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復職日記(どん底だった頃の自分)

復職9日め。

朝の気だるさは、50くらい。
連勤の最終日ともなると、そりゃもうとても気だるいですね。行きたくないよ。しかしまぁ、あと1日だがんばろ。

と、出勤しようとして、いつもの場所に腕時計がないことに気づく。

え、ない。
ない!?
うそ、うそうそ、ない!

2年前のクリスマスにプレゼントとして購入した、マーガレットハウエルのとても気に入っていた時計だ。黒のベルトのもの。
もう腕時計はこれでいいな、これ以上でも以下でもなくこれがいい、と思うほど気に入っていたもの。
6時のところに小さなダイヤがついていて、そのささやかな輝きが好きだった。

焦った。
出勤時間が近づいていたがギリギリまで探す。
ダイニング、こたつ(まだこたつ出してます)、自分の部屋、トイレ入る、出る、で、ゴミ箱の中をあさろうとして、そこでハタとあきらめて、家を出た。

通勤の道中も、さみしい右手首を意識してしまう。(わたしは時計を右腕につけています)
あの腕時計、もうないのかな。
誤ってゴミ箱に入ってしまったのだろうか。
ああ、ああ、ああ。

しくしく……と泣きたい気持ちだったけど、職場に着いたらそうも言ってられない。心は雨降りながらも業務につく。でも、パソコンを打つ時も、なにかで時間を確認しようとする時も、つい、空っぽの右腕を見てしまう。

思わず、目の前に座っているデビさんにこぼしてしまった。

「今朝、腕時計なくしちゃったんです」

すると、どこでなくしたんですかとか、いつですかとか、あれこれと事情を聴いてくださり、

「ありますよ」

と、落ち着いた口調で断言してくれた。

「大丈夫。あります」

なんでそんな、断言できるのか。
しかしなんだかそんなふうに言われると、本当にありそうな気がしてくるから不思議だ。

・・・

今日はボスとの復職後2週間目の面談があった。
なにか厳しいことを言われるのでは、と身構えてしまったが、とにかく無理せぬように、ぶり返さぬように、と業務の整理をしてくれた。

「無理してできる限界までがんばって、その結果ポキッと折れて辞めてしまうというようなパターンが一番避けたいです」

とのこと。
過去にそういう方がいたからだ。
そんな風に気遣ってくれることがありがたいな、と思いつつ、ポキッとならないように自分でも自分の心身に敏感でいないとな、と思う。
せっかくここまで元気になれたのだ。

ふと、休職直前のもっとも具合が悪かった頃のつぶやき(自分だけに見えるアプリに呟いてました)を見返してみた。

これがほんのふた月前のことだ。
すごくすごくつらかった。
仕事が嫌なわけじゃないのに、なにをしていてもつらくてどうしたらいいのか分からなかった。
信じられないな。いまは、ぜんぜんつらくない。

よくここまで元気になれたものだと思う。

(これに関しては、村上くんのホームランがマジできっかけになりました、以下の記事参照)

でも、またいつなにが起きて同じようにつらさのどん底に落ちてしまうかは分からない。
元気になったとはいえ、未来のことは分からないのだ。

・・・

寂しい右腕とたもに、とぼとぼと帰宅。

すでに帰っていた娘に「腕時計がないの」と泣きつく。
「それは大変、一緒にさがそう」
と、部屋の隅々まで捜索する。
ゴミ袋の中身まで出して、すべて見る。

ない、ない、ああもうないんだ……。

と、自室の大きめの鏡を動かして裏をのぞきこんだ瞬間。

「あった!!!!!」

そこに黒いペルトの腕時計が、テへへ、という感じに落ちていた。
テへへじゃないよ!

悪いのはおそらく完全に自分である。
「ぜったいにリビングに置いた」
と言い張ってたのに、自室にあるんだもんなー。なんでここにあるの。自分なんて信用できませんよね。

嬉しくて、嬉しくて、一気に元気が出た。

大切なものはちゃんと大切にしなくちゃな。

いつもの置き場所に置かなかったことを深く反省し、今度はちゃんと、置き場所に置いた。

・・・

明日から休みだー。
わいわいわい。
嬉しいというより、ほっとしている。今週を乗り切れたことに。なんとかかんとかやってるな。がんばれ自分。

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