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職場のルール

一言で言うと融通が効かない。

ルールというのはそういうものだろうけど。特に病院では感染をはじめとしたリスクから患者さんや職員を守るためにいろいろなルールがあり、随時変更される。

そう、変更されるんだけど、変更してほしいことがなかなか変更されないのだ。

何年も前、前院で患者さんの痰の吸引を行う際、一部のスタッフが使っていたアイガードを私も使いたいと思った。そんな大層なものではなく、不織布のマスクにペタッと貼り付けるだけのもの。値段はそんにに高くないはずだ。

なのにそれを使用していいのは一部の看護師と言語聴覚士だけだった。私がいくら痰を引くのが上手いからって、ゲボゲボ咳き込んだ人の飛沫が飛んでくることだってあるわよ。

でもアイガードを希望する私にそれが配られることはなかった。

変わってコロナ禍(下)。

それに伴い職員全員が(巷にマスクが行き渡ったのち)マスクとアイガードの着用が義務化された。
ゲホゲホしてる患者さんと接するには必須だ。

でもコロナ陽性者と職員の接触は最低限に抑えられていたため、私が飛沫を飛ばすほどの咳をする患者さんの治療に入ることはなかった。

時間が経ち、ウイルスはさまざな変異を経て(感染力は強いが)弱毒化している。私の認識は『少しひどい風邪』程度で、罹患すれば死んでしまうというほどのものではない。

もちろん元々呼吸器に問題がある人や体力が低下している人、高齢者が罹患すると悪化するケースもあるので、その際は速やかに医療につなげなければいけない。

今私が勤務する病棟は基本的に元気な人が多い。リハビリをして家に帰ろうという人たちが殆どだ。『元気』というのは『安静を要しない』という意味で、好きなように歩き回れる能力や体力があるということでない、ということは断っておく。

咳をゴボゴボしながらリハビリをする人は殆どいないためアイガードなんかなくていいのだが、病院はいまだにアイガードの装着を義務としている。

これが実は非常に邪魔な代物で、より接近して治療する場面だと患者さんに当たる。何より入職してからまだ一度も替えていないので、ペラペラのフィルムであるアイガードがあちこち曇ったり破れたりしていて(破れている箇所はセロハンテープで修正)視界がすこぷる悪い。ずっと締め付けているため耳の付近が痛くなりやすい。
これではメリットをデメリットが遥かに上回っている。

そろそろこの感染対策には無用と思われるアイガードの装着は義務から任意にしてもらいたいのだか、相変わらず義務である。

何度か『そろそろ要らないんじゃないか』と管理者側に上げているのだが一向に無くす気配がない。

不織布のマスクにしたって、つけていても喋る時の飛沫拡散を防ぐ効果はあってもウイルス拡散を抑止する効果はない。みんな、あんなもので感染拡大を予防出来てると本気で思ってるのだろうか?

結局院内でクラスターが発生した時に『ちゃんと対策してました』というアピールなんだろうと思ってる。どこかの病院で(クリニックか?)寄生虫🪱か何かの感染があった時、マスクもアイガードも診察の際してませんでした、と非難がましく報道されてたからね。
世間一般には未だにマスクは感染予防に有効とされているし、それを怠った医療者は『それみたことか』と非難される。

非難というより(あーぁ、マスクしてアイガードしてれば感染しなかったのに)と思わせる報道のニュアンスもなんか私には世論を誘導してる気がしている。

まぁ、何というか私はもうアイガードもマスクも外したいのだ。あんなものは必要だと思う時につければいいのであって強制すべきものではない。
今までも世間の常識、世界の非常識もあったしね。

まだまだ私が勤める病院ではマスクもアイガードも外してヨシとなる気配がない…

マスクやアイガードは感染予防には役に立たないと世間が認知するまでこの先何十年もかかりそうだ。

ということは職場での装着義務は当分変わらないということだ。あーぁ。



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