夫氏が小説を書き始めたようです⑦(前編)

夫氏「最近仕事で時間がなかったので久々ですが、続きです!」

第7章 すれ違い

夏休みも終えて、後期日程の講義が始まった。

学校が休みの日を除くと毎日会えるんだと思うと、自然と笑顔になった。

学校に向かい教室にあの娘が居るのを確認した。
あの娘の周りには僕が気をよく思っていない取り巻きもいたが、僕は久しぶりに、そのグループに戻ってみた。
戻ってきたんだ、という風な顔はされたが特に僕は気にせずに、授業を受けた。

お昼になってみんなで食堂でランチを食べることにした。

僕は持ってきていたお菓子をみんなに共有した。

後々思うとこれが失敗だったと反省するが、時すでに遅しで、信じられない光景を見ることになる。

みんなに共有したお菓子を個人で食べるならまだしも、よりにもよよって僕が敬遠していたあいつが、自分の食べたお菓子の傍らをあの娘に共有したのだ。

確かにまだ、このグループに僕とあの娘が付き合っているということを伝えてはいなかったが、これはやり過ぎだろうと内面怒り狂った。

そして、お昼からの授業はそのことで頭がいっぱいになり、一人だけ別の場所で授業を受けることにした。

あの娘を遠目から見ている自分がなんだか情けなくなる気持ちでいっぱいだった。

僕とあの娘は付き合っているのに、あいつと間接キスのようなことをして何とも思っていないのかという思いが堂々巡りしていた。

お昼以降の授業の内容が全然頭に入って来ないでいて、嫉妬している自分が情けない気持ちと、やっぱり付き合うんじゃなかったのかなと思い一人学校を後にした。

暗い部屋に出迎えられるのが随分と久しぶりなのだが、今までよりもより一層ずーんと重い気分になった。

しばらく部屋の明かりもつけずに放心状態のまま自分がどうしたいのかも考えられずに時間が過ぎていた。


恋をするとこんなにも自分の気持ちが、訳が分からなくなるのかと、戸惑いながらも僕は、この時愚かな決断をしてしまう。

あの娘のバイトが終わる時間を見計らってメールをした。

「ごめん。僕から付き合おうって言っておきながらこんな事言うのも申し訳ないけど、別れよう。」

恋をするとこんなにも辛いならいっそ誰も好きにならない方が良かった。と思いながらあの娘の返事を待つ。

あの娘の気持ちも考えずにこんなメールを送ってしまったことに少し後悔していたが、あの娘も僕のことを好きという意識で付き合っていないのですんなりと別れられると思っていた。
そう、あの娘の返事が返ってくるまでは。

あの娘のメールが返ってきた。

「今電話していい?」

何故電話なんだと思いながら僕はこう返した。

「うん。」

電話が鳴ったので、取ると電話越しにあの娘の泣き声が聞こえてきた。

え?何で泣いているのか僕には分からないままあの娘の第一声を聞く。

「何で別れようとか言うん?」

「ごめん。お昼のあれが僕にとってどうしても許せんかった。」

「うちも悪かったけど、そんなことで別れへんからな。」

「え、でも僕のこと好きという感情で見てないんでしょう?」

「今はまだ、ようわからんけど、君と一緒に居る時間は楽しいし、素で居れるのも君の前だけやねん。」

嗚咽交じりのあの娘言葉を聞いて、僕まで涙が流れてくる。

「僕も、付き合うの初めてでどうしたらいいのかよう分からん。別れるのが僕の中では感情の整理がしやすいと思ったから、あんなメールをしてしまった。ごめん。」

「うちも何の考えもなしに振る舞ってしまってごめん。」

「うん。僕は別れるのが良いと思ってたけど、こんな僕でもまだ付き合ってくれるの?」

「さっきもゆうたけど、うちは君と別れるつもりはないからな。」

「無神経にあんなメールを送って本当にごめん。まだチャンスがあるならこのままの関係を続けてもらえる?」

「うん。うちももう少し君の気持ちを考えられるようにするから、別れるとか言わんとって。」

「うん。ごめん。もし良かったらだけど、明日から学校帰りは一緒に帰ろう。」

「うん。ええよ。」

「本当に今日のことはごめん。メールは削除しといて。」

「うん。」

「もう遅いし、明日も学校朝からあるから電話切るね。」

「うん。お休み。」

「お休み。」

電話を切ったあとに、涙を拭いて、自分の行いを反省した。

ワイ「今改めて読んでも間接キスぐらいで…?って思ってしまうところがあかんのやろうなあ(反省)」

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