ポーズではなく、きちんと手触りのあるワーケーションができる場所を見つけた(岐阜県・養老町)
「古性さん、岐阜県の養老町という場所にワーケーションにしに来ませんか?」と声をかけてくれたのは昔ながらのお友達きっかけで知り合った方だった。
お話をいただいた当時、わたしはタイ・チェンマイに1ヶ月滞在しながら語学を学んでいる真っ最中。
残り少なくなってしまった旅の日数を毎日名残惜しげに数えながら、また元の日本の生活に戻ってしまうことに対して、どこか勿体無いような気もしていた。
そんな時にいただいたお誘いは何だか旅の続きのレールを引いてもらったような気がして「養老町って一体どこらへんだろう?」と思いながらも、私は二つ返事でこのお誘いを受けた。
岐阜県・養老町におじゃまします
養老町は岐阜県にある町で、人口は2万8000人くらい。私は自宅のある岡山県から向かって、のんびり電車で3時間ほど。
瓢箪を組み合わせて作られた"養老駅"の看板は大変趣があって、駅前のおばあちゃんに聞くと100年以上の歴史があるらしい。
ちなみに今回の滞在はのんびり1週間ほど。
滞在中に読みたい本やコーヒーのドリップバッグ、水筒や湯たんぽなど自分の暮らしを普段整えてくれているものもキャリーケースに詰め込んだ。
私にとって、養老町での暮らしは「旅」や「観光」というより「仕事の拠点を養老町に移す」が目的だったので仕事もきっちり持っていった。
ワーケーションの基礎は、お仕事場所の確保から。広々と羽を伸ばせる、ワーケーション施設「YOROffice」
養老町に到着してまず訪れたのは、養老町に新しくopenしたワーケーション施設「YOROffice」。駅からは自転車で15分程、車だと5分ほどで到着する。
床面積は1277.23㎡と聞いてもあまりピンと来なかったけれど、実際訪れてみると鬼ごっこやかくれんぼができてしまいそうな程に広い。設備も充実していて、休憩スペースやシャワー室まで完備している。
椅子も机も自由に選べる。午前中はソファで、午後は集中ブースで、などその時の気分で変えることができるのが嬉しい。
あと個人的に嬉しかったのは、どの机も、椅子と高さがあっていること。
そして何処に座っても電源が確保できること。
すごく地味だけれど、実はなかなかなかったりもする。
ちなみに余談で、とにかく良い光がたっぷりと入る施設だったので写真が楽しかったし、日向ぼっこも最高だった。
色の綺麗な壁も多かったので、たくさん遊ばせてもらった。
宿ではなく暮らしに溶け込む。住宅街の中にある一軒家に滞在
滞在中はYOROfficeから自転車で5分ほどの民家の中にある普通の一軒家に滞在させてもらった。Wi-Fiも通っているので、YOROfficeがお休みの日はここでお仕事する。近くにはモーニングが楽しめる喫茶店が2軒。
キッチンには大きな冷蔵庫に料理器具、鍋にお皿に調味料…と充実している。ちゃんと「自分の家に住むように滞在をする」に特化していて、自炊と外食を選ぶことができるのも嬉しい。
タオルやスリッパなども完備され、すぐに家に馴染むことができた。
中期〜長期でワーケーションをする人にとって、滞在先の家にどんなものが揃っているのかは本当に死活問題になる。養老町での滞在は「これもあるんだ、良かった」が多く、とても居心地が良かった。
私のワーケーションの1日のスケジュール
私のワーケーションの1日の全体スケジュールはこんな感じだった。
土・日はYOROfficeがお休みのため近くの喫茶やカフェ、自宅などでお仕事。(仕事ボリュームは平日より少なめ)
養老町でのある日の1日の流れ
AM 6:55 おはよう世界
起きてお散歩。あたらしい滞在先で生活リズムを崩さないために普段と同じ時間に起床。養老町は雄大な山々に囲まれていて、どこまでも抜けていく景色が気持ちいい。
AM: 8:00 朝ご飯を作る or 喫茶「ソウエン」でモーニング
お散歩して身支度したら家からすぐの喫茶「ソウエン」さんへ。
養老町は名古屋のモーニング文化が喫茶に根付いていて、ドリンク代に+100円〜200円でモーニングプレートをいただくことができる。
ここソウエンには十数種類のモーニングメニューが並んでいて、毎回迷ってしまう。
私のお気に入りはフレンチトーストかフルーツ盛りとチーズトースト。
カフェオレとセットで500円。お腹にもお財布にもやさしいのが嬉しい。
AM9:00 ~ 12:00 - YOROffice へ行って仕事
ソウエンでご飯を食べたら平日はYOROfficeへ。広くて静かなのでめちゃくちゃ集中できる。午前中が一番集中力が上がるので、創作作業が中心。
午前中、疲れたらおやつによく食べていた養老町の吉備(きび)羊羹。100年間続いている無添加の手作り羊羹で、餡子ではなく”きび”で作られたやさしい味がお気に入りでした。
PM12:00 ~ 13:00 - お昼ごはんへ
お昼ご飯は近くの喫茶店や少し足を伸ばしてローカルなお店へ。
養老町は「飛騨牛」が有名で、どのお店でも手軽に食べることができるのが魅力。(もちろん他のメニューもとっても美味しいです)
PM 13:00 ~ 17:00 - 仕事したりお昼寝したり。スプーンを作ったり
【平日編】
お昼を食べたあとはYOROfficeに戻って仕事をしたり、少し足を伸ばして大正ロマンの雰囲気がたっぷりと漂う宿「千歳楼」へ。
1764年に創られた、登録有形文化財に指定されたこのお宿では、近年復活した薬湯風呂を楽しむことができます。ラウンジでお仕事させてもらって、そのまま薬湯風呂にお邪魔する、という贅沢を味合わせていただきました。
贅沢…。
今回わたしは宿泊はしなかったのですが、とにかくご飯も絶品です。
次回は絶対に泊まりたい。
【休日編】
-久保田家具工房 のスプーンづくり
休日は、地元でずっと木材から家具を作り続けている久保田家具工房さんでスプーン作り体験を。生木からスプーンを切り出していきます。
オリジナルの一本が完成。わたしはカレースプーンを作りました。
どんなに不器用でも2~3時間で出来上がりました。
いつもと違う頭を使うので、休日の良いリフレッシュになりました。
-ひょうたんランプ作り
ひょうたんが有名な養老町では、こんなワークショップも。ひょうたんに穴や焦げ目をいれて、自分だけのデザインを作っていきます。コーヒーをいただきながら黙々と作業していきます。
こうやって自分で作った旅のお土産を、持ち帰ることのできる体験、とてもありがたいです。参加者とも仲良くなれて、とても良い経験。
PM 20:00 ~ 22:00 明日の支度やミーティング、本を読んだり
夜は養老町は真っ暗になるので、お家に戻り本を読んだり音楽を聴いたり。
空にはぽっかりお月様。
気づけば23時には眠くなって、お布団へ。
こんな毎日を、1週間過ごしていました。
特別ではなく、ここは確かに暮らしの延長線上にあるワーケーションを送れる場所
「ワーケーション」の定義は世界と日本では随分形が違うように思う。だから正解はもちろんない。ただ旅と仕事のバランスが難しく、どうしても知らない土地、初めての土地にいくと「観光」にバランスが傾いてしまって、全然仕事が捗らなかった。なんて話も聞く。
それが良い悪いではないけれど、この養老町という場所は程良く何かがあり、程良く何もない。ワーカーホリックになるほど仕事ができる場所はないし、代わりに日常生活に支障がでるほどではない。
全てのバランスがちょうど良いのだ。
また今度は養老町の違う季節の顔も見てみたい。
私は少し長めに滞在したけれど、1泊2日でもきっとこの程よさを体感してもらえると思う。
ぜひ気になる方は、訪れてみてほしい。
とても良い1週間でした。
Photo gallery
今回訪れた場所: 岐阜県・養老町