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【公務員のキャリアをアップデートする会】公務員から大学教授へ

こんにちは。

10月16日(金)に、公務員のキャリアをアップデートする会を開催いたしました。

場所は、いつもお借りしている浅草橋にある世界と地方を結ぶゲストハウス「リトルジャパン」。

今回は、元・東京都職員で、現在は、明治大学政治経済学部の准教授を務められている奥山雅之先生をお招きして、「公務員から大学教授へ」をテーマに、お話をいただきました。

まず、冒頭、奥山先生からお話いただいたのは、都庁に入ったきっかけのお話。

当初は、明治大学商学部に在籍していた時に、税理士の勉強もしていたこともあって、税理士資格と直結する国税専門官(国税局・税務署で働く国家公務員)として就職をされたそうです。

ただ、国税専門官の同期の一人が都庁に転職されて、その友人から紹介があったのが東京都の専門職「経営指導職」という経営コンサルとして中小企業の支援をする職種だったそうです。

こちらの仕事に興味を持ち、都庁への入庁試験を受け直して、合格をされた後に配属になったのが、当時銀座にあった「東京都商工指導所」(現在は、「中小企業会館」となっています)とのことです。

都庁に入庁した直後は、国税専門官として働いていた2年のアドバンテージもあると自負も持って仕事をされていたそうですが、当時の上司から、「お前は同期と比較するとまだまだだ」という一言を言われてしまったそうで、その一言をきっかけに、自己研鑽に励もう!!と奮い立ち、読書、中小企業に関する研究、資格取得などに励んだそうです。

そして、アフター5の時間を利用して、商工指導所の中小企業支援の仕事にも直結する中小企業診断士、税理士といった難関資格を取得するとともに、大学院にも通い商学修士も取得されたとか、、、、短期間のうちにすごい研鑽を積まれていたのですね。

そして、資格取得と大学院通学の副次的な効果として、「職場以外のネットワーク」ができたことを挙げられました。

大学院に通われた時の大学のネットワークはもとより、中小企業診断士では全国大会など同業者の集まりも盛んに行われているようで、そちらのネットワークや税理士試験合格同期のネットワークなどいろいろなネットワークを築かれたそうです。

そして、ちょうど同時期の2000年代初め頃、当時財政状況が逼迫していた東京都での行財政改革の一環として、商工指導所の機能を東京都中小企業振興公社という東京都の第3セクターに移管することとなり、都庁職員か公社職員かの選択を迫られる中で、多くの同僚が公社に移ることとなったとのことです。

奥山先生は、都庁職員の身分を選択したとのことですが、そのような中、新宿の都庁本庁舎への辞令が下ったとのことです。

中小企業支援の現場である出先事業所と、事業の企画や予算取り、調整がメインとなる新宿の都庁本庁舎では、仕事の質も大きく違うため、異動当初は非常に苦労されたとのことです。

しかし、中小企業支援の現場である商工指導所を長年経験している強みを活かして、多くの事業の立ち上げに関わり、その立ち上げた事業も今も、東京都の施策として中小企業を支えることとなっています。

そして、仕事に邁進している中で、当時の上司から管理職試験(東京都の管理職登用のための試験)を受けてみないかという誘いがあったとのことで、「管理職に合格した場合は、政策大学院派遣の道もある」という誘い文句にも乗って、管理職試験を受験したとのことです。

そしたら、思いがけず一次試験(筆記)の合格をしてしまったとのことで、家族旅行の予定も変更して、二次試験(面接)に臨んで合格し、行政系(事務系)の管理職試験では都政史上初の経営指導職の合格者となったそうです。

(経営指導職では、中小企業診断士資格保有の方も多いため、受験者の負担軽減という趣旨もあり、中小企業診断士など一部の国家資格保有者については、東京都の管理職試験の一部免除という試験制度変更のきっかけにもなったとのことです)

その後、東京都の管理職候補者として、財政部門などを経て、商工施策を担当する管理職に昇任し、続いて産業労働施策全体を調整する企画担当の課長や予算を調整する企画計理課長といったポストを歴任されたとのこと。

しかし、管理職として東京都の産業労働施策全体の企画・予算の調整といったダイナミックな仕事に関わる一方で、かつて商工指導所で行なっていた現場での中小企業支援の仕事にも携わりたいという思いも抱えつつ、中小企業に係る研究を追求するために大学の博士課程にも通われていたとのことです。

そして、漠然と「このままでいいのか」という思いも抱えながら、公務員の仕事の傍らで大学での研究や論文執筆などアカデミックな活動も続けられている中で、多摩大学の大学教員公募をみて、非常に逡巡しつつも、こちらに申し込み大学教員への道を歩むことを決められたとのことです。

そして、多摩大学で大学教員として採用され、その後の4年間の教員生活を経て、現在は、出身母校である明治大学へ転身されたとのことです。

今は、東京都で中小企業支援に携わった実務経験を活かしながら、事実(統計)や感性(フィールドワーク)の両輪といったスタンスを大事に、地域経済論、中小企業論などの研究活動や学生を指導するゼミ活動などを行なっているとのことです。

※奥山先生の研究活動の詳細はこちらをご参照ください。

この20数年間のキャリアを振り返ってみると、どちらかといえば、好きなことを好きなようにやってきたことによる偶然の出会いによって引き起こされたものが多かったとのことです。

しかし、予期しない偶然の出会い(チャンス)が来た時に、どう対応するかということが重要で、また主体的に動いていると予期しない出会いと遭遇する確率も上がってくるとのことです。

そして、これからも「計画された偶発性」というものを大事に動いていきたいという言葉で締めくくられました。

奥山先生のお話の後は、参加者同士で食事を取りながら、キャリアのこと、大学の現状、地方の状況などといったことを中心に、ざっくばらんな意見交換を行いました。

今回もリトルジャパンから美味しい食事をご提供いただきました。

お忙しいところ、お越しいただきました奥山先生、そして参加者の皆様、ありがとうございました。

次回は、11月28日(土曜)18時〜に開催予定です。

ゲストに、千葉県職員でNPO法人6時の公共代表理事を務める仁平 貴子(にひら たかこ)さんをお招きして、『越境する「パブリック・キャリア」、そして「自分たちのまちづくり」の実践』をテーマに、公務員・NPOといった身分を超えたパブリックキャリアの歩みのお話やNPO法人6時の公共が開発した「まちづくりカードゲーム」を体験する予定です。

お申込みは、こちらまで
http://ptix.at/bIQTDS

ご興味あればぜひ。

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