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この中で罪のないものだけが石を投げよ

この中で罪のないものだけが石を投げよ
新約聖書

人気俳優が不倫して世間が騒いでいます。テレビが嫌いなので一切見ませんが鬱陶しいことにスマホを見ていると視界に入ってくるのです。

更に厄介なことに行きつけの銭湯にもテレビが設置してあり、目を瞑っても音が聞こえてきます。久しぶりに見るワイドショーではMCとコメンテーターが眉を潜めとんでもないことをしでかしたなと芝居がかった顔で神妙にトークを繰り広げていました。

日本は呆れるほど平和だなと思う一方でやっぱり不愉快になります。俳優の不倫で彼らは精神を病んだり、お金を失ったりしたのでしょうか。

他人の不幸を喜ぶ感情はシャーデンフロイデと呼ばれ、大衆はこのような時に歓喜して正義を振りかざします。

一説によるとこのような正義を振りかざすことで得られるカタルシスは時に性交を遥かに上回る場合があるようです。

日本人は一般にとても親切と言われますがそれは他人に嫌われたくないという八方美人性と表裏一体となっています。他人に嫌われたくないから他人に親切にせざるを得ないのです。

そして仲間内で調和を乱すものが現れるとあらゆる手段で嫌がらせをし、皆と違うことを強く責めます。彼らは自分たちと異なる考えを尊重することが非常に不得意だからです。

分かり合えないなら仕様がないと距離を置くならまだしも、わざわざエネルギーを使って喚き始めたり、蔑んだりする人は結構います。

この国で毎年2万人が自殺することを思い出しました。例えば日本武道館は1.5万人が収容可能ですが、武道館を満員にしても5千人が溢れだす人数がこの国から毎年消えています。365日で割ってみると1日54人が自殺している計算です。

更に寒気がするのは10代での自殺者が年間250人もいることです。小学6年生の女児がいじめに耐え切れず母親へのプレゼントにと編んでいたマフラーで首を吊ってしまったというショッキングな事件も過去にありました。

芸能人の不倫報道から小学生の自殺まで根底で共通しているのは、自分たちと違う考えや行動をする者に対してただ何となく気に入らないという感情をむき出しにして排除していく人間たちの存在です。

日本には村八分という言葉がありますが耐え忍ぶことを美徳とし協調できない人間を袋叩きにする悪しき習慣は昔からありました。

世間体を非常に重視して他人を異常に監視する彼らは、色々なことを我慢し日々鬱憤をため込んでいます。

新聞やテレビの報道を鵜呑みにして全て信じてしまうような純粋まっすぐな真面目人間が多く、新しい考えを受け入れられないので、価値観に反する人間が現れるとフラストレーションを爆発させます。

彼らは大事なことを忘れています。完璧な人間はこの世にいないということです。他人を断罪できるほど立派な人間は果たしてどれだけいるでしょうか。

泣き濡れる罪の女を裁こうとするパリサイ人達にイエスは「この中で罪のないものだけが石を投げよ」と言いました。

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