夫氏が小説を書き始めたようです⑥(後編)
夫氏「インフルや年末年始の忙しさでだいぶ遅れてしまいましたが、続きです!」
次にあの娘と会うことになったのは、前回のデートで提案してみた僕の家に招待しての家デートだった。
別に少女漫画を熱読しているということではないが、恋愛物でよくある二人乗りに憧れていて、この日の為にバイトで貯めたお金で二人乗りが出来る自転車を近くのホームセンターで購入していた。
新しい自転車に乗ってあの娘が降車する駅まで向かった。
駅に着いたがあの娘が乗っている電車が到着するまでもう少しあった。
初めて自分の家に女の子を呼ぶことに多少の緊張をしつつも、二人乗りという青春っぽいイベントの方がワクワクしていた。
あの娘の乗っている電車が到着したので、駅のホームであの娘姿を確認できた。
「今日は来てくれてありがとう。」
「うちも、どんな家に住んでんのかも気になるし、今日はおじゃまします。」
そして、僕は待ちに待った二人乗りをする為に彼女を後ろに乗せて自転車を動かす。
・・・イメージではすんなりとあの娘を乗せてペダルを回せるはずだったが、バランスを取るのが意外に難しいと思った。
数秒よろけながら、あの娘を乗せてペダルを回して自転車が走るようになった。
イメージ通りには中々いかないなと思いながらも、それ以降は自宅まであの娘と会話しながら二人乗りが出来るぐらいには余裕が出てきた。
「(今凄く青春しているな)」と思いながら、二人乗りの時間を終えて自宅に着いた。
「へぇ。結構いい所住んでんねんな」
「その代わりに学校からは少し遠いけどね。どうそ。中入って。」
「おじゃまします。」
「取りあえず、その辺に座ってて。」
家に連れてきたは良いものを、何をしていいのかノープランだった。
「ええっと。何か飲む?」
「ありがとう。何があんの?」
「コーヒー・紅茶・お茶・ジュースならあるけど。」
「ならジュースでお願い。」
「了解。」
「はい。お菓子はこれぐらいしかないけど食べられる?」
「うん。大丈夫やで。」
「それなら良かった。そういえば、前期の成績どうだった?」
「こんな感じかな」
あの娘の成績を聞いて純粋にスゲーと思った。
「僕も〇〇の講義取っておけば良かった。同じ時間にやってた別の講義選んだの失敗した。」
「確かにあっちはあんまり良い印象なかった」
「もうすぐ後期日程始まるね。そうしたら、授業がある日は毎日会える。」
「そんなにうちと会えるのが嬉しいん?」
「嬉しいよ。だって好きな人と少しでも長く一緒に居たいと思うもん。」
「へぇそうなんや。うちもそう思う時がくるんかな?」
「そういう時が来てくれたら嬉しいな。その為にも僕と居る時間が特別と思ってもらえるようにしていきます。」
「そんな頑張らんでええよ。」
「あっ、うん。」
「そういえば、ご家族の方には今日何て言って来たん。」
「料理を教えてもらう為にって言ってきた。」
「そうなんだ。(あの娘は料理ほとんどしたこと無いって言ってたし、何作ろうかな)」
晩ご飯までまだ随分と時間があるので、何をするか手探り状態だった。
「ゲーム出来る?」
「ほとんどゲームやらんからな・・・」
「それなら、〇〇さんから借りたこの曲流して良い?」
「ええよ。なんて人のなん?」
「天野月子さん(この当時は天野月さんではなく月子さん名義で活動されてました。)」
「この人の曲良いな。」
「僕も、強くおすすめされたから借りたけどカッコいい曲多いから暇な時聞いている。」
音楽ばかりでも、時間を潰せないのであの娘の好きな絵を描くことにした。
「もし良かったら、絵でも描かない?」
「ええけど、紙とペンはあるん?」
「はい。」そう言って、紙とペンを渡した。
「何かお題出してそれをお互い描くってのはどう?」
「面白いやん。それでええよ。」
「ならポケモンでお互いにお題出して描いていこう。」
「最初はピカチュウで。」
「はい~」
お互いに描けた絵を見せる。
「独特な雰囲気の絵やな。」
「実は絵なんて描いてきたことないから、こんなのしか描けない。」
「なら次はギャラドスで」
「はい~」
描けた絵をお互いに披露する。
僕の絵を見たあの娘が大爆笑する。
「ぎゃはははは。さっきのピカチュウはまだピカチュウだったけど、あかんは。これはめちゃくちゃ面白い。」
見事な画伯っぷりを披露したことによって、この日一番のあの娘の笑顔を見ることになった。
「そんなに笑うことかな?」
「やって、よう見てみいや。」
そう言って、本物のイラストと僕が描いた絵を見比べると、僕も笑いがこみあげてきた。
「確かに(笑)」
そんなやりとりと、しばらく絵を描いていると良い時間になっていたことに気付いた。
あの娘と居る時間が楽しすぎて晩ごはんを作っていたら、門限までに帰れるかどうか怪しい時間だった。
「ごめん。今日は料理を教えたかったけど、料理作ってたら門限までに帰れなくなるから本当ごめんけど、カップ麺で晩ごはん良いかな?」
「うちは良いよ。あんまりカップ麺食べんけど、たまに食べると美味しいしな。」
「今度家来た時は、ちゃんと料理作るから。ごめん。」
そうして、即席で出来たラーメンをお互いにすすり食べ終わったらもうあの娘の帰らないといけない時間になっていた。
「そろそろ時間やし、帰らないと。」
「うん。」
僕はこの時多少よこしまなことが頭によぎっていた。
「どうしたん。じっとして?」
「う、う~ん。あのさ、嫌なら断ってくれたら良いけどさ、服の上からで良いからおっぱいもませてくれん?」
「え?」
「嫌なら良いよ。ごめん。こんなお願いして申し訳ない。今のは忘れてくれて結構だから、帰ろうか。」
「まだもう少しだけ時間あるから、ちょっとだけなら良いよ。」
「え?良いの?」
「うん。」
服越しだったが、初めて触る女の子の胸に、僕の心拍数がかなり上昇していたことは胸に手を当てなくても分かるほどだった。
「これが女の子のおっぱいか。結構硬いんだな?」
「え?そこブラのワイヤーやで(笑)」
この出来事を、僕とあの娘とで後に語り継がれるワイヤー事件と名付けた。
お互いに笑いながら、僕の女の子の胸を揉むという初経験はお互いに生涯忘れられないインパクトある出来事として記憶に残ったのだった。
そして、帰りも二人乗りをして、駅まで送った。
都会の喧騒を忘れさせてくれるような道中の夜道は月が綺麗だったことを僕は覚えている。
駅に着き、「今日も楽しい時間をありがとう。」
「こっちこそ、今日は色々あって楽しかった。今度はちゃんと料理を教えてね。」
「うん。そろそろ電車くるみたいだから気をつけて帰ってね。」
彼女を見送って、今日一日の出来事を振り返り、色々な初体験が出来たが、どれも楽しいひとときで充実した一日を過ごせれた。
こんな時間がずっと続けばいいのにと思いながら僕はあの娘と二人乗りした自転車を一人寂しくペダルをこいで家に向かった。
ワイ「内輪ネタ多くてわらった」
※自転車で二人乗りしたらダメだよ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?