見出し画像

アウトレットな人生


50%オフの値札が貼られてから2週間が経った。


百貨店の綺麗な箱の中で当然のようにディスプレイされていた私はいつのまにか郊外の子供とわんこが走り回るショッピングモールの中にいて、毎日沢山の人にお試しされては結局最終的に今こんな感じだ。

試着される時鏡に映る自分は想像したよりずっと疲れて元気がなくて、その事に落ち込んだ。

私に出来ることはない。ただハンガーにぶら下がって店を眺める。

入口手前に置かれた服たちは可愛くなくてもやっぱり売れていくからやっぱり配置は大事だ。と言ってもここに来た時には私もあそこにいて、でも全然ダメだった。

私に出来ることはない。あなたがおっしゃる通り少々奇抜なデザインです。合わせられる服が限られます。それなのにそう、ちょっと高いですよね。

「でもかわいいかも。たまには冒険してみようかな。せっかく来たのにまだ何も買ってないんだよね」

レジカウンターのひんやりとした新鮮な感覚を初めて感じながら折りたたまれてショッパーに包まれた。二の足の横でぶらぶらしながら、少し泣いた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?