夕方の電車

左手でつり革を吊るすためのストラップのようなものを掴む。少しでも、人間の脂を触らないようにするために。

左半身が伸びて、黄土色のシャツの中から、出っ張った下腹がはみ出る。風が下腹にあたる。これでお腹を下すことが、たまにある。

ガラスに映る僕は、具合の悪い人の顔をしていた。疲れてもいる。体の中の流れが悪い人の顔をしている。死相が出ているのかもしれない。見る人が見ればわかるのかもしれない。

どこも窓は閉めきりで、車内は人間臭くて仕方ない。電車に乗るときは、マスクをしなくちゃ息も吸えない。臭い、臭くて気絶しそう。

もう池袋に着く。