夫氏が小説を書き始めたようです⑥(前編)

さて、晴れてお付き合いの始まった夫氏とノンタンですが、これからどんな日々が待っているのでしょうか?そしてその日々を夫氏はどう綴るのでしょうか?


第6章 初めてづくし

僕は今程幸せと思ったことは無いと思う。
それは意中のあの娘とはれて付き合うことができたらからだ。
そして、今日はあの娘の誕生日を少し遅れて祝うことにはなるが、付き合って初めてのデートの日でもある。
事前にあの娘の為に買っておいたプレゼントを喜んでくれると良いなと思いながら、待ち合わせ場所に向かった。

今まではあの娘の地元で会っていたが、今回はこっち側に来てもらうことにした。
お互い同じ電車に乗っていたらしく、待ち合わせ場所にはほぼ同じぐらいに居合わせた。

それにしても、あの娘を見るとニヤニヤが止まらない。
「少し遅いけど、誕生日おめでとう。」

「ありがとう。」

「いやびっくりしたよ。自分の誕生日にバイト入れるとか普通しなくない?」

「そうかな?うちは最近誕生日も特別祝われるということは無かったからあんまり意識してなかった。」

「え、お父様やお母様からも祝われない?」

「・・・当日には祝われないことが多かったかな。」

「なら、今度から毎年僕が当日祝うから来年はバイト入れないでね」

「分かった」

「とりあえずご飯食べに行かない?」

「そうしようか」

そして、ランチを食べながら、あの娘の今までの誕生日はどんな感じだったのかを聞きながら時間が過ぎていく。
そして、ランチを食べ終えて店を後にした。

何となくなんだが、漫画とかで良く目にする女の子が服を選ぶのを一緒に見てあげるというのを何となく憧れがあるような無いような状態だったので、服屋をぶらぶらしながら、あの娘に似合う服やアクセサリーなどを見ていた。

買い物もひと段落して、カフェに入って休憩することにした。

「ごめん。ケーキの用意が出来てないから、今年はカフェのケーキで我慢して。その代わりどんなやつ頼んでもらっても構わないから。」

「この間から奢ってもらってばっかりやから、気を遣わんでもええねんで。」

「うん。今後は奢るのは特別な日だけにするから、今日は遠慮せずに食べたい物食べて。」

「ありがとう。お言葉に甘えて頂きます。」

そして、お互い頼んだケーキを食べながら、プレゼントを渡すタイミングはここが良いかなと思い、用意していたペンダントを首にかけてみせる。

「これどうしたん。ありがとう。さっきも言うたけど、最近誕生日を祝われるということされてなかったからちょっとびっくりした。」

「何をプレゼントしたら喜んでもらえるか分からなかったから、結構悩んだけど喜んでもらえたら嬉しいな。」

「うん。ありがとう。めちゃくちゃ嬉しい。」

「喜んでもらえたのなら僕も嬉しい。」

カフェでの休憩も終わり店を出てしばらくぶらぶらとするが、やることが無くなり地元のカラオケができるお店に行くことになった。

その道中で、あの娘の誕生日だと自覚はしているが、どうしてもあの娘と手を握ってみたい気持ちでいっぱいになる。

「あのさ、手握っていい?」

「え。ええよ。はい。」

そう言って、あの娘は手を差し出してくれた。
手の握り方ってどうしたら良いのだろうかと疑問に感じている所あの娘からこんなことを言われた。

「恋人握りしたらええのんとちゃう?」

「恋人握り?」

「手貸して。」

そう言って、あの娘から手を握ってくれた。

付き合っているとはいえ、あの娘に触れることがこんなにドキドキするとは思いもしなかったが、一緒にいるだけでも幸せなのに触れるとどこか安らぎを得られるような気がした。

そして、手を握ってお店まで行った。

ちなみにあの娘はめちゃくちゃ歌が上手いので歌声を聞いてても幸せな気分でいっぱいになった。

カラオケも楽しんではいたものの、あの娘の門限が迫っていたので駅まで見送った。

「今日も楽しい時間をありがとう。」

「うちの方こそ誕生日を祝ってくれてありがとう。」

「もうすぐ夏休み終わるけど、今度僕の家来ない?」

「うーん。考えとく。」

「あっ、決してやましいこととか考えてのことではなく・・・」
そりゃ僕も男ですし少しは考えなくもないが純粋に今度は僕の家に招待したかったからだ。
そうして、あの娘の乗る電車を見送り僕も帰路についた。


まじでこの時から今に至るまで毎年当日にお誕生日を祝ってもらっているよ(読みながらめっちゃニヤニヤした)

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