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【公務員のキャリアをアップデートする会】「越境するパブリックキャリア、そして自分たちのまちづくりへ」開催レポート

こんにちは。

先日、11月28日(土)に「公務員のキャリアをアップデートする会」を開催いたしました。

場所は、いつも使わせていただいているリトルジャパン。

リアルイベントということもあり、参加者のマスク着用、受付時の消毒、検温、換気、さらにはアクリル板に設置による飛沫防止対策など感染症予防対策を行った上で、イベントを実施いたしました。

今回は、千葉県職員でもあり、NPO法人6時の公共の代表を務められている仁平貴子(にひら たかこ)さんをゲストに迎えて、「越境するパブリックキャリアの歩み方、そして自分たちのまちづくりへの実践」をテーマにお話を伺いました。

冒頭、仁平さんからお話をいただいたのは、千葉県庁職員に至るまでの学生時代からキャリアのお話。

まず、最初に、小学5年生の時に抱いた素朴な問いとして「なんでこんなにつまらないんだ」というもの。

日常生活を送っている中で、「面白い」と感じるものが自分の身の回りにないことに鬱屈とした思いを持っていたそうです。

そして、この環境を面白くするためにはどうすればよいのか、ということをずっと考えられていたそうです。

そのような疑問を小学生時代から持ちつつ、高校時代はスポーツ(陸上)に打ち込んで、インターハイ出場もあと一歩に迫るまでの実力をお持ちだったということで、高校時代に鍛えた「スポ魂」が現在にも生きているとのことです。

その後、自分の身の回りに面白い環境がないのであれば、海外に行ってみよう!!ということで、大学生時代に、海外の児童を支援する学生ボランティアとしてワークキャンプに参加。帰国後、所属する学生ボランティアセンターで、東南アジアの児童に文房具を送る活動を始められたとのこと。

この経験が、自分で「枠組みを作る」初の経験になったそうです。

さらに、大学の留学制度を使って行ったアメリカの大学にて、ダンボールハウスを作って、そこに寝泊まりしながら関心を集め、もらった食料をフードバンクに寄付するといったとても創造性豊かなチャリティプログラムなどに参加して、「アメリカ人の創造性すごい!!」というふうに触発されたとのこと。

この頃から、学生の立場でできるボランティア海外支援のプログラムなどの枠組みを自分で作って実施していく経験を多数積まれていたそうです。

その経験も経て、活動だけではなく、もっと専門的に東南アジアの研究をしたいということで、シンガポール大学に1年間留学をされたそうです。

ちょうどその頃から、同年の仲間が設立したNGOにも参画するなど、学業以外にも様々な事業に携わる、2足、3足の草鞋を履く生活がスタートしたそうです。

1年留学をしているため大学5年生になると、通常の就職活動はせずに、『セーブ・ザ・チルドレン』で国内事業のインターンに携わったり、卒業後も引き続きインターンをしながら、『ボランティアセンター武蔵野』でコーディネーターを務められていたとのこと。

セーブ・ザ・チルドレンにインターンを願い出た理由としては、大手コンビニチェーンとコラボして、女性歌手グループを起用したチャリティーキャンペーンなど当時の非営利セクターとしては先進的なカッコ良く見せる取り組みを間近に見て、「良い取り組みをするだけでなく、いかにその取り組みを広げて共感を得ていくか」と行った手法に感銘を受けたからだそう。

大学卒業をまたぎ、こうしたNGOなどの非営利セクターに携わった後は、大学時代、ミャンマー国内での学生ボランティア活動の許諾を得るために足しげく通っていた『在京ミャンマー大使館』に空きが出たタイミングで面接を受け、職員として働くことになったそう。大使館は夕方4時半に仕事が終わるため、生活費の足しと社会経験のため、蒲田のスナック(!?)でも働くといった2足の草鞋を履いた生活を送られていたとのこと。

スナック勤務での濃い経験は、その後の職業生活でも得難い経験をされたそうです(笑)

その後、民間企業の経験も経て、地方公務員の千葉県庁へと入職。

海外に関わる仕事をしていく中で、国内の地方自治体への道を志したのは、結局は自分たちの身近なコミュニティを良くしていかないと社会全体としては良くはなっていかないのではないか、という思いから志望されたとのことです。

さらに、日本の身近なコミュニティを良くしていくことが、結果として海外のコミュニティを良くしていくことにも繋がっていくと。

千葉県庁に入職された後も、持ち前のバイタリティを活かして「輝く行政マンへの道千葉支部」、「チーム千葉県」、「関東自主研サミット」など公務員による自主勉強会の運営の他に、「チバ・ヤング・ボールルーム・ダンサーズ」という社会人サークルを立ち上げ、若手の社交ダンサーを増やす活動にも取り組んでこられたとのこと。

ここで、何足の草鞋を履いているのかは数えられないくらいになったとのことです(笑)

そして、現在は、千葉県職員として勤務しながら、NPO法人6時の公共を立ち上げ、代表として活動しているとのことです。

今までのキャリアを拝見すると、そもそもの「なんでこんなにつまらないんだろう」という思いをエネルギーに変えて、持ち前の行動力を武器に、色々なジャンルを超えた環境に身を置いてやりたいことを実現してこられたということがわかります。

その結果、NGO(非営利)セクター・政府(ガバメント)・民間(ビジネス)セクターというあらゆる分野について「時間」「空間」も両方の意味で越境をしてきたということです。

続いては、代表として携わっている「NPO法人6時の公共」のお話。

NPO法人6時の公共は、行政、政治、市民がそれぞれの立場を超えて『自分たちのまちは自分たちでつくる』社会の実現に向けてともに活動していけるような翻訳・媒介をすることを目的としているとのこと。

そもそもの問題意識として、行政、市民、議員それぞれの街のプレイヤーの視点がバラバラでなかなか合わない現状があり、その視点を合わせるための触媒として機能するものが必要ではないかということです。

そのため、地域の課題や解決策を一緒に探る仕組みを作っていくために、『みんなの学習会』などを開催しているとのことです。

直近の学習会では、「知事の仕事を知ろう」をテーマに、元熊本県副知事の小野泰輔さんをお招きして知事の仕事について伺ったとのこと。

また、これまで学習会で学んできたことをベースにして、今度は若者たちの学習教材を開発していこうと、2019年5月、『まちづくり学習教材開発プロジェクト』をスタートさせたとのこと。

少人数での勉強会や開発合宿などを経て、1年半かけて開発をしてきた教材は、ゲーミフィケーションの手法を用いたボードゲームの形として、2020年11月についにリリースとなりました。

完成したゲームは、「僕らの基地がほしいんだ〜議会を動かす12ヶ月」。

この教材開発にかけたそもそもの想いとしては、一見難しそうな社会の仕組みでも、みんなで一緒に取り組めば変えられるかもしれないし、そういったことにぜひ主体的にチャレンジしてほしいとのことです。

ゲームの概要としては、子どもたちが街の人たちの力を得て(つないで)、自分たちの秘密基地づくりに向けた議会へのセイガン(請願)を成し遂げるというもの。

具体的なストーリーとしては、管理社会化が進んだ架空の未来において、公園の中で遊べる自由を手にいれるために「自分たちの秘密基地を作りたい」と考えている子ども達が、街のプレーヤーである大人達の力を借りたり、協力を得ながら、セイフ(政府)に対してセイガン書(請願書)を提出することを目的としたものです。

ゲームの狙いとしては、まず、街の中にはたくさんの地域のプレイヤーがおり、そうした地域のプレイヤーと協働する方法や、自治体に対して政策アイデアを伝えるための方法を知ってもらいたいということです。

さらに、主権者教育において「投票すること」が政治参画の方法として語られがちですが、それ以外にも政策を実現する方法はいくつもあって、そのうちの一つとして請願を取り入れて、実際にゲームとして体験することで政策実現の方法を知ってもらうということが大きな狙いとなっています。

ゲームの仕組みとしては、ざっくりいうと、「声」と「ロジック」と「調整力」という三つの力を駆使して、秘密基地を作ることを妨げているルール(例えば進入しちゃダメなど)をひっくり返していくというもの。

以下の写真がゲームで使う「セイガン書」になります。秘密基地をつくるためにそれぞれのルールをボード上で攻略したら、セイガン書にはめることができます。

ただし、上記にも書きましたが、ルールをひっくり返すためには、「ロジック」といったチカラが必要であり、その「ロジック」をはめるためには、「声」や「調整力」などのチカラを有する街のプレイヤーを繋いで助けを借りる必要があります。


そして、最終的にルールをひっくり返すためのセイガンを行うには、議員の力が必要(実際にも地方自治体に請願を行うためには紹介議員が必要)なため、最後には議員チップも一定の「声、ロジック、調整力」を駆使して攻略して請願を成し遂げるというものになっています。

現実の政治参画にも即して、よく出来たゲームになっています!!

また、街には色々なプレイヤーがいて、それぞれの立場から、3種類のチカラ(声、ロジック、調整力)の強弱がつけられています。その数なんと100種類以上のプレイヤーが存在しているとのこと!!

(もしかしたら、街のどこかに、自分と近い立場のプレイヤーがいるかもしれません(笑))

ゲームは、すでにフリースクールや議員、学校の先生から発注もかかっており、主権者教育としての授業で活用されたり、議会事務局での研修などでの活用場面も想定できるとのことです。

今後の導入方法・普及方法としては、6時の公共のメンバーを講師・ファシリテーターとして派遣していくことや、ファシリテーター養成講座などで自ら進行・授業できる人材を育てていくことで広げていきたいとのことです。

お話の最後に、『自分たちのまちは自分たちで「おもしろく」つくる社会の実現』に向けて、街のプレイヤーがお互いの立場に寄り添って考えながらまちづくりができるようにやっていけたら良い』と考えているとのこと。

そのために、仁平さんご自身「(面白いことをしていくために)これから何足の草鞋を履いていくかは分からないけれど、一番大事なのは何をしたいのかということと、それを実現するのにこういう働き方もあるということで何かしら参考になったら嬉しいです」という素敵な言葉で締めくくっていただきました

仁平さんのお話の後は、さっそく参加者でゲーム体験会を実施。

4グループに分かれて、それぞれがボードの升目を埋めていきます。

各自のターンで、街のプレイヤーのカードを引けます。カードに数字と色が入っており、上記にも述べましたが、黄色が声が大きい人、緑がロジックがある人、青が調整力がある人といった特徴があります。

秘密基地を作るために変えなくてはいけない「ルール」のカードを攻略するためには、「ルール」のカードの書いてある数字を超えるための「ロジック」の力をくっつける必要があります。

以下の写真では、「占拠しちゃダメ」というルールに対して、各カードを繋げて「担任の先生」の有する2と「アクロバティック教室」の有する3のロジックの数字が5以上になったため、攻略できました。

(ちなみに、今回使用したカードやセイガン書ボードは、最終製品1歩前のデザインのもの。中高生からのアドバイスを踏まえて、最終製品はさらにデザイン改良をしているそうです)


ルールを3つ攻略し、最後には議員カードも攻略できると以下の写真の通り「セイガン書」が出来上がります。(議員の名前がちょっと笑えます(笑))

これでゲームクリアです!!

ただし、忘れてはいけないのが、現実社会にもある「議会の会期」というもの。会期まで12ヶ月と決まっており、所定の手番数以内に3つのルールと議員を攻略する必要があります。

この前提も、現実社会の議会運営に即していますね!!

ゲームを実際に体験してみて、「ちゃんとロジックを繋がないとルールを変えられない」とか、「調整力と声の力を有するキャラを繋がないと議員まで要望が届かない」とか、本当にゲームを通して、「街のプレイヤーの力を借りること」や「街のルールを変えるために一定のロジックが必要なこと」などの重要さについて考えられるものになっていると実感しました。

こうしたゲームが、教育現場のみならず、自治体の現場や、市民活動の現場にまで落ちていけば、自治体(街)の課題にも関心が向いて、行政・政治参画もきっと促進されると思います。

ゲームの概要は、こちらのリンクからご覧になれます。体験会情報や、購入情報、なども掲載されておりますので、ご興味がある方は、ぜひご覧になってください。

また、クラウドファンディングも実施されているということで、こちらもぜひ!!

https://bokukichi.pm6lp.org/cf/

今回は、仁平さんのあらゆる立場を越境してきたキャリアのお話と、6時の公共開発のボードゲーム体験会と盛りだくさんの内容で、とても学びが多い会でした。

お話いただきました仁平さん、そして、参加者の皆さま、ありがとうございました😊‼️

【重要 Peatixログインパスワード変更のお願い】

今回のイベントは、Peatixにて申し込みを受け付けましたが、先月Peatixにて不正アクセスがあったとのことで、ログインパスワードの変更依頼がありました。

当会に申し込んだ方で、既にパスワード変更をされている方もいるかもしれませんが、もしまだ変更されていない場合は、ログインパスワードの変更をお願いいたします。

詳細は以下になります。お手数をおかけして申し訳ありませんが、何卒よろしくお願い申し上げます。

【Peatixログインパスワード変更のお願い】

イベント等の参加受付で利用しておりますイベント管理サイト Peatixにおきまして、11月17日付で「第三者による不正アクセスを受け、お客様の個人情報が不正に引き出されたことが判明した」との発表がありました。
https://announcement.peatix.com/20201117_ja.pdf
 
Peatixではすでにセキュリティ対策が取られているとのことですが、Peatixでご使用になっているログインパスワードと同一のパスワードを他のインターネットサービスでもご使用されている方は、念のために他サービスのパスワードも変更していただくようお願いいたします。
 
今回のPeatixへの不正アクセス事象に関するお問合せはPeatixカスタマーサポートセンターへお願いいたします。
Peatix Japan株式会社
日本語対応カスタマーサポートセンター
TEL:0120-331-367
MAIL:cs@peatix.com

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