幼稚園に行きたくない息子


月曜、朝。

幼稚園に行くのを嫌がる息子。

「行きたくない」

シクシク泣いている。

シクシク泣くのだ。涙がこぼれ落ちそうになると拭って。静かに泣く。

その姿があまりに健気で、可愛くて、切なくなる。

娘も息子も1歳から保育園に通っている。当時私は、会社員だったので、7:30には保育園に送り届けていた。

子供達が「行きたくない」なんて言おうものなら、「会社遅れる!」と怒っていた。

泣き顔の娘と息子にイライラしながら、自転車のチャイルドシートのベルトを締めていた。

今、私は子供達の「行きたくない」に怒ることはない。

私は、自分探しを終え、自分自身の理解を深めていった。そして、物事の捉え方を変えられるようになったことで、子供との接し方も変化していったのだ。

「そんなこと、時間的に余裕があるから出来るんだ。」と言われれば、それも否定しない。でも、思う。以前の私なら、例え時間的に余裕があっても、「行きたくない」と言われれば怒っていたと思うのだ。

以前の私は、子供の姿を自分自身に重ねていた。無意識に。

行きたくないなんて情けない。こんな弱い子だと将来苦労するに違いない。

「私がそうだったから、この子もそうなる。そうあって欲しくない」

だから怒っていた。私を見ているようで、弱さに触れると腹がたったのだ。

私は、自分探しの中で、この自分の思い込みによる子育ての間違った構図に気付いた。

そして、間違ったやり方をしてきたことを、一度子供達に謝った。

「そのままの二人で十分素敵なのに。これまでごめんね。」と。

そして、今。

子供の「行きたくない」には、「行きたくないよね」と言えるようになったのだ。

「行きたくないよね」私はそう言って息子の手を握った。

息子は私の手を握り返し、それを自分の頬に寄せながら言った。

「ママとくっついてたい」(涙目)

可愛い。こんな可愛い姿を見る機会があったのに、私は怒っていたのか。大馬鹿野郎だ。

現実問題、幼稚園に行けるか、行けないのかは様子を伺うことにしている。

手を握りしめながら、「着替えようか」っと言ってみた。

こくんと頷く息子。(これは行けそうだなぁ・・)

私は、パジャマを脱がせるためにボタンに手を伸ばし、一つ、二つと外した。

すると、息子が途中で「トイレ」と言って、走り出した。

トイレにしては時間がかかる。

見に行くと、トイレの前でパジャマのボタンをとめ直していた。

(お着替えしたくないのか・・・行けないかな・・)

その時、ハッとした。

ボタン自分でとめてる。。

ボタンを自分でとめることはできなかったのに。息子のハジメてに立ち会う瞬間だ。

その小さい手で不慣れながらもボタンをとめる姿を見守った。

時間がかかっている。

出発時間が迫っている。

それでも、フーフーと息を荒くしながら、ボタンをとめる息子を、心の中で頑張れ頑張れと応援した。

「できた!」息子の誇らしげな顔。

私は、すごいすごいと抱きしめた。

「息子とくっついていたい」私もそう言った。(今日は無理かな・・)

しかし、息子は、スッと私から離れリビングに戻ると、さっき苦労してとめたボタンを自ら外してお着替えをはじめた。

自信に満ちた表情で、あっという間に一人でお支度を全て終え、「ママ、行こう」と、玄関に向かった。

逞しいな。どんどん出来ることが増えて、私から離れていく息子。

子供が立った時、歩いた時 はもちろんのこと、子供のハジメてはどの瞬間も感動する。

出来るようになったら、出来ない時には戻らない。出来ることが積み重なると、出来なかった時がすごく貴重な時間だったなと思う。(かまいたちの09年M-1決勝のトトロネタみたいだな 笑)

言葉少なにバスの待合場まで向かう息子。バスに乗り込み、手を振った。その顔はやはり寂し気で、涙目だった。

**

あっという間に帰宅時間が来た。

どうっだったかな・・・という心配をよそに、幼稚園バスを降りると、興奮気味で絶好調な息子。

小さいなりに、「今日をやりきった」という達成感はあるんだなぁと関心していた。

私は朝の感動のまま息子をぎゅっと抱きしめようとしたのだが、「ぶぶーだめでーす」と拒否された。

そして、

「ママ、リンゴが食べたい。あと、う●こみたいなアイスも。」(チョコレートか、ソフトクリームか迷ったが、後者だった。)

「ママ、見て幼稚園で作ったの。う●こだよ」

口を開けば、う●この話しかしない。

帰宅後お着替えの時、脱ぐ必要のないパンツまで脱ぐ息子。全裸になり、側転やらジャンプやら、とにかく動き回っている。息子のムスコを揺らしては、即自らその揺れてるモノを確認し、ゲラゲラと笑っている。

帰宅後は、う●こに加えてムスコの話も加わった。

私の朝の感動は何だったのだろうか。

朝の健気で、可愛くて、逞しい息子は一体どこへ行ったのだろうか。

全裸で飛びはねる息子を見ながら、

「でも、まぁ、、大きくなったなぁ」と、

呆れながらも成長を感じたのだった。





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