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Wow Mao の冒険⑨ マオ、ギリシャの食通からオリーブオイルを学ぶ

ギリシャの皆さんは、オリーブ、そしてオリーブオイルに並々ならぬこだわりを持っている。

紀元前1600年頃に栄えたクレタ文明の頃から、食用のためにオリーブを栽培していたといわれており、現在でもギリシャ人のオリーブオイル消費量は世界一を誇る。

オリーブオイルについて学べば、ギリシャへの理解が深まるんじゃないか? そんな思いつきから、オーガニック食材を扱うセレクトショップ「Yoleni's」で、試飲&セミナーを受講した。

マオにはレポーターになったつもりで、講師のYannisさんにいろいろ質問してみてもらった。

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講師のYannisさん。誇り高きアテネの食通。かつては公務員だったそうだが、現在はオリーブオイルやワインの魅力を伝える活動をライフワークにしている。

ギリシャ人が愛するオリーブオイル

マオ オリーブオイルってどうやって作るんですか?

Yannisさん 季節は10月ぐらい、まだ熟しきらないオリーブの実を手で摘むことからはじまります。

果実にストレスや熱をかけないように、優しくマッサージをするように絞る。そして余計なものを濾して取り除く。とてもシンプルな製法です。

採れたオイルは、香りや純度の高さでランク分けがあり、一番質のいいものだけが「エキストラバージンオイル」を名乗ることができるんですよ。今日は3種類のエキストラバージンオイルを試飲してもらいます。

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Yannisさんのイチオシは、alpha piのエキストラバージンオイル。未熟なうちに採取された koroneiki種のオリーブを、コールドプレスで24時間かけて絞って作る。12Kgのオリーブの実から抽出できるオイルはわずか1Kg。

マオ うちのお母さんは「オリーブオイルは体にいい」と言っていろんな料理に使ってます。

Yannisさん エキストラバージンオイルには、抗酸化作用があると言われていて、ポリフェノールなどアンチエージング効果が期待される成分が入っています。お母さんが若々しくいられる秘訣は、きっとオリーブでしょう(笑)。

便通もよくなるんですよ。ギリシャ人の多くは、スプーン1杯のエキストラバージンオイルを毎朝飲む習慣があります。それだけでお腹がすっきりする(立派なお腹をさする)。

それに、保湿効果も優れています。私は顔を洗ったらオリーブオイルを塗ってます。肌の色艶がよくなるんですよ。オリーブオイルは万能です。

マオ おすすめの食べ方は?

Yannisさん マイルドでうっすら甘みを感じるオイルは、サラダのドレッシングやマヨネーズにするのもおすすめです。シンプルに、オイルをかけて塩を振るだけでも十分に美味です。

オリーブオイルは産地によって味が違います。
もしお店に買いに行って、試飲させてもらえるなら、口の中に含んで舌の上でオイルを転がしてみてください。ビターな味、のどがチリチリとなる感じがするものは、魚料理や加熱した野菜などと合うでしょう。

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じゃがいもとトマトにぱしゃぱしゃとオイルを振りかけて、いざ試食。ビターな味のオイルが、食べ物と一緒に口に入れるとマイルドになる。

マオ 昨日、考古学博物館に行ったら「オリーブオイルを貯めるための壺」が飾られていました。

Yannisさん とても昔から、ギリシャ人はオリーブオイルを愛してきました。
たとえば、ギリシャはオリンピック発祥の地ですが、勝者はオリーブの枝でできた花輪で飾られ、賞品として壺いっぱいのオリーブオイルが贈られていました。

マオ オリーブにまつわるジョークとかありませんか?

Yannisさん 私たちにとって、オリーブはとてもシリアスな存在です。
まあ、「Old wine, new oil」ってことわざはありますね。オリーブオイルは鮮度が大事ですから。
とはいっても、常温保存すれば1年ぐらいは美味しく食べられます。紫外線に弱いので、日光の当たらないところで保管してあげてください。

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オリーブオイルにも影を落とす財政危機

講座のあとに、「なぜ日本では”ギリシャ産のオリーブオイル”を見かけないのだろう?」と疑問に思って調べたら、Wall Street Journalの記事が出てきた。

オリーブオイルでは世界3位の生産量があるギリシャだが、ギリシャのブランドとして販売されるのは、世界のオリーブオイル市場のわずか4%に過ぎない。

ギリシャのオリーブ農業に携わるのは、家族経営の農園がほとんど。不況が続いていることもあり、ブランドを確立するためのマーケティング費用や、絞り機への投資、ボトルなどの商品改良ができずにいる。

その結果、シングルオリジンのオイルとして売れば3倍の価格で売れるオイルを、イタリアの食品会社にバルク売りして他の産地のオイルと混ぜ合わされ、「イタリア産」として流通するケースもあるという。

つまり、付加価値を高められていない、ってことなんだよな…。

豊かな自然、歴史のあるギリシャ。首都アテネにはホームレスが溢れ、壁という壁が落書きで覆われて、街全体が疲弊して見える。彼らが誇るオリーブオイルにも、確実にその影響が及んでいるんだと感じた。

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