月の宗教的なイベントって、実はクリスマスだけでないのです。12月に外国人に対して「クリスマスシーズン」とか「メリークリスマス」という言葉を使うと、気分を害する人がいるから。12月はキリスト教やカトリック信者がお祝いするクリスマスだけでなく、ユダヤ教信者がお祝いするハヌカもあり、アフリカ系アメリカ人がお祝いするクワンザもあるので、「クリスマスシーズン」ではなく「ホリディシーズン」という言葉を使っています。そうそう「メリークリスマス」ではなく、「ハッピーホリデイ」はどんな宗教の人にも受け入れられる一言です。

サンフランシスコ郊外でホームステイをしていた時、このホリディシーズンに多様性を経験した。わたしのホストファミリーは、お父さんがカトリック家庭出身、お母さんはクリスチャン家庭出身。ふたりとも熱心な信者ではなかったけど、クリスマスにかける情熱(デコレーションや食事の支度、そしてプレゼント)に圧倒された。お隣さんはお母さんがユダヤ系で、子供たちはアフリカ系アメリカ人とのダブルだったので、ユダヤ教のハヌカとアフリカ系のクワンザをお祝いしていた。日本ではユダヤ教もクワンザも知られていないから、どんなものかを知る機会があって良かったと思う。

日本にいるわたしが、ホリデーシーズンのことをこんなに気にかけるのかと聞かれたら「いつか息子にホリディシーズンを通して、多様性を体験してほしい」から。わたしは10代で海を渡って、多様性を経験できた。息子は小さい時から「母親」というフィルターを通して、外国語や異文化に触れている。気が熟したら、自ら経験して多様性の受け入れる器になってほしい。




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