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急激な成長企業の落とし穴!...経営をブチ上げるインナーブランディングの方法


今回は、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長する企業によくある落とし穴のお話。成長企業の経営者やそこで働くスタッフのほとんどが体験したことのある課題または悩みについて話をまとめました。

株式会社として、売上を上げることはもちろん大事なことですが、その売上も頭打ちしてしまう...。

むしろ、低迷して倒産にまで追い込まれてしまう原因の一つがこの「インナーブランディング」を意識してやっている企業かどうか。

今回は、企業の「インナーブランディング」の話です。

この記事はBtoCやBtoBなど業態・業種に問わず、急成長している経営者の方やワンマンでパワーを持っている経営者の方々、または従業員スタッフに思い悩んでいる経営者に読んでいただけることで、明日からの経営スタンスが変わり、結果として売上や利益まで変わってくるというお話です。


そして、アフターコロナでまだまだ予測不可能な未来経営。これから組織として変化していかなければいけない。全社としても、新しい組織発想で強力なチームワークづくりをしたいという人事部や経営企画部、広報部の方々にとっても、有意義な内容になれば嬉しく思います。


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さて、企業のブランディングをしていますと、
経営者の方々よりこのようなお問い合わせをいただきます。

【 よくある経営者の社内における課題や悩み 】
理念を社内にかかげているのに、誰も見向きもしないね...
採用しても、すぐに若いスタッフが辞めていくんだよね…
毎朝、朝礼してるのに、スタッフの行動が全然なんだよ...
ブランディングしたんだけど、うまく売上が上がらない…
 インナーブランディングって、なに?それ、効果あるの...

経営者はこのようなことで悩まれていることが多い。

とある私が担当している飲食事業を展開されている企業さんのお話。経営者が起業して周年を迎え、役員とともに数ヶ月に渡り、熱を入れて新たに理念をつくったようです。出来上がるまで数々のリサーチやミーティング、役員会議を重ね、行動規範に落とし込み、いざ!社内共有をして、ブランドを全社にリリース。もうそりゃ、社長も役員も自分たちで走り切ったことに満足気で、ルンルン♪

しかし、数ヶ月経っても何も変わらない...
むしろ、退職し始める社員が増えている!?という状態...

「え?インナーブランディングやったのに...なんで?」

という、そんな経験ありませんか?

私の『BRANDING METHOD(ブランディング・メソッド)』では先に結論からお伝えしますので、まずは結論から。

これのほとんどの原因は、従業員スタッフの「感情」と「行動」がついてきていないから。

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では、なぜ従業員スタッフの「感情」と「行動」がついてこないのか?

簡潔に世の中のどんなビジネスでも行き着く先は「人」のために存在しています。さらにフォーカスすると、「人」というよりも人の心「感情」が世の中の原動力になっています。
つまり、感情が「行動」を引き起こすトリガーとなっているというイメージです。
前回のアウターブランディングでも同じく「認知」だけでは人は動かない。「感情」が動き、行動に変わり、その行動の結果として「売上」に変わるということです。感情の←→↑↓(矢印の方向)で引き起こす行動の←→↑↓(矢印の方向)が連動して変化するということから、
つまり、その「感情の矢」の管理(コントロール)をしなければ、「行動の矢」もコントロールができず、狙った的でクリティカルなブルを得ることができない。ということです。

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そういう理由から、経営陣と従業員スタッフとは当然ながら、会社に対する想いの温度も違えば、向いている方向も違ってくると「感情の矢」が放たれたその先の行動はちぐはぐに。

結果、(経営者は)けっこう資金投下をしたブランド・プロジェクトが…。なんてことに。インナーブランディングを進める際にはその「感情の矢」をどのように向けていくか、そしてその「行動の矢」がどこに放たれるのか。をマネジメントして、管理していくことが肝心です。



企業のブランディングには、
大きく2種類のブランディング活動があります。

【 企業ブランディングの種類 】
アウター(社外向けの)ブランディング
インナー(社内向けの)ブランディング

意外と多くの企業は、アウターブランディングを先にやって、インナーブランディングを後回しにされている企業が多いようです。

しかし、本来は企業のブランディングを進める中で、アウターブランディングを切り出したり、インナーブランディングを切り出して行うことは本質的ではありません。ブランディングとは、独自の企業らしさであるDNAを抽出し、その「らしさ」に磨きをかけ、愛着を感じていただける顧客のために管理し続けると考えますと、その管理する側は企業側であり、日々従業員スタッフが手をかけるわけですから、社外でも、社内でも主軸となる「ブランドをつくる」行為が、ブランディングとなりますから。
だから、一緒に考えていく必要があります。その考え方や方法論などは私のセミナーなどで解説をしております。

さて、インナーブランディング。
例を加えて、説明しますと...例えば、あなたが天下の「織田信長」だと想像してみてください。

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敵陣に攻め入る時。家臣のみを集め数日の間、戦略・戦術を練りました。検討してきただけあって、とても素晴らしい戦略・戦術。しかし、家来はその戦略・戦術を聞いたのは戦うギリギリの前日。聞いた家来は、明確に目的も理解できておらず、命を懸けて戦う大義やそもそも攻め入る根拠さえもよくわかりません。

そうなると...
「戦って勝ったら、わしはどのくらい報酬がもらえるのだろうか...」「いつになったら、家に帰れるのだろうか...」

などと、家来たちは信長や家臣のビジョンやミッションを深く理解できないままで、目先の欲望を満たせられるかどうかを考えるようになってしまう。

そして、「いざ!皆の者!明日の明星に敵陣に奇襲するぞぉ〜!」と。



よく時代劇で観る光景ですよね。

大体、こういう戦い方をしている時は、大敗しています。

結局、家来の士気が思うように上がらず、乗り気にならないので、指示待ち状態。できるだけ楽をして、命を削らずに報酬を得ることを考えてしまうものです。こんな状態だったら、誰だってこうなりますよね。むしろ、感情の矢の方向が違えば、謀反(反逆)を起こすことだってあります。

ほとんどの負け戦は、将軍のマネジメント管理の不足により、その軍(家来)の士気の低さが原因です。

ここからわかるように、すごい戦略(企画)でも、すごい戦術(クリエイティブツール)でもチームワークづくりを間違えると失敗に終わってしまうということです。だからこそ、「外」を攻めるのならまずは「内」を整えること。


また、クリエイティブツールを作ることだけが、インナーブランディングの本質ではありません。

では、インナーブランディングの「本質」はどこにあるのか?それは、「ともに働く従業員スタッフのポテンシャルを最大化できる組織づくり」のためのブランディング」です。

よって、経営陣がどれだけ立派で素晴らしいブランドの方針を作ったとしても、現場で生活者と接するスタッフがその方針を体現できていなければ、全く意味がありません。

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そこでこれからインナーブランディングに
取り掛かろうとしているのであれば、

「成功させるために5つのポイント」
をチェックして見てください。

<インナーブランディングを成功させる5つのポイント>
【1】 経営者が誰よりも汗をかく覚悟を持つ
【2】 変化を受け入れ、独自のやるべきこと、やるべきでないことを決める
【3】 スタッフがワクワクできる「自分ゴト化」の仕組みをつくる
【4】社員の「熱意×行動」の評価制度をつくる
【5】自社のミッションやビジョンなどの世界観を「可視化」する


【1】経営者が誰よりも汗をかく覚悟を持つ

会社の根幹となる基礎を決めて、軸を作っていくことになります。ここを部下任せにするような経営者では、インナーブランディングも会社経営さえもいずれ、継続が難しくなります。

【2】変化を受け入れ、独自のやるべきこと、やるべきでないことを決める
企業ごとに独自のカルチャー(=企業文化)を築くため「企業の個性」を構築します。個性は、そう頻繁に変わるものでも、変えても良くありません。

しかし時代と共に顧客とともに変化することも大切。インナーブランドのコア構築では「やるべきこと、やるべきでないこと」を明確にしていきます。

【3】スタッフがワクワクできる「自分ゴト化」の仕組みをつくる
従業員スタッフも「自分ゴト」でないと感情移入しないし、行動にも繋がっていかない。組織が目指す文化が醸成された姿を自分自身がイメージでき、ワクワクできる仕組みを構築することで自然と文化が創られていきます。

【4】社員の「熱意×行動」の評価制度をつくる
アウターブランディング同様、インナーブランディングも一朝一夕で実現できません。経営者が決めた経営理念を従業員スタッフが咀嚼して理解でき、それを実現するために行動に移し、
それが成果となって表れるには、数年かかるものです。その間もすぐに成果を求めようとせずに経営陣もスタッフも根気よく諦めず、熱意をもって、会社をひとつにしようと汗をかき、尽力する行動こそが継続的に売上が向上し続けるための近道になります。

【5】自社のミッションやビジョンなどの世界観を「可視化」する
企業理念や企業文化を行動レベルにまで落とし込むためには、その世界観の構築が必要。言語化し、その言語を視覚化していきます。そうすることで一人ひとりが自分ゴトとして共通認識を持ち、納得感を持てるようになること、行動にまで習慣化できているかがインナーブランディング成功のカギ。

なぜ、「成功させるために5つのポイント」が大切なのか。

その答えは...そもそも日々そのブランドを管理していくのは、その組織に属するスタッフ一人ひとりの「言動」だから。


ブランディング全体像として、
スタッフがそのブランドの価値体系を理解し、独自のブランドにふさわしいスピリッツを持ち、その振る舞いができなければ、ブランドをそもそも確立することは難しくなるわけです。

・どれだけ的確なマーケティング戦略を企画しても...
・どれだけ立派なブランドコンセプトがあったとしても...
・どれだけ有名なデザイナーにブランドデザインをしてもらっても...
・どれだけ的を得たプロモーション計画だったとしても...

まさに、絵に描いた餅。

それを従業員スタッフが体現できていなければ、顧客をがっかりさせることになりますからね。

だからこそ、
私たちの会社ではアウターだって、インナーだって、ブランディングをスタート前に社内外で「ブランディングチーム」編成にこだわりを持っています。社長さんにもしっかりと動いてもらう。

インナーブランディングで成功されている事例として、

スターバックス・ジャパン
サイボウズ

が有名ですね。

スターバックスさんはコーヒーチェーン店の中でも、ブランドイメージが高い企業ブランドとして成功しています。それは、アウターブランディングだけにとどまらず、インナーブランディングでも成功しています。

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スターバックスは広告にほとんど費用をかけないことで有名であり、広告ではなく、ブランディングに重点を置いた経営戦略を大切にしています。

広告費をかけるかわりに、どこに経費をかけているのか。

それは、インナーブランディングである人材育成に費用と時間をかけ、接客体験から接客の質を高めています。

しかし、スターバックスでは充実した研修制度があるものの、マニュアルは存在しません。

自主性を重んじ、従業員スタッフ(パートナー)一人ひとりがそれぞれ「お客様のために(自分たちが)満足できる接客」を独自に考えること。

これが、来店する顧客に満足度の高いサービスを実現しています。

決して、経営者が投げ出しているわけでもなく、ちゃんとその根幹となること、基盤の考え方をつくっています。

それは、「従業員が満足していない会社では、お客様を満足させることはできない」という考えで、

スターバックスでは、

顧客満足度の前に...従業員満足度!

を重視しています。

スターバックスの「従業員満足度の先に顧客満足度がある」という考え方は、インナーブランディングの素晴らしい良き例です。

スターバックスが広告費をかけずにブランディングに成功している理由の一つに、従業員スタッフの行動や対応の一つひとつがブランドの価値体系づくりをちゃんとできているからです。

お客様に心地よい接客体験をしてもらうことで、また来たいと思えるお店を作り上げられているということ。

つまり、

顧客を満足させるためのイロハではなく、従業員が満足させるイロハの充実があるからこそ。
(あれだけの店舗数があるにもかかわらず、浸透できているわけです)

他にもこんなお話もあります。

あの有名な企業サイボウズ。


ちなみに社名の由来は...
「電脳を表すサイバーと子供の呼び方」である坊主らしいですね。

サイボウズは現在は約150億の会社。
当時の社長は1997年に愛媛松山市の2DKのマンションから起業し、ホームページからダウンロードする商品を提供していた。その商品が素晴らしく、業績はどんどんUP。飛ぶ鳥を落とす勢いで10年目の2006年には上場して、
売上が30億にもなったようです。

ただ、その1年前の2005年はいわゆる
「超ブラック企業」だったようです。

業務は山のようにあり、休日出勤も常態化。7-11レブンイレブン出勤。売り上げのためだけのM&Aで一時は1200億に。しかし、グループ会社になり、バラバラとやめていく社員も多数。社員からするとそもそも、会社ってなんだろう…ってなるわけです。

その時のサイボウズの離職率28%
ブラック・サイボウズ。
そこからどう、生まれ変わったのか。

結論は…従業員スタッフが
「自分ゴト化」ができたから。

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掲げたのは...

「100人100通りの働き方」です。

そこから継続的にインナーブランディングを絶やさずにアップデートしています。成果として、2019年には社員数は6倍になり、離職率は28%から1/8の3.8%まで下がっています。そして、売上もここ数年5年連続で売上を過去最高売上を達成してきているわけです。

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現在の青野社長も株主総会で、こう言っています。

企業理念には、
「チームワークあふれる「社会」を創る。
チームワークあふれる「会社」を創る。」

とあります。

私たちの会社は全従業員が会社の理念を言えます。と宣言しています。これって、ほんとにすごいことですよね。

また、売上や利益よりも「利用者数」にこだわり、世界中で使われるサービスを目指す。と。

青野社長は
それについて、こんなことも言っていました。

「売上・利益が上がっていて、それで社員が泣いていたら、それって、意味あるんですか?」

この言葉から青野社長の経営のスタンスが伺えます。売上よりも、利益よりも大事にしたいものがある。ということ、青野社長のサクセススートーリーの裏側にある本気度と言いますか、汗をかいてきている経営スタンスが見えますよね。ほんと、同じ経営者としても心に響きます。


私たちノンバーバルも創業してからインナーの取り組みとして、従業員スタッフに「自分ゴト化」をして行動を体現してもらうため「Design is...(デザインとは...)」に続く言葉を入社したスタッフに独自に考えて発表してもらっています。他に年末年始には「仕事」「勉強」「プライベート」の目標発表会や、
スタッフが独自アイデアで起業の挑戦ができる
「スタートアップ・プレゼン(=SUP:サップ)」などなど。

一人ひとりのポテンシャルを活かした教育、キャリアアップ評価制度を導入することで、独立した働き方で社会に挑戦できる人財育成を新入社員の時、最初から目指していきます。

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また、近年当社がチャレンジしてきたインナーブランディングの一貫として、ノンバーバルが『 健康経営優良法人ブライト500 』に認定されました。

全国に中小企業が約350万社あることを思えば、この500社に認定されたことは嬉しいですね。約0.014%の割合!つまり、日本全国約7,000社に1社です。弊社のインナーブランディングの一環としても、一人ひとりが組織で働き、それぞれが個人として、成長すること。
それとともにようやく、企業の成長があります。しっかりと継続して、社員のモチベーションを維持し、スタッフの熱意の灯火を消さぬように当社も精進していきたいと思います。

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これからの「個の時代」において個をどのように活かし、チームをどのように活性化させるのか。

個人と組織の違いは、組織は「信頼」というものを流動的、加速的に蓄積していくことができること。

この「信頼」蓄積できる組織と言う属性を活用し、組織の中でフリーランス的な働き方ができる個を組織が享受し、組織は一人ひとりが育つ仕組みそのものを文化として、それに磨きをかけていかなければいけません。


最後にインナーブランディグのメリットとしては...これに尽きます。

スタッフ一人ひとりのモチベーションが上がることで
組織としての生産性が上がり、成果により売上アップを目指すこと

そのために
3つのブランドの価値体系が従業員全体にインストールできているか、日々の中で、ワクワクできる仕組みで確認をしていくことです。

ミッション
ビジョン
行動基準

そこには、みんながワクワクできる
仕組みやそのアイデアも必要です。

これから何をするべきか、
成果が見えてきましたでしょうか?

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従業員スタッフみんなが、
独自のブランドのミッションや
ビジョンが心でわかっている。
だから、ブランドの行動基準に
動く根拠や理由に寄り添うことができる。
そうすると、個人やチームにも
理念行動にまとまりが出てくる。

これを続けていると、
ブランドの世界観がどんどん顧客に
可視化され、その輪郭が見えてくる。
結果、チームの力で
一気にそのブランドは、
内側から広がっていくわけ
です。

インナーブランディングは、
ザーッと、こんな流れです。

もう、マイクロマネジメント(細かい指示)も不要になる。さらには、ブランドに一貫された強いスピリッツを顧客が自然と感じるようになってくる。それにより、顧客満足度もアップし、リピートも紹介も、続々と増えていく。こんなサイクルが生まれてくるわけです。

一石二鳥ではないですが、もちろん従業員スタッフの働きがいも出てくるし、結果として、定着率が上がるのは当たり前のお話ですね。

さぁ、経営をブチ上げるインナーブランディングをはじめていきましょう。


みなさま、おつかれさまです。
ここまで、長文を読んでいただきありがとうございました。



【 会社概要 】 NONVERBAL®︎,Inc.について
12年間で1500案件以上の企業のブランディングで信頼と実績を積み上げ、アジアや日本企業のブランディングデザインを専門事業として、活動しています。会社概要、実績資料、BtoB、BtoC、採用、商品やサービスブランディングに関するホワイトペーパーなどは下記リンクの当社サイトより無料にてダウンロードしていただけます。


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