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オクトーバーから

かすかな雨音のする玄関外で、じっとどこかを見つめている茶トラの子。その表情がなんとなくいつかの自分を見ているように感じる。飼い主に似て黄昏れるのが好きだからと、気付いたら5時のチャイムが鳴り出している。冷え込んだ外気の中、自動車はまだ通り過ぎてゆく。

〈自分にないものを求めようとしているのかも〉

欲しいなりには欲しい。茶トラも「こうしていたい」と不満を変な声にして表す事がある。曇天気味の空を見守っているといつの間にやら黄がさしてきている。案外乾いているのか鳥達の鳴き声も響く。

オクトーバーにはどんな情緒が似合うのだろうか。気付いたらもう始まってしまってはいるけれど

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