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私の感性を揺りおこしてくれる音のこと | maishinta

まだ頭の中には無数の言葉がふわふわと漂っていて、上手く着地しない。
大きめのノートを広げていつものように、頭の中を整理しようかとも思ったけれど、なんだかすごくナンセンスな事をしているような気持ちになってすぐにやめた。
この言葉達の着地場所があるのかも分からないし、そもそも漂うために生まれてきた気さえしだしたから。

それに、早くここに書き留めておかなければきっと忙しい日々に忙殺されて、この気持ちごとまた何処かに落としてきてしまう。
そうしていつの間にか手のひらから滑り落ちたことさえ忘れてしまう。

なのでいまこの気持ちを、誰のためでもなくまずは私は私のためにそのまま飾らずここに書きます。
支離滅裂な事も、矛盾している事も、あまりにもプライベートな事も、
ひとまずは包み込んで。

いつも場所を貸してくださるnoteさんありがとう。

先日、というかたった二日前の夜。作曲家の酒本信太さんとシンガー・ソングライターの向田麻衣さんによる音楽ユニットmaishintaのバンド「maishinta band」の初めてのライブがあった。

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何年前だったか忘れてしまったけれど、一軒家で行われたおふたりのアルバムのお披露目会でmaishintaの存在を知った。

友人から「好きそうな気がする」と渡されたチラシを頼りに何となく足を運んだそのイベントは、おふたりがネパールを旅しながら作った曲を丁寧に1曲ずつ、旅のエピソードと共に聴きながら、ネパールのお茶を飲むという何だかその空間だけが切り取られて、日本でもない、ネパールでもない、どこか違う空間に連れていってもらったような不思議な空気を感じるイベントだった。


高めの天井に信太さんのピアノの音が跳ね返って、麻衣さんがその音を遊ぶように歌で広げていて、ああ、この人たちはなんて綺麗に重なるのだろう。とドキドキしてしまった。

もう、何がなんでもネパールの地を踏んでみたくなってしまって次の年、わたしは2人の曲を連れカトマンドゥとポカラを訪れてみたりもした。


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”maishinta” を聴いていると、私はいつもかならず泣いてしまう。

今回のライブは、岡山で船を待ちながらオンラインで聴いていたのだけど
やっぱり1曲目から涙があふれてきてしまって、ちいさな待合所で周りに悟られないように、静かに泣いていた。

ただただ、麻衣さんと信太さんがそこで歌っているだけで、哀しくもないのに泣いてしまう。

ライブで流れるその曲たちは、擦り切れるまで何度も何度も聞いたものもあって耳は慣れているはずだし、画面の向こうで歌っているmaishinta bandはもう、今この瞬間が楽しくてたまらない!という空気であふれているのに。


「人間、美しい景色をみると涙が出るらしい」


と、昔アイスランドの景色を前にした時に降りてきた言葉がある。
あの、もう奇跡としか思えないほどの自然を前にした時にあふれた感情が、ふたりを前にすると湧き出す。

多分わたしは、アイスランドの、自然のいくつもの偶然と奇跡が織りなす美しさに心が震えたのと同じように、麻衣さんと信太さんが今世こうしてここで出会って、今ここに奇跡のように存在して、音楽という共通言語を使っていてくれることに、嬉しくて泣いてしまうのだと思う。

リズムも、空気も、音も、ぴったりと重なる。
はじめて2人に出会った時感じた空気が、画面越しの、少し離れたその場所に確かに存在していて、月日が流れても変わらないままそこにあり続けてくれることは、なんて愛しいことなのだろう。

それほどまでに、この2人を纏う空気と世界は美しい。
信太さんのピアノに、麻衣さんが音をのせる。
麻衣さんの音に、信太さんの声が重なる。
ドラムのUchikawaさん、ベースのHiramatsuさんがそんな2人に寄り添うように外側から包み込む。

お互いが、あるべき姿でそこに在る。
出会うべくして、重なるべくして、ここに在る。

そんな気持ちになるし、それが当たり前のような気になる。

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最近、とある人との出会いをきっかけに恋や愛についてよく考えていた。

彼の存在がなぜだか最初からすごく大切なものに見えてしまって、どう触れてよいのか分からず、少なからず彼も同じように似たような感情の前で、戸惑っている。

手を取り合って生きる前からお互いを、今世で失ってしまうことが怖くて、立ち止まってみたり、ちょっと離れてみたり近づいてみたりしながら、これが答えかもしれない。と行きついては道がふわり空中に溶けて、また新しい何かがどこからかやってきて、を繰り返している。


誰の許可もいらない あなたの中で
始まる愛の種を 育てることに
信じることは 植物に水をあげるようなこと
草花の声は、必ず聞こえる
あなたの中に 美しい愛の種が
植えられているから
-s.shinta


私の大好きなエピソードに、信太さんと麻衣さんの出会いの話がある。

まちあわせに遅刻してしまった麻衣さんに、信太さんは特に怒ることもなくのんびりと「遅刻してくれたおかげで、麻衣さんのお話しする動画を見ながら、詩がひとつ書けました」と麻衣さんに詩を渡す話だ。
その話を聞いた時に、そんな素敵な人がこの世にいるのか!と驚いてしまったし、そんな事をされたら間違いなく「ああ、今世すごく大切な人を見つけてしまったな」と思ってしまうと思う、とあの時深く感じたことを、ライブを観ながらふと思い出していた。

もし私がいま、持っている感情を、恋や愛に当てはめるとするならば。
このおふたりの姿が私なりの答えの形なのかもしれない、と思った。

恋と愛と大切が、時系列で変化していくのではなく、手のひらに、同時にやってくる感覚。

ふたりの愛の種があの瞬間に生まれたように、もしかしたら今わたしもそんなとんでもない、奇跡のようなギフトをもらっている最中なのかもしれない。


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これから先の人生も、きっと私は何度も何度も"maishinta"という存在に支えたれたり、泣いたり、嬉しくなったり、気付かされたりする。

おふたりが(そしてmaishinta bandが)この世界で歌い続けてくれるために、私にできる事はなんだろう?と考えてみたりしたけれど(そんなこと考えてしまうのは、あまりにも大きなお世話を承知で)、やっぱり、私の使命は写真を撮る事と言葉を綴る事なのだから、それしかないのだろうな。

長いラブレターのような、
ひとりごとのような、そんなものになってしまったけれど。

私の感性を揺りおこしてくれる音の話を、今日ここに書き留めておきます。

最後に、このnoteを書きながら聴いていた、おふたりの曲をいくつか。


今日も、よい日でありますように。


おふたりのnoteも。


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