北京入院物語(57)
なんとなくじっとしておれば、平穏無事というようなぬるま湯に慣れていた私は、はっきりと命令したり、叱ったり、拒絶したり、交渉したりしないと、うまく動かない世界に急に変わったために、適応がなかなかうまくいかなかったのです。
その後、2人の関係はますます悪くなり、気まずくなってきました。
例によって、喫茶店から彼を呼ぶと、明らかに不機嫌そうで、仕事を中断して、特別にやって来たようなそぶりを見せました。
夕方までに2回呼んだときは
「なぜ、すぐ呼ぶんだ?」と注意を受けました。
生活の基盤とでもいうべき付き添いとの関係が崩れてくると、生活すべてが灰色に見えてきました。
それでもまだ私は動きませんでした。
いや・・・動けませんでした。
簡単に言うと勇気がなかったのです。
困っている私を見かねて、神様が助けてくれました。
周さんは365日休みなしなのですが、ある時所用で3日間休み、その間だけ別の付き添いが介助にやってきました。
年齢は25歳で、結婚しており、周さん程度に力があり、私を抱きかかえてベッドまで移乗もできました。
頼めば、タクシーにも乗せてくれそうです。
私はこの青年に、経験年数やら、抱きかかえての入浴介助ができるかとか・・・そろりそろりと聞いてみました。
人柄がよくても、体格・体力がないと、私の介助はできないからです。
北京入院物語(58)
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