【41/1000ノック目】東海林さだおのまるかじりシリーズが、私の新しい世界を開いたんだけど、その話。
東海林さだおという作家がおりまして。たまたま見つけたんです。図書館で。その頃は最初の結婚をしていて、実家からずいぶん遠くで暮らしていた。家族も友達もいない。頼ることが出来るのは、帰ってこない旦那だけ。
だから私は、働き始めたのです。新しい環境で、新しい人間関係を築く。私なりに精一杯生きていた、あの頃。その時に出会いました。図書館で。陽気な絵の「丸かじりシリーズ」に。
読み漁って辿り着いた答え
東海林さんの独特の言い回しが好きで、延々借りては読んでを繰り返した。その頃の私の味方は、キッチンと本だけだったから、親近感も湧く湧く。でもここで「どの丸かじり本が良かったか」と言えない。
確かに、大好きだ。大好きだった。二宮金次郎バリに、歩き読書をしていた。(田舎道です。本当は危ないからダメですよ)それくらい、心酔していた。
しかし今、「どの丸かじりが良かったか?」という説明ができないのだ。もう一度読んで、考え直してみようとは思えない。なぜかと言うと、
過去の嫌な記憶が蘇る
最初の結婚は率直に言うと、「周りが祝福してくれたから」だった。(今思えばね)散々、
「お似合いだね」
「幸せそうでいいね」
たくさんの人から喜ばれ、祝福されたのだ。しかし、仕事にかまけて帰ってこない旦那。「帰ってきた時、家に灯りがついていたら嬉しい」と純粋に言う彼に、何度思ったことか。
「その電気、暗がりの中で誰が最初につけると思う?」
何度もそう言った話をした。理解して欲しかった。しかし、理解できない相手。「あなたの母親になりたかったんじゃない」私の悲痛な叫びは、離婚という形に収まった。
のちに彼が、共通の女友達に話していたそうだ。
「金銭的には苦労させなかったんだけどな」
私を救ってくれた丸かじりシリーズ
どん底だった。その時の記憶は思い出したくない。だから読みたくても読めない。しかし、東海林さだおさんは、私を確実に救ってくれた。電気をつけて、寝落ちするまで本を読まないと寝られないくらい、憔悴しきっていた。いつかお会いして、感謝を述べたいと心底思う。
あの頃、眠るための本になってくれてありがとう。
私は今、元気に暮らしています。
あなたの本に救われました。
もう少し先に、あなたの本を読み返せるくらい強くなったら、
もう一度手に取りたいと思います。
ありがとう。
私も誰か救いになるような、文章を書きたいと思ったのだ。きっと私が作家になりたい理由は、きっとそれだ。
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