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暴力と5万年

今朝の通勤時、電車から降りるとき、降りる人の邪魔になって動こうとしないおにいさんを、おじさんがグーで叩き、それに対しておにいさんが蹴り返した。おじさんは逃げていったのでそれで終わったけれど、人が何かに腹を立てたときに、その感情を暴力という行為につなげる選択肢が自らの内に挙がり、それを選択するということをするのに、こんなにも時間がかからないものかと、心底驚いた。

たったの3秒で、それも朝から、さしづめ今日1日分の悪意とストレスを享受しきってしまったような心持ちだったので、いつもより人に親切にしなくては割に合わないと勝手に合点し、オフィスのエントランスを掃除するスタッフさんに、いつもより深く頭を下げてお礼を言った。

世界中の人が僕のように頭の回転が遅く、ひとつの選択をするのに毎度5万年かけるような人間だったら、暴力が減って戦争もなくなるかもしれないと思ったりもしたが、きっと5万年間の熟考の末に核爆弾のスイッチを押す選択をする人だっているだろうし、キリストが生まれて5万2023年後にはパレスチナやウクライナでミサイルを飛ばす選択をする人がいるんだろう。だいたい、世界中の人が僕みたいだったら平和なのにと思ってるようなやつが世界に平和をもたらすとはとても思えない。

だから世界はこうで、僕はこうなのだろう。

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