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映画「ラストマイル」

公開日初日の朝の初回で鑑賞。
楽しみにしていた映画でも、こんなふうに初日の初回を観に行くことはなかなかない。
「アンナチュラル」と「MIU404」がコラボしているという事だったので、一かけらのネタバレも踏まないうちに、いや、ネタバレ以前に一言の感想も読んだり聞いたりせずにまっさらな気持ちで観たかった。

と書くとなんだか熱狂的なドラマ信者みたいだけど、そういうわけではない。
いや、確かに両ドラマは面白かったから、あの世界観がまた味わえるのか?という期待はあったけど、それ以前にこういう試み(シェアードユニバースとか言うらしい)って今までなかったような気がするので、どういう感じになるのか混ざりっけなしに感じたかったのだった。

その「シェアードユニバース」については、変にそれぞれの見せ場的なシーンを作らず、あくまでも事件を中心においてそれを取り囲むシステムの中の一つ一つとして必要最低限な入れ方がされていて、それがとても良かった。
「アンナチュラル」も「MIU404」も、ドラマは終わったけれどもあの世界の人たちは生きていて日常は続いているんだなあ、と感じられたことが、ドラマファンとしてとても嬉しかったし、「パラレルワールド」というものを実感できた(ような気がした)ことも心躍ることだった。

この辺の塩梅、私のようなドラマファンに対して「媚びない」ってすごく重要だと思う。
こういうことがバッサリ出来るのって、今の時代にこういう言い方はダメなのかもしれないけど、女性だからこそという気がする。
そういう潔さって女性の方が持ってると、今まで折々感じてきているので。

でもやっぱり、女性なら誰でもできるっていう事でもないね。
やっぱりそれぞれのドラマのヒットがあってこその、脚本家、監督、TBSの自信、なんだろうな。
そういう姿勢が見えたことが、映画の内容以前にとても良かった。

そして、これだけエンタメ性に富んでいる上で、現代の社会問題をがっつり盛り込んだ脚本に唸った。
まだ公開されて間もないので、詳細は避けるけど、人って利益を追求するあまりにどんどんロボット化してる?
手間かけてロボットを量産するより、人間をロボットにしちゃえばいいんじゃんって思ってる?
っていう怖さとか。
だって、倉庫内で働く何百人(ときには千人超?)がてっぺんにいる数人の判断で動くのだもの。
そして、あんなことがあっても、ベルトコンベアは止めないとか。

このシーンは正直、何が起こっているのかすぐには理解できなかった。
え?どゆこと?まさかだよね?・・・って。
そして一瞬、強烈な怒りが湧いたシーンだった。

この「人間のロボット化」なんだけど・・・
実は、最近顕在化が顕著な「コミュ障」と言われる人間、つまり(少なくとも)私には、人間的な思考を止めてロボットの様に作業に没頭する仕事って「楽」なのだ。
私は子持ち主婦という立場として、子どもたちが成人するまで営業、事務、コルセンなどいろんな仕事をして来たが、電子機器の組み立て工場の作業員とAmazon倉庫のストーの仕事(商品を棚に収める仕事)が一番ストレスなく面白かった。

でも、映画見ていて、働く側の「これがいい」と、働かせる側の「これでいい」は違うんじゃない?と・・・勝手な話かもしれないけど思ったりした。

阿部サダヲの立場の苦しさもわかる人がいっぱいいると思う。
でも阿部サダヲはまだわかりやすい。
私は、日野正平と宇野祥平の親子に対してどういう感情を抱くかってことは、結構重要なんじゃないかと思った。
大事なのは何かってことは、この二人が示唆してるような気がして。

とにかく、面白かった。
初日初回の映画館、みんな固唾を飲んで観てるっていうある種の緊張感みたいなのがあったのと、エンドロールで帰る人がすごく少なかったのも印象に残った。
夫が休める日があったら誘って、今度は二人で観に行きたいな。
夫と私はちょっと映画のシュミが違うけど、これは絶対オススメできる!

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