婚活に感じた気持ち悪さ

レールの敷かれた人生なんて、と創作の中でやさぐれる登場人物を見るたびに疑問だった。レール、いいじゃない。それに沿って進めばよいのだから。

思考停止して右へならえで行動したい。世知辛い現実から目を背け、好きなことだけしていたい。空想の世界、創造の世界、ファンタジーの世界に思いを馳せることはそんなに悪いことなのか。

そんなことを考えていたらあっという間に30歳を超えてしまった。十代で結婚なんて「まだ早い」、二十代前半で結婚は「少し早まったんじゃない?」、二十代後半では「三十になる前に焦ったのかな?」、三十代は「妥協したんだね」。結婚報告の裏でささやかれる心ない感想に首をかしげてしまう。いやいや、じゃあ一体いつなら最適解なんだ?(※どのような年齢でもお似合いのお二人が幸せそうな家庭を築かれるご様子は素敵だと思います)

したほうがいいこと、として世間様が奨励する結婚というものを我もしてみむとてするなり、婚活を始めて感じたことがあり筆を執った次第だ。まだ子供は産める歳だということで、有難いことにご申請頂くこともある。

しかし、相手の希望条件として「30代前半まで」を掲げる男性の多さに驚くとともに、次第に自分が、子宮にかろうじて顔と胸がくっついた肉の塊系クリーチャーになったような気持ちになった。プレデターかエイリアンも真っ青の風体だ。これまで歩んできた人生、経歴、どんなことが好きで、どんなことが嫌いか。そんなことは子宮卵子様の些末な付属物に過ぎないのだろうか。

男性の気持ちももちろん分かる。高齢出産に伴うリスクはどんなに綺麗ごとを並べてもいくらでも医学的知見が転がっているからだ。しかしだ。子供を産み育てることは、そんなに大切なことなのか?

だと言うならば社会にレールを敷いて欲しい。結婚して子供を産み育てることが何より幸せなことなのだと、思考停止してその上をひた走れるように信じさせてほしい。夫が妻を、妻が夫を保険金目当てに謀殺したり育児放棄で子供がじっと膝を抱えてたりするドラマや映画やドキュメンタリーではなく、幸せな夢を見せてほしい。

そう思うのは私が体は大人、頭脳は子供だからなのだろうか。真実はいつもひとつ。だったらいいのになぁ。

レールのない人生なんて、とやさぐれてしまいそうだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?