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良い音楽 THE BACK HORN「枝」

THE BACK HORNの"枝"って曲が地球で1番好きです。

日本中のロックバラードを集めてトーナメントを組んだら絶対に優勝すると思う。ASMRコンテンツとしても抜群に機能するし、胎教とかにも滅茶苦茶良い。この曲を世に生み出してくれたのマジで偉業過ぎる、叙勲とか授かってほしい。Shiriとかアレクサに聞いても「分かる〜!!」って言ってくれると思う。「Hey shiri〜!!枝って滅茶苦茶良くな〜い!?!!?」

分からないみたいなので、好きなところ全部書きます。

バクホン、メンバー全員作詞できるってのが強い。当然だけどそれぞれ言葉の選び方が全然違うのでずっと楽しい。将司(Vo)の歌詞は寄り添ってくれるような優しさとサイコな世界観の振り幅が最高だし、栄純(Gt)の鬱屈とした感情を暴力的に撒き散らしていた初期から希望を描くようになった今への変遷も面白い。光舟(Ba)の鋼のような切れ味を持った硬派な歌詞もステキ。で、今回書きたい"枝"の歌詞はドラムの松田が作詞してます。

絵画みたいな歌詞を書くんです。彩りを感じる言葉選びをする。ジャケットのアートワークなんかも担当してたりするし、美術的な視点を持って作詞をしてるんだろうな。メンバーの中でも特別ロマンチストなんだと思う。

人間プログラムのジャケット。一番好きなやつ。


そんな彼が作詞した"枝"は、生きてる上で避けては通れない悲しみと、それを抱えて生きる美しさを歌ってるんだと思う。

僕たちは弱い 涙を流すから
いろんな気持ちが人を殺すから
僕たちはいつか離れてしまうけど
そんなことだけを嘆いてはいられない

悲しい現実を飲み込んで、「僕たちは弱い」って言い切れるの、超強くないか?って思う。僕もいろんな別れを経験した。お世話になった上司の異動だったり、大切な人との死別だったり、直近ではどでかい失恋だったり。でも、全部「そんなこと」でしかない。別れのない人生って存在しないから、一つ一つに絶望してたら生きていけないんよね。当たり前に起こってしまうこととして飲み込むしかない。

僕たちは強い 言葉を話すから
いろんな気持ちを伝えられるから
僕たちは生きる 涙を拭きながら
いろんな気持ちを分かち合いながら

一転して、プラスの側面を歌う。ここの歌詞、ほんとにアーティストならではよな、、、と思う。想いを伝えることを生業としているからこその言葉だと思うし、それを「僕たち」って括ってくれてることもほんとに心強い。

人生はきっと桜の枝のように
いくつにも別れ また繋がってく

ここ、本当に希望をもらえる。別れはつきものだけど、前向きに生きていれば改めて繋がることが出来るんだと思える。遠くに行ってしまった人も、もう会うことはないって言われた人も。だから、次会う時までずっと感謝の気持ちを持っていられるように、常に心に留めておきたい。大切な人だといつでも思い返せるように。別れを引きずってるとかではないです。また会いたいし、前向きに生きてたら会えるような関係になれると思ってるので。恥ずかしくないような生き方だけをしていきたい。

花が枯れて 潮が満ちて
月が欠けて 又花が咲く
十年経って 百年経って 千年経っても

リフとAメロを何度か繰り返した後、Bメロがあって、ギターソロを挟んでサビに到達するんだけど、ここで一気に曲のボルテージが上がるんよね。

松田の詩世界の真骨頂だと思う。続いていく時間の移ろいを風景描写に落とし込むのが上手すぎ。この曲の他に「夢の花」とか「太陽の花」とかの作詞も担当してるんだけど、花好きなんかな〜。確かに花って素敵よな〜。花が咲くことを誕生と捉えるなら枯れてしまうこと=死んでしまうことだと思うんやけど、枝葉が残ってる限りは同じ場所に花を咲かせ続けるわけで。生死の枠組みを超越して定義づけされてるような印象を受ける。

将司の歌い方が良すぎる。序盤とは打って変わって、叩きつけるみたいな、ある種暴力的な歌い方をする。一曲を通して最も必要なところにフルパワーを注ぎ込めるの天才だろ。

繰り返してゆく中で何が生まれるのだろう
過ぎてゆく時の中で何を残せるのだろう
あなたと過ごした日々も繋いだ手の温もりも
ここに居ることさえも ここに居たことさえも
忘れてゆくのに
全てを忘れてしまうのに


ここ、どうせ忘れてしまうのにっていう風な諦めではなくって、その上でどうやって残していこう、残していきたいっていう決意の表れなんだと思ってます。感情が詞になって、曲になって、世に出ているってそういうことだと思う。形としてこれからも残り続けるものがあるってことなので。

僕は作品として何かを残す才能には恵まれていないので、練習も兼ねて文章を書きます。忘れてしまうのは絶対にそうなので、読み返して「そうだった、そういう気持ちで生きるって決めてた」と後から何度でも思い返せるように。特に自分みたいな芯のない人間は直ぐに生き方がぶれてしまうので、無理くり背筋伸ばすためにも続けていこうと思ってる。「80年生きる」って約束したこと以外に長生きする理由が無いので、これも何回も書く。

で、サウンドメイキングも神がかってる。跳ねたリズムが軽快さを演出してて、曲の印象を重たくなりすぎないようにしてる。色々あるけど生きるってそういうもんだよねっていうある種の諦めというか、潔さみたいなものを感じる。イントロのギターも最高。花びらや葉っぱが舞い落ちていくような浮遊感があって良い。
あと、ベースが滅茶苦茶良い。なんかのインタビューで「一曲の中に絶対自分への課題的なテクニカルなフレーズを入れるようにしてる」みたいなのを読んだことがあるんだけど、この曲についてはそういった部分が全く出てこない。自分のポリシーよりも歌詞のメッセージ性に重きを置いてるんだと思うけど、その真っ直ぐさというか実直さというかがカッコええなと。

曲全体を通した静と動の対比も素晴らしくてな。感情の昂りをサビで一気に爆発させて吐き出すのが最高。で、吐き出し切った後は元の静の部分に戻るんだけど、ここもホントに秀逸で、「全てを忘れて」「しまうのに」の間に曲が終わったのかと勘違いするくらいのそこそこ長い空白が挟まるんよね。グチャグチャになった感情が、一頻り発散されたことで落ち着きを取り戻すみたいな雰囲気。こういう思考のプロセス、誰しも経験したことあると思うし、だからこそリアルに感じるのよね。

僕たちは笑う 生きてる悲しみを
拭い去るように 祝福するように

最後は全部ひっくるめて笑って生きていこうとするのヤバくないか?強すぎる。


今までで1番長くなってしまった。纏まりのない雑文だけど、好き過ぎる曲だから仕方ない。あくまで自分で読み返す備忘録っていうのが大前提なので。勿論、読んでくれる人がいるのは滅茶苦茶嬉しいです、想いを残すことと想いを伝えることはイコールだと思うので。伝わる文章を書けるように、これからも続けていきます。

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