諸永裕司先生の講演会を開催しました


諸永先生の話に聞き入る参加者の皆様
諸永裕司先生

こんにちは。安全な水を求める市民の会三鷹です。

少し前のことですが、ジャーナリストの諸永裕司先生の講演会のご報告です。

私たちは、2024年最初の講演会として、現在フリージャーナリストとして活動されている、諸永裕司先生の講演会を、2月12日に開催いたしました。

大学卒業時まで、三鷹に住んでいたことがあると自己紹介された諸永さん。長年勤めた朝日新聞社を辞めて、去年の春に独立されました。

PFAS汚染の問題について鋭く切り込む諸永さんですが、最初にPFASの問題について知ったのは、沖縄に行った時のことだとおっしゃいます。嘉手納基地から出ている「有害物質」が、北谷浄水場の水を汚している・・・そこからPFASについて知った諸永さんは、横田基地の周辺の水なども汚染されているのでは?と思って、調べて来られました。

PFASが使われてきた歴史の裏には、消火剤に適しているので米軍の消火訓練に日常的に使用されるだけでなく、水や油を弾く性質が便利という事で、カーペットや半導体、牛乳やジュースのパック、に使われてきた事実があります。日本ではPFOS、PFOA、PFHxSしか規制されていないため、数多くの種類があるPFASへの対応が非常に遅れています。アメリカでは、PFAS全体を規制していこうという動きがあり、アップル社も規制に乗り出し、女性の生理用品やアウトドア用品などに含まれているPFASも規制していこうとしています。

日本では、「健康より経済」という発想のもと、世界の潮流と逆行するような動きをしていますが、今年はPFAS問題について、重要な年になると諸永さん。

PFASが人の健康にもたらす問題としては、腎臓がん、精巣がん、子供の低体重や肥満などがあります。けれども、こういった汚染物質に関しては、なかなか因果関係が認められないだけでなく、汚染を原因として考える土壌がないことも問題になっています。動物実験ではPFASと発がん性について因果関係が認められる研究結果が出ており、最近はようやく、PFOAなども人間に対して発がん性があると認められました。ただし、これらの結果が世間に認知されているかというと、まだまだの状況です。

PFAS汚染の値として使われるナノグラムという単位ですが、これはプールの水に対して塩粒一粒、2粒くらいの割合です。日本では、50ng/Lが汚染の基準値です。非常に毒性が強い物質であることがわかりますね。

三鷹では、水道水の汚染は確認されていないものの、新川の水源(地下水)がPFASに汚染されていると考えられ、きちんとした調査が不可欠です。

東京都の対応としては、地下水からの取水を辞めたとの発表がありますが、過去の状況がどうなっていたかは明らかにされていません。ですので、東京都民が以前は汚染された水を飲まされてきた可能性も否めないとのことです。

京都大学の原田教授は、多摩地区の住民に対して、PFNAを含む4つのPFASの検査を実施し、体内汚染が20ng/mlを超えたら危険だと警鐘を鳴らしています。

多摩地区では、国分寺市が突出して血液検査の結果が深刻です。89人の住民を対象にして行った血液検査では、平均年齢68歳で、平均して血中のPFASの値が43.8ng/mlとなっています。

PFASの半減期間は2年から8年といわれ、大気や食品からの接種も考えられるため、体内への蓄積や健康への影響を考えると、一刻も早い対応が必要と考えられますね。三鷹市でも血液検査を実施する必要性を感じます。

また、体内汚染に関して、お母さんと子供を対象にしている、環境省が実施している、エコチル調査というものがあります。
https://www.env.go.jp/chemi/ceh/

エコチル調査は、子供が18歳になるまで追跡して健康調査をしていきますが、最近では40歳まで調査をすべきだという意見もあります。全国、15地域で調査が行われています。

妊婦と胎児10万組を、2011年から2027年まで調査するとしていますが、対象の子供が40歳になるまで追跡調査をするとなると、2055年までの期間、継続してチェックしていく必要がありますね。

日本では、1990年代にPFOSの使用がピークになり、2010年にPFOSの製造、使用が禁止されました。

横田基地周辺では、2008年から周辺地域の汚染がありましたが、日本各地でPFASを含む泡消火剤の漏出事故が繰り返されてきました。

諸永さんが防衛相に情報開示請求を行ったところ、「米軍と調整していますので、あと1~2年お待ちください。」と言われたそうです。

普天間基地での水汚染では、9200万円かけて防衛相がお金を出し、汚染水を引き取って処理し、キャンプ・ハンセンでは金武町の送水管を新設するために2億3500万円が税金から使われ、北谷浄水場の汚染に関しては16億円も税金が使われています。

水を汚された側である私たちの税金で、米軍による水汚染の処理や対応をしている状況が、今の日本なのです。

今、沖縄で渇水の問題があり、北谷浄水場から汚染された水を取水することが決まっています。周辺の住民の飲み水は安全なのか、健康への影響はないのか・・・いずれの問題も、私たちの問題として受け止め、考えていかないといけません。

沖縄では、PFAS汚染に対応するために、水道料金の値上げをせざるを得ないそうです。

また、岡山の吉備では、処理をした活性炭を山積みにしていた結果、土壌などの汚染がひどくなってしまったそうです。

私たちが安全で健康的な生活を守るために、きちんとした情報を得て、自ら発信していくことも大切ですね!

講演会の後の質問コーナーも大変盛り上がりました。

そして、ご来場いただいた皆様から、26404円ものカンパのご支援もいただきました。

ありがとうございました!

安全な水を求める市民の会三鷹は、これからもPFAS汚染に関する勉強会や講演会、発信を続けていきます。

どうぞ応援をよろしくお願いいたします。

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