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北京ドタバタ旅行(17)

 各駅停車に乗り込みますが、両親は別々に座っています。50年も一緒なんだからこういうときぐらい別でもいいじゃない?、、、そういうぼやきが母から聞こえてきそうです。

 列車が京都駅に着き、1本前の特急はるかが停車しています。なにぶん時速2キロメートルという父の歩行スピードを考えると、時間の余裕を見てもう1本後の列車にしました。JR西日本の連携はいつもそつがなく、京都駅でも駅員がはるかまで車椅子を押してくれました。時間はたっぷりありますので、売店で駅弁と飲み物を買い求めました。それとおみやげとして京都の絵はがきを2セット買っておきました。

 駅のベンチに親子3人は腰を下ろし、駅弁を食べ始めます。こういう風に親子3人で旅行をするというのは初めての経験です。そしてたぶんこれが最初で最後の海外旅行になるであろう事は間違いありませんでした。なにぶん父は79才ですし、こんな準備が大変な旅行を2度と息子としてしようとは思いませんでした。企画する息子が2度と行かないと思っている以上、この旅行が最期の海外旅行になるのは間違いのないことでした。まぁ1度だからこそいろいろと気苦労の多いことも我慢できるものです。

 そんな感慨を思いながら、ベンチに腰掛けながらご飯を食べていますと、足下からするすると水が流れていきます。あっという間に1メートル、2メートルと流れていきます。特急を待っているのは私たちだけではなく、その時までに、多くの人が待っていたのですから、きっとそそっかしい人が飲み物をこぼしたのでしょう。しかしけっこう大量の水が流れています。きっと大きめの瓶に入れたお茶か何かをこぼしたのでしょう。

ちょうど母が買ったような・・・・・・。

北京ドタバタ旅行(18)


 

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